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非リアから追放され、可愛い四姉妹とのドキドキハラハラな共同生活。ハーレムのようで、ざまあしかないんだけど  作者: ぴこたんすたー
第3章 花火大会を見ても四姉妹には飲まれるな

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第13話 中間ということはあの恒例行事の?

 ──あれから数分が経過し、僕に対しての周りの状況がガラリと変化していた。


「……すみません。急いでるんです。ここを通してください!!」


「ねえ、ちょっと待ってよ」


 顔が腫れたような真っ赤な顔で『ごめん、急用ができたから!』と、春子(はるこ)夏希(なつき)の腕を掴んで、どこかに移動し、僕は近くにいた美冬(みふゆ)の保護下に置かれていた。

 さっきから、海辺のお祭りに群がる人の波を押し退けて、その行為とは逆に、遠慮気味な応対による、美冬の言葉だけが耳によく通る。


 ちなみにどこへ行ったのか、秋星(あきほ)の姿も見当たらないね。


「ねえ、お願いだから待ってってば!」


「なっ!?」


 ヤベエ、手を繋いでないと離れ離れになりそうで、思わず彼女の手を掴んでしまった。

 これは久々に、血の雨の流星群が降る展開だな。


「手なんて握って、いきなり何なのよ? アンタなんかに指図する権利とかないけど!!」


「いや、そんなことよりさ、僕のことが嫌いなら、無理して相手をしなくても」


 美冬、今日もご機嫌が悪いようだね。

 そんなこんなで、思っていた言葉を漏らしてしまう。


「はあ……。アンタね、全然分かってないわね」


「えっ、どこか間違えてる?」


 リアリー? 僕の日本語に誤りがあったのか。

 どうも英語がペラペラで、海外出張の親のようにはいかないね。


「あのねえ、小学生じゃあるまいし、嫌いだからって避けるなんて、人としてどうかしてるわよ。ましてや同居人でしょ?」


「いつも僕には文句ばかりなのに?」


「それはアンタが、どうしようもないバカだからよ!」


 それは、どのレベル程度のお馬鹿なのかな。 

 日常生活に左右されるなら、今すぐにでも、その考えを百八十度変えないと。


 まあ、人間のフリしたロボットじゃないから無茶か。

 粗茶のように、味も品も無さそうだし。

 到底、美冬という客人のお茶汲みも出来そうにないね。


 そうなると『残念困ったで賞』を、あの賢司(けんじ)から受賞されるかな。

 変に胴体がねじ曲がった五百ミリのペットボトルを渡されて、お金がないから、これがトロフィーですと、言われたりして……。


「さあ、早くしないと花火が始まるわ。急いで!!」


 大会開始の時間が刻々と迫り、なるべく人の往来を避けて通る僕ら。

 砂浜を抜け、砂利道でも歩きにくいかもだけど、人に飲まれてルートを限定されるよりはマシかな。


「きゃっ!?」


 僕の早足についていけないのか、美冬が小石にサンダルの足をとられ、転びそうになる身体を何とか支える。

 ヤベエ、何か細い腰とかマシュマロみたいに柔らかいし、うなじや浴衣から石鹸のいい匂いが……おいっ、静まれ、僕の煩悩!!


