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竜の瞳と聖女の涙  作者: 小鳥遊 美鈴
第一章  竜の瞳と宝石の花
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第二十一話  再びギルドへ

「お久しぶりですレナさん」


 久しぶりに訪れたギルドでキアラがレナを歓迎した。それにレナは会釈だけで返し、キアラのいる受付カウンターには行かずボードに張り出されている依頼を見に行った。常時張り出されているそれはいい依頼はほとんど無いが逆にあまりにも危険な依頼などもない。迂闊に受付の元へ依頼を受けに行くよりはずっと楽だと判断した結果の行動だった。だがそんなレナの背後に受付カウンターから出てきたキアラが立つ。


「レナさん、とってもいい依頼が沢山あるんですよ。少しお話しだけでも聞いて行きませんか? もちろん強制ではないですが」


 あくまでにこやかにキアラが話しかけてくるのをレナは結構だと断る。だがキアラはそれでも側を離れない。


「まだ何か? 前回の事、私覚えているんです。きっといい依頼はあるのでしょうが、その中に誰もが嫌がる依頼も混ぜるのでしょう? 今回は私そんな時間がないので受けられないんです」


「あらそうでしたか。ではそんなレナさんにピッタリな依頼がいくつか思い当たると言ったらどうでしょうか。私もあまり嫌われたくはないので今回は前回の様に押しつけたりしませんよ。今を優先すれば未来に大きな損失が出るのは火を見るより明らかですし」


 にっこりと微笑むキアラにレナは少し思案して話だけならと聞く事に。するとキアラはこちらへと、別室へレナを案内した。案内された部屋の中央にはテーブルとそれを挟む様にソファが置かれていた。それ以外で目立つものといえば右手の壁に大きな絵と部屋の隅の4箇所に甲冑がある事ぐらいでシンプルな小さな部屋だった。


 レナはソファに座る様促され座ると、キアラは少し待っていて下さいと部屋の奥にあった別の扉の向こうへ消えた。暫くしてキアラがポットとカップ、クッキーなどが入った皿を乗せたトレーを持って戻ってきた。そしてキアラに続くようにもう1人紙の束を持った女性が入ってくる。


 キアラはテーブルにトレーを置くとカップに紅茶を注ぎ入れた。どうぞと出されてレナはカップに口をつけた。その間にキアラがトレーに乗せたものを全てテーブルに置き、後ろに立っていた女性に紙の束と引き換えにトレーを渡して下がらせた。


「お待たせしてすみません」


「いえ。それで、ここに案内した理由はなんですか? 本当に変な依頼ではないんですよね?」


「これからお勧めするのはきちんとした短期で終わる依頼ですよ。ただ素行の悪い人でしたり実力のない人には任せられない大切なものです」


 これはコピーなのですがと何枚か紙を手渡されそれをレナは読んで見ることに。その内容は10日後に来る王様の周囲を警戒することであったり要人の警護、また祭りの際に設置される飾りなどの前日点検と様々であった。もうすぐ迫る日にまだこのような依頼を受けさせようというのは些か悠長なのではとレナが不審に思えば、それを察したのか人は多ければ多い方がいいとキアラ。


「警護をする人が複数いれば、互いの監視にもなります。もちろん信用に足る人物だけにこうしてお話させていただいていますが人は機械とは違い心変わりする生き物ですし絶対はないので。それにこうして人を増やすデメリットは出費ぐらいです、王の身に何かあるぐらいなら少しも惜しくはないものですから」


 改めてレナは紙に目線を落とす。依頼の報酬は王の身に関する事であるが為か中々にいいものだった。


(何事もなくただの見回りで済むなら条件は申し分ない。王が変な動きをしないか疑われず安全に見張れるか? いや、でも……)


