第98話:仲間を探して
◆ リーナの報告
数日後――
会議室。
おっさん、リーナ、アルヴィン、エリス、ゴードン、ダリウス。
リーナが、報告した。
「ドワーフのこと、調べてきたわ」
おっさんが、聞いた。
「……どうだった?……」
リーナは、地図を広げた。
「ドワーフの国は、ここ」
険しい山脈を指さす。
「グレイピーク山脈」
「その地下に、ドワーフの都市がある」
「名前は、アイアンホールド」
アルヴィンが、頷いた。
「そうだ」
「俺も、聞いたことがある」
リーナは、続けた。
「でも、問題がある」
「最近、ドワーフとの取引が途絶えている」
おっさんが、聞いた。
「……途絶えている……?……」
リーナは、頷いた。
「ええ」
「通常、ドワーフは定期的に商品を持ってくる」
「武器、防具、酒」
「でも、2ヶ月前から来ない」
「商人たちも、心配している」
ゴードンが、言った。
「魔物の影響か」
リーナは、頷いた。
「おそらく」
「山道が、危険になっている」
「商人も、近づけない」
おっさんは、地図を見た。
険しい山。
遠い。
「……行くのは、大変だな……」
ダリウスが、言った。
「準備が必要です」
「装備、食料、人員」
おっさんは、頷いた。
「……ああ……」
「……でも、その前に……」
◆ アルヴィンの願い
アルヴィンが、前に出た。
「康太郎」
「お願いがある」
おっさんは、アルヴィンを見た。
「……何だ?……」
アルヴィンは、真剣な顔で言った。
「散り散りになった仲間を、探したい」
「エルフの国が壊滅した時」
「みんな、バラバラに逃げた」
「俺たちは、エリス様を守って、ここに来た」
「でも、他の仲間は……」
「森のどこかに、いるかもしれない」
エリスも、涙を流していた。
「私も、探したいです」
「仲間が、心配です」
おっさんは、頷いた。
「……分かった……」
「……捜索隊を出そう……」
アルヴィンは、感謝した。
「ありがとう、康太郎」
おっさんは、ダリウスを見た。
「……ダリウス……」
「……捜索隊を編成してくれ……」
ダリウスは、頷いた。
「了解しました」
◆ 捜索隊の編成
翌日――
捜索隊が、編成された。
メンバー:
- おっさん
- ダリウス
- バハムート
- アルヴィン
- ダニエル、ヴィクター
- 兵士10名
装備を整える。
剣、弓、魔道具。
食料、水。
全て揃った。
エリスが、見送りに来た。
「アルヴィン様」
「気をつけてください」
アルヴィンは、頷いた。
「ああ」
「必ず、仲間を見つけて帰る」
おっさんも、セシリアに見送られていた。
「コウタロウさん」
「無事に、帰ってきてください」
おっさんは、セシリアを抱きしめた。
「……ああ……」
「……すぐに、帰ってくる……」
子供たちも、手を振っている。
「ぱぱ、がんばって!」
「ばは、がんばって!」
バハムートは、苦笑した。
「子供たちには、甘いな」
おっさんは、笑った。
「……当然だ……」
捜索隊は、出発した。
◆ 森の捜索
森。
深い森。
捜索隊は、慎重に進んだ。
アルヴィンが、先頭。
「この辺りに、いるかもしれない」
「エルフは、森を好む」
「隠れやすい」
ダリウスが、兵士たちに指示した。
「散開しろ」
「でも、遠くに行くな」
「魔物に、注意しろ」
兵士たちは、散開した。
捜索を始める。
おっさんも、周囲を見回した。
「……エルフがいたら……」
「……どこに隠れる……?……」
バハムートが、言った。
「木の上、洞窟、茂み」
「エルフは、隠れるのが得意だ」
アルヴィンが、叫んだ。
「仲間たち!」
「聞こえるか!」
「アルヴィンだ!」
「安全だ! 出てきてくれ!」
森に、声が響く。
でも――
返事がない。
静寂。
アルヴィンは、諦めなかった。
「もう一度!」
また、叫ぶ。
「仲間たち!」
その時――
茂みが、揺れた。
おっさんが、気づいた。
「……あそこだ……!」
◆ エルフの発見
茂みから――
エルフが、現れた。
男性のエルフ。
ボロボロの服。
傷だらけ。
疲弊している。
アルヴィンが、駆け寄った。
「レオン!」
レオンと呼ばれたエルフは、アルヴィンを見た。
「……アルヴィン……様……?」
「……本当に……?」
アルヴィンは、レオンを抱きしめた。
「ああ、俺だ」
「生きていたのか!」
レオンは、涙を流した。
「……はい……」
「……でも、他の仲間は……」
その時――
茂みから、さらにエルフが出てきた。
女性のエルフ。
子供のエルフ。
合計5人。
全員、ボロボロ。
怪我をしている。
アルヴィンは、全員を抱きしめた。
「良かった……」
「生きていてくれて……」
おっさんは、エルフたちに近づいた。
「……大丈夫か?……」
レオンは、おっさんを見た。
警戒している。
「……人間……?」
アルヴィンが、説明した。
「彼は、康太郎だ」
「命の恩人だ」
「信頼できる」
レオンは、驚いた。
「人間が……恩人……?」
おっさんは、手を差し出した。
「……俺は、康太郎……」
「……お前たちを、助けに来た……」
レオンは、少し躊躇した。
でも――
おっさんの目を見て、安心した。
優しい目。