「ねえ、いい匂いがするって、マジでキモいんだけど」


「あわわっ、ごめん。つい心の声が」


「まあいいわ。とりあえず離れなさいよね!!」


「ぐわぁぁっ!?」


 美冬を抱き上げた際、不意に突き立てた彼女の目潰しを見事に食らうはめに……。


 おおう、この唐辛子ガブサイシンみたいな痛みは強烈だ。

 ヤベエ、下手すれば視力を失い、明日からゼロしか見えない異世界転生か。

 いや、見えないなら転生しても無意味か。


「ああっ、ごめんなさい。痛かった?」


「うん、天地が避けるほどにね」


 心配して気をかける相手に嫌がらせじゃなく、本能的な抵抗を受けた僕は、そのままそっくりの言葉でお返しをしたよ。

 天と地がひっくり返ったテントにて。


「……アンタ、一度、夏希の実験体にならないと分からないようね?」


「なりたくもないよ!!」


 何かご機嫌を損ねたようだけど、夏希のモルモットにはなりたくない。

 あの娘、手加減というのを知らないし……。


『ヒュウウウーン、ボンッ、ボンッ!!』


 屋台が並んでいた海辺から、どこまで歩いてきたのだろう。

 林に覆われた闇の夜空に、色鮮やかな花たちが開く。

 花は主張の強い音を立てて散り、大気に溶け込んでも一時の余韻を残す。

 おいおい、僕の心の声は吟遊詩人のつもりかよ。


「あっ……」


「花火大会始まったね」


「もう、アンタがモタモタしてるからよ!!」


 どんくさいとはいえ、全部、僕のせいなのか?

 何でもかんでも、僕という玩具におしつけているような……。


「来年で離れ離れになるから、今年はみんなで観ようって約束したのに……」


「んっ、何の話?」


「キモオタには関係ないことよ」


 シェアハウスに住む男女関係って、落差が激しすぎないかな。

 落ちた先は天国でも地獄でもなく、愛と無知の空間だよね。


「それからアンタさ、理解してる?」


「何のこと?」


「はあ……。本当に能天気な男ね。まあアンタは編入試験を受けたから、中間はチャラになってるけどさ」


「中間ということは、あの恒例行事の?」


 あの紙切れを想像し、それなら悪魔と契約した方がマシに思えてきた。

 そういえば担任の先生が言ってたな。

 時期的に中間は免除するから、今回は別に受けなくてもいいって。


「そうよ。このお祭りからの二週間後、ご待望の期末テストよ」


「ひょえええー!?」


 いきなりテストと聞かされ、何かがとり憑いた感じで奇声を上げる僕。


「何て顔してんのよ。イケメンが台無しよ」


「えっ、今、僕のことイケメンって……」


「……さ、さあ。いい感じに、()()麺が仕上がったなあって感じ?」


「……僕は出汁だけ搾り取られて、捨てられる運命なのか」


 そしてゴミとなり、焼却されて灰になり、リサイクルされて田畑の肥料となり、その肥料から農作物が育って、その作物が動物に食べられる。

 やがて人間の手で肥やした、その動物が捕まえられて、また新しい出汁を作るという無限ループの世界。


 そう考え、短く刈られた草むらにガッカリとひざをつき、落ち込んだ僕の肩に優しく手を置く美冬。

 そんな僕らを背に、波の音が静かに聞こえてくる。


「まっ、まあ、元気出しなよ。アンタみたいな陰キャガリ勉二次元オタクでも、いつか好きになってくれる女の子が、一人くらいは現れるわよ」


「かける言葉が慰めになってないんだけど……」


「当然よ。アタシはアンタのことなんて、これっぽっちも興味ないんだから」


「ズーン……」


 女の子から言われたキツイ言葉をまともに受けた僕には、絶望のビニールハウスでのひきこもりがお似合いだ。

 プチトマトに転生したら、少しは僕にも関心を抱いてくれるかな。


「だからそれくらいで落ち込まないの。男の子でしょーが?」


 美冬のトゲを刺した言葉に、ピュアな心が傷ついたんだよ。

 可愛い顔して、言うことがえげつないよね。


「こんな辛い想いをするなら、恋なんて二度としない」


「それ、全国の90%以上の既婚者が言ってる名台詞よ」


「マジかよ。残りの数%は?」


「そうね、二次元の方に走っていった駄目な──」


「わっ、分かった。皆まで言わなくていいから!!」


 その言葉の先が想定できて、急いで会話の流れを銅の剣みたいな信念で断ち切る。

 負け犬の末路……いや、遠吠えなんて、想像しただけでも怖いよね。


『ヒュウウウーン、ボン、ボンッ!!』


 空を華麗に舞う花火は、いがみ合う僕らにも無反応で、代わり映えもなく鳴り響く。

 次女と他愛もない会話をしながらも……。



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