表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『この作品に、タイトルは付けられなかった。』  作者: qp46


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/19

16話『芯』

ノートパソコンの画面を見つめる


白い画面


点滅するカーソル


部屋は静かだった


コーヒーメーカーの湯気だけが、薄く空気へ溶けていく


凛は小さく息を吐いた


書けない


いや、

正確には違う


書こうとすると止まる


頭の中には言葉がある


でも形にならない


キーボードへ指を置く


数文字打つ


止まる


消す


また打つ


違う


これじゃない


椅子へ深くもたれかかる


天井を見る


最近ずっとこれだった


自分だけで書こうとすると、

苦しくなる


でもAIを開こうとすると、

逃げるみたいで嫌だった


スマホを手に取る


AIチャット


開きかけて止まる


画面を閉じる


その時だった


頭の奥で、

湊先生の声が蘇る


『でもお前いた』


凛は目を閉じる


さらに思い出す


『この小説、文章下手くそだ』


『だけどしっかりお前の芯が見えた気がする』


喉が小さく鳴る


凛はゆっくり目を開いた


……芯


小さく呟く


今まで、

ずっと勘違いしていたのかもしれない


AIを使ったら、

自分じゃないと思っていた


全部自分で書かなきゃ、

意味がないと思っていた


でも違う


大事なのはそこじゃない


凛は静かにAIチャットを開く


画面へテーマを打ち込む


数秒後、

文章が並び始めた


綺麗な文章だった


読みやすい


流れも自然


でもその中に、

欲しい一文だけ無かった


凛は小さく笑う


キーボードへ指を置いた


文章を書き換える


一文足す


また消す


言葉を混ぜる


少しずつ、

文章の温度が変わっていく


気づけば、

キーボードを打つ手が止まっていなかった


凛は画面を見つめる


AIが書いた文章だった


でもその中に、

ちゃんと自分がいた


小さく息を吐く


そして少しだけ笑った


「……あぁ、そっか」


カーソルが静かに点滅している


凛はもう一度キーボードへ手を置いた


「俺の芯があれば、ちゃんと俺の小説なんだ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