悪意がない。
レオンは、手を握った。
「……ありがとうございます……」
◆ 魔物の襲撃
その時――
地面が、揺れた。
魔物だ。
大きな魔物。
狼のような姿。
3匹。
目が、赤く光っている。
狂暴化している。
ダリウスが、叫んだ。
「敵だ!」
「エルフたちを、守れ!」
兵士たちが、前に出た。
剣を構える。
魔物が、襲いかかってきた。
速い。
兵士の一人が、斬りかかる。
でも――
魔物は、避けた。
そして、兵士に噛みついた。
「ぐあっ!」
ゴードンの護符が、光る。
ダメージが、軽減される。
「……助かった……」
ダニエルとヴィクターが、魔物に斬りかかった。
二人の剣が、魔物に当たる。
「やった!」
でも――
魔物は、まだ動いている。
「グルルル……」
バハムートが、前に出た。
「俺が、やる」
人の姿のまま。
でも――
圧倒的な力。
魔物に、拳を叩き込む。
魔物が、吹き飛ぶ。
「グオッ!」
倒れる。
動かない。
残りの2匹も、バハムートが倒した。
一瞬で。
圧倒的。
レオンたちは、驚愕していた。
「……あの人……」
「……すごい……」
アルヴィンが、説明した。
「あれは、バハムートだ」
「古代竜だ」
レオンたちは、さらに驚いた。
「古代竜!?」
「なぜ、人間と……!?」
おっさんが、言った。
「……仲間だ……」
「……話は、後で……」
「……今は、グリーンヘイブンに帰ろう……」
◆ 保護
グリーンヘイブンに、帰還した。
レオンたち5人のエルフを、保護した。
館の宿舎に、案内する。
エリスが、走ってきた。
「レオン! ミラ! みんな!」
レオンたちは、エリスを見て涙を流した。
「エリス様……!」
「ご無事で……!」
エリスは、みんなを抱きしめた。
「良かった……」
「生きていてくれて……」
セシリアとリリアが、治療を始めた。
怪我を、癒す。
白い魔石の魔道具で。
レオンたちの傷が、癒えていく。
「……楽になった……」
「……ありがとうございます……」
食事も、用意された。
温かいスープ。
パン。
肉。
レオンたちは、久しぶりのまともな食事に涙を流した。
「……美味しい……」
「……こんなに、優しくされるなんて……」
おっさんは、微笑んでいた。
(……良かった……)
(……助けられた……)
◆ ドワーフの情報
夜――
会議室。
おっさん、アルヴィン、レオン、ゴードン、ダリウス。
レオンが、報告した。
「逃げる途中……」
「山で、ドワーフを見ました」
おっさんが、聞いた。
「……ドワーフを……?……」
レオンは、頷いた。
「はい」
「グレイピーク山脈の麓で」
「彼らも、魔物に追われていました」
「数十人ほど」
「戦いながら、山の中へ逃げていきました」
アルヴィンが、聞いた。
「どうなった?」
レオンは、首を振った。
「分かりません」
「私たちも、逃げるのに必死でした」
「でも、おそらく……」
「地下都市に、逃げ込んだのでは」
おっさんは、地図を見た。
グレイピーク山脈。
「……ドワーフたちは、まだ生きている……」
「……可能性がある……」
ゴードンが、言った。
「でも、地下都市に閉じこもっているなら」
「しばらくは、大丈夫かもしれない」
「ドワーフの都市は、頑丈だ」
ダリウスも、頷いた。
「そうですね」
「すぐに危険というわけではない」
おっさんは、考えた。
「……でも、放っておけない……」
「……いずれ、助けに行く……」
「……でも、今すぐは無理だ……」
「……準備が必要だ……」
アルヴィンが、言った。
「そうだな」
「まず、エルフの仲間をもっと探そう」
「そして、情報を集めよう」
「ドワーフの正確な状況を」
おっさんは、頷いた。
「……ああ……」
「……焦らず、準備する……」
◆ 希望の光
その夜――
おっさんとセシリアの寝室。
おっさんは、窓の外を見ていた。
星空。
セシリアが、そばに来た。
「コウタロウさん」
「エルフの方々を、また救えましたね」
おっさんは、頷いた。
「……ああ……」
「……良かった……」
セシリアは、おっさんを抱きしめた。
「あなたは、優しいです」
「種族関係なく、助ける」
おっさんは、セシリアを抱きしめた。
「……当然のことだ……」
「……困っている者を、助ける……」
「……それだけだ……」
セシリアは、微笑んだ。
「でも、それができる人は少ないです」
「だから、素晴らしいんです」
おっさんは、照れくさそうに笑った。
そして――
窓の外を見た。
「……次は、ドワーフだ……」
「……彼らも、助ける……」
「……必ず……」
セシリアは、頷いた。
「はい」
「一緒に」
グリーンヘイブン。
エルフの仲間が、また増えた。
レオンたち5人。
保護され、治療され、安全になった。
そして――
ドワーフの情報も得た。
彼らは、まだ生きている可能性がある。
おっさんは、助けようとしている。
でも、焦らない。
準備をする。
仲間を増やす。
情報を集める。
そして――
いずれ、ドワーフを助けに行く。
新しい冒険が、待っている。
でも――
今は、準備の時。
仲間と共に。
家族と共に。
この街を、守りながら。
(次回:第99話に続く)




