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非リアから追放され、可愛い四姉妹とのドキドキハラハラな共同生活。ハーレムのようで、ざまあしかないんだけど  作者: ぴこたんすたー
第3章 花火大会を見ても四姉妹には飲まれるな

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第12話 ハルと夏希が戻ってきたのはいいけど、さっきと様子がおかしいような?

◇◆◇◆


「今日は楽しい一日だったね」


「まあね。あっという間だったよ」


 もうすぐ閉園時間。

 女の子とのデートも無事に終わりへと近づき、最後の記念にと観覧車に乗った。


「どうだった、人生初の女の子との遊園地デートは?」


「こんな可愛すぎる女の子と一緒だから、ドキドキの連続だったよ」


 つい、夜景をバックにした綺麗な風景よりも、君の方が綺麗だと言いたくなる衝動を抑えてしまう。


「だったら、もっとドキドキしてみる?」


「えっと、あっと……」


 これが肉食系女子の恋愛表現なのだろうか。

 相変わらず、積極的な彼女に返す言葉が見つからない草食系の僕。


「うふふ。照れちゃって可愛いね」


「からかうなよな」


 女の子が口元に手を寄せ、クスクスと上品に笑いかけ、隣に座る僕の手を握る。


 単なる手繋ぎではなく、指と指を絡めた恋人つなぎ。

 二人は、この熱い恋に夢中だった……。


「ごめんごめん。それよりもさ、次はいつ会えるの。シキちゃん」


「二週間後かな。あと、ちゃん付けはやめろって……」


「ええー、そっちの方が可愛いじゃん」


 狭い室内で女の子は僕の目を見つめたまま、軽く目配せする。


 ひょっとして、僕を誘ってる?

 そうじゃないなら、何の意図があるんだろう?


「あのさあ、可愛いと呼ばれて嬉しい男なんていないよ」


「うーん。女の子の口からの可愛いは、ちょっと意味が違うんだよね」


「それはどういう?」


 僕は女の子の謎めいた言葉に、不思議な感情を抱く。


「それくらい自分で考えてよね」


「くっ、可愛い顔して残忍だなあ」


「あのねえ、残忍とはいえ、君のためにならないんだからね!!」


 二人を乗せた恋の観覧車は残忍とは真逆に、このまま時が止まるかのような甘い雰囲気がする……。


 ──僕らは電車で、片道二時間ほどかかる場所での遠距離恋愛を存分に楽しんでいた──。


****


「──さあさあ、今夜のお祭りは目一杯楽しみますよ」


「この日のために、()()()()調()して良かった」


「……とか言いながら、ハルはまたスク水なんやろ?」


「ううっ。中学生のハルにはお金がない……」


「年齢的にバイトもできんしね」


 美冬(みふゆ)の容赦ない攻撃に、心の底から落ち込む春子(はるこ)ことハル。

 美容やファッションにお金をかけてる、美冬らしい返答でもあるよ。

 美冬は例え、相手が姉妹でも厳しく接するんだよね。


「じゃあさ、夏希(なつき)の貯金箱、半分分けてあげる」


「夏希お姉ちゃん……」


 思いがけない夏希の優しさに、心がとろけそうになるよ。

 ただのなんちゃって落語家ではなく、格闘家でもなかったんだね。


「うーん。後はどうやったら、あの豚さんを綺麗に二等分できるかだよね……空手チョップでは狙いが難しいかな?」


 あれ、よく噛み砕いたら、この子、言ってることが何か違うよ。

 分けるって、お金じゃなくて、スイカをかち割るみたく、そういう意味なの!?


「夏希、アホなことはやめなさい」


「えー、秋星(あきほ)お姉、夏希は武道の天才と、師匠に言われたんだよ!!」


「例え、言われたとしても!」


「ぶうー」


 技の出し惜しみをしている夏希が秋星に注意され、ご機嫌斜めでプクーと膨れ面をする。

 夏希に師匠がいたのも驚きだけど……。


 ──ところで四姉妹とも、鮮やかな花の柄の浴衣が似合ってるね。

 秋星の赤茶色の紅葉に、美冬の雪の花の白、夏希の青いヒマワリ、春子の真っ赤なチューリップ。


 それぞれ、名前にあった浴衣を着てるのに、水着って何だろう?