 嫌な予感がすると言うわけではないが何故だか落ち着かない気持ちになるレナは知らず知らずのうちに力が入り、持っていた依頼の紙に多少シワが入ってしまった。その事にすぐにレナは気がつき、この状態で王の周辺で動く依頼を受けるのはあまり良くないと判断して結局断る事にした。

 キアラはやはりそうですよねと断られるだろう事は予想済みだったらしいすぐに引き下がり新たな依頼の話を始めた。



「では、こちらの依頼とあとこの3つでよろしいですね?」


「はい。所でその依頼の中の納品はすぐにでも出来ますけど今出しますか?」


「そうですね、こちらの肉の方は祭りの出し物として利用するので今すぐ納品してくださるのはとても助かります。

 それにしてもレナさんは色々な在庫があるのですね、商人ギルドの方へ行かれたりはしないのですか?」


「交渉とかやりとりが面倒なので。依頼として納品する方が楽だし報酬もきちんと受け取れるので今のままで不自由ありませんから」


 そうでしたかとキアラは言い、それから納品物を入れる袋を取りに部屋を出た。レナはその間に空間からこれから納品するものを出しておいた。目の前で何もない空間から取り出すところを見せようとは思わなかった。


「お待たせしました。はい、確かにレッドドラゴンの肉を受け取りました。これで王様にお出しする料理が豪華になります、ありがとうございます。ではこちらの報酬の引換券をお出ししますね。引き換えは無期限ですので、できれば現金への引き換えは祭りの後にお願いします」


「今回はすぐにお金は出せないんですね」


「そうですね……出せない事もないのですが祭りの前だという事で現金の引き出しに来る方で連日混んでいるのと、今回の依頼はギルドからの依頼なのでこちらに余裕がある時に報酬をお支払いしたいんです。ドラゴンの肉というのは決して安くはないものですしね」


 そういうものかとレナは納得し、その後も依頼内容と祭りまでの事について少し話をして冒険者ギルドを後にした。思っていたよりはスムーズにそれなりのお金を稼ぐ事が出来たなとレナは思った。


(さて、これから残り3つの依頼をこなすわけだけどいつ出発しようか)


 3つの依頼のうち、1つは草食動物のゼルーガの生け捕り。もう1つは屋台で出す肉としてウカシまるまる1頭、これは丸焼きにした際の見栄えの為出来るだけ傷をつけない事が条件だ。そして最後3つ目は千年亀の生き血だ。3つ目に至っては特に期限が決められておらず、貴族が精力剤として求めているだけだった。


 どれも普通に相手にする分には難しくない相手だ。だが生け捕りであったり傷をつけずに殺すと言った条件がつくだけでグンと難易度は上がる。またゼルーガとウカシはレナの住む樹海にはほとんど生息はしていない。徒歩で約2日程行った先の草原でよく見かける

個体だ、祭りが始まる10日前迄に行って帰らねばならない。レナは今回はまずウカシを狩ってからゼルーガを生け捕りして帰る予定を立て、今日は街の中をゆっくりする事にした。


「いらっしゃい、メニューは壁に書いてあるやつだけだよ。決まったら声をかけてね」


 恰幅のいい頭にタオルを巻いた男のようにも見えるおばさんが元気に働く飲食店で遅めの昼食を取る事に。レナは店オリジナルブレンドの飲み物とモヒンガーという麺料理を頼んだ。これでもかとふんだんに魚を使ってあり魚から出た出汁がとても美味しい。テーブルに元々置かれていた薬味などを少しずつ足しながら味に変化をつけ食べていき、気がつけばスープも全て飲み完食していた。会計の際、綺麗に食べてくれてありがとうねとおばさんがおまけだと飴玉をレナに渡しレナは受け取ってその場を後にした。


 そしてレナは街の中をぶらぶらとし色々なものを見て回ってからハナのいる宿屋へと戻った。


「ハナさん、明日ね——」


 丸一日ここから離れているかもしれないとレナはハナに残す子どもたちの事をお願いしつつ宿屋の手伝いをしてその日は終わった。

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