 是非ともこの場で、水着姿とやらを拝みたい気分だよ。


「ふーん。何で水着なんだよ、どうせだから鼻血吹き出しながら、じっくりと堪能したい……ねえ?」


「お兄ちゃんのムッツリスケベさん」


「そこまでは思ってないし、言ってもない」


「いやーん♪」


「だから言ってないってば」


 美冬とハルが僕のひとりごとを偽装する中、僕は極めて冷静に対処していた。

 これが慣れというものかな。


「秋星お姉ちゃん、このお兄ちゃんどうやら、この祭りの趣旨がよく分かってないみたい」


「そうかあ。志貴野(しきの)くんは、ここに引っ越してきたばかりだもんね」


 何だ、このお祭りは単なる稼ぎだけじゃなく、意味があってのことなのか?


「このお祭りはね、毎年、梅雨の前に行うんだけど、水の存在に感謝するというお祭りでね」


「恵みの雨だけじゃなく、この町特産のお茶っ葉と、地元の井戸水をもかけてるんだよね」


 ふむ、六月にするから梅雨絡み、さらにお茶をかけたイベントというわけか。

 誰が考えたか知らないけど、中々奥が深いなあ。


「夏希はコロッケにかけるのはソースかな」


「話がややこしくなるから、夏希はちょっと黙ってて」


「はーい」


 あの凶暴な夏希を、数秒で手懐ける秋星。

 姉の権力というものは恐ろしい。


「それでもって水の女神の象徴でもあるマーメイド=人魚から、水着のイメージ案が浮かんでね」


「それでね、いつの間にか浴衣の下は水着着用と言うことになったんだよ」


 何だ、色っぽい水着になって、泳ぐわけじゃないんだね。

 まあ、お祭りだし、海開きはまだだから、海ではしゃぐわけでもないから当然か。


「なっ、アタシたちがエロい水着になって泳げだと。この破廉恥オタクめがー!!」


 ヤベエ、またしても心の声が漏れてしまった。

 多少、美冬が捏造(ねつぞう)してるのは気になるけど。

 単なる聞き間違いかな?


「ハル、お兄ちゃんになら、全てを見せてもいいよ」


「うむ。下手に武装してたら、シキノンと決闘も出来ないし」


 好戦的な三女と妄想的な四女は、僕に何を求めているのかな。

 恋愛とは対象的な変質者さんかな?


「二人ともちょっと、建物裏に来なさい」


「何、秋星お姉、夏希に屋台のリンゴ飴買ってくれるの?」


「あー、ズルいよ。ハルにもよね?」


「違うわよ。大事な話だと言ってるでしょ」


 いつものお淑やかさとはかけ離れた、秋星の鋭い眼光に僕は身震いした。

 風邪のひき始めとは違う、武者震いという感覚かな。


****


「お、お待たせ。お兄様」


「よっ。待ちわびたか、甲羅の鳥!!」


 ハルと夏希が戻ってきたのはいいけど、さっきと様子がおかしいような?


 結構、話し込んでたようだけど、秋星と何の会話をしてたんだろう。

 あまり関わりたくはないし、変に追求まではしたくないけど……。


「何か、二人ともぎこちなくない?」


「いいえ、気のせいじゃありませんこと。おほほっ!!」


「シキノンはカレーのルーだけ、せっせと仕込んでいればいいのだ!!」


 やっぱり、どことなく変だ。

 ハルは僕を様付けだし、夏希も遠回しに、何かを伝えようとしているみたい。


「ちょっと、夏希お姉ちゃんってば!!」


「何だね、シキノンなんて、煮込まれるだけの具材だよ?」


「秋星お姉ちゃんの言う通りにしないと、ハルたち……」


「大丈夫。その時は夏希が真っ向から潰すから」


「……それはあんまりだよ」


 夏希が片手を宙に突き出し、林檎を握りつぶすようなエアーポーズを決めた。

 その行動に意味はあるのかな?


『──ピーンポーンパンポーン♪』


 町内の建てつけスピーカーから流れる、大きなチャイム音。


『まもなく夜八時になりますので、毎年恒例の花火大会を執り行います。参加費は無料です。奮ってご参加下さい!!』


 感情のない女性のお知らせをバックに、お祭りに来ていた人々の流れがガラリと変わる。

 屋台メインではなく、打ち上げ花火を見たさに……。


「さあ、行こう。お兄ちゃん……じゃなくて、お兄様。花火大会が始まるから」


「シキノン、勝って兜の紐を締めよ」


「……ああ」


 いつものようにお兄ちゃんと呼ばない、よそよそしい態度のハルに、さっきから変なことばかり喋ってくる夏希。


 僕、なんか悪いことでもしたのかな。

 だけど、身に覚えがないんですけどおおおー!?


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