第94話:魔物の活性化
◆ 報告
女神の警告から、数日後――
グリーンヘイブン。
おっさんは、館の執務室にいた。
ダリウスが、入ってきた。
緊張した顔。
「康太郎様」
「報告があります」
おっさんは、顔を上げた。
「……何だ?……」
ダリウスは、地図を広げた。
「森で、魔物の目撃情報が相次いでいます」
地図に印をつける。
複数の場所。
「ここ、ここ、ここ」
「以前より、数が多いです」
「そして、強いです」
おっさんは、地図を見た。
「……いつからだ?……」
ダリウス「数日前からです」
「最初は、小さな魔物だけでした」
「でも、昨日は中型の魔物が出ました」
「狩人が一人、怪我をしました」
おっさんは、拳を握りしめた。
「……女神の警告通りか……」
「……魔物が、活性化している……」
◆ 対策会議
おっさんは、みんなを集めた。
会議室。
ゴードン、真理、ダリウス、オスカー。
若者たち。ダニエル、ヴィクター、アレクサンダー、ルーカス、ロバート。
そして、バハムート。
人の姿で、腕を組んでいる。
おっさんが、説明した。
「……魔物が、活性化している……」
「……理由は、女神から聞いた……」
「……魔王だ……」
全員が、緊張した。
「魔王……!?」
おっさんは、頷いた。
「……まだ、魔王本体は来ない……」
「……でも、魔物が増えている……」
「……このままでは、住民に被害が出る……」
「……討伐隊を、編成する……」
ダリウスが、前に出た。
「了解しました」
「私が、指揮を執ります」
おっさんは、頷いた。
「……頼む……」
「……俺も、行く……」
セシリアが、心配そうに言った。
「コウタロウさん……」
おっさんは、セシリアの手を握った。
「……大丈夫だ……」
「……バハムートもいる……」
「……真理もいる……」
「……必ず、帰ってくる……」
バハムートが、言った。
「久しぶりの出番だな」
「楽しみだ」
真理も、頷いた。
「私も、戦います」
「勇者として」
ゴードンが、言った。
「俺は、魔道具を準備する」
「対魔物用の魔道具を」
おっさんは、頷いた。
「……頼む……」
◆ 準備
翌日――
討伐隊の準備が、進んだ。
メンバー:
- おっさん
- ダリウス
- バハムート
- 真理
- ダニエル、ヴィクター(騎士見習い)
- 兵士10名
ゴードンが、魔道具を配った。
「これは、防御の魔道具だ」
「魔物の攻撃を、軽減する」
小さな護符。
全員に、渡す。
「これは、攻撃用の魔道具だ」
「光の魔石を使っている」
「魔物は、光に弱い」
小さな杖。
魔法を増幅する。
真理が、受け取った。
「ありがとうございます、ゴードンさん」
ゴードンは、頷いた。
「気をつけてくれ」
おっさんは、剣を腰に下げた。
使い慣れた剣。
バハムートは、人の姿のまま。
「俺は、必要なら竜になる」
「でも、街が驚くからな」
「できるだけ、人の姿で戦う」
おっさんは、頷いた。
「……分かった……」
◆ 出発
討伐隊が、出発した。
住民たちが、見送る。
「気をつけて!」
「無事に帰ってきてください!」
セシリアとアリシアが、子供たちと一緒に見送っている。
ホープ、希望、光。
手を振っている。
「ぱぱ、がんばって!」
「ばは、がんばって!」
おっさんは、手を振った。
「……行ってくる……」
バハムートも、手を振った。
「待ってろ、子供たち」
討伐隊は、森へ向かった。
◆ 森の中
森。
深い森。
木々が、鬱蒼としている。
討伐隊は、慎重に進んだ。
ダリウスが、先頭。
「気をつけろ」
「魔物は、どこにでもいる」
兵士たちは、剣を構えている。
真理も、勇者の剣を持っている。
聖なる光が、剣から溢れている。
バハムートは、鼻をひくつかせた。
「……魔物の匂いがする……」
「……近いな……」
おっさんも、警戒した。
「……みんな、構えろ……」
その時――
茂みが、揺れた。
何かが、飛び出してきた。
魔物。
狼のような形。
でも、普通の狼の倍の大きさ。
目が、赤く光っている。
牙が、鋭い。
「グルルル……」
ダリウスが、叫んだ。
「敵だ!」
「迎撃しろ!」
◆ 戦闘
魔物が、襲いかかってきた。
速い。
兵士の一人が、剣を振る。
でも――
魔物は、避けた。
そして、兵士に噛みついた。
「ぐあっ!」
兵士が、倒れる。
でも――
ゴードンの護符が、光った。
ダメージが、軽減される。
「……助かった……」
ダニエルとヴィクターが、魔物に斬りかかった。
二人の剣が、魔物に当たる。
「やった!」
でも――
魔物は、まだ動いている。
傷は浅い。
「硬い!」
真理が、前に出た。
勇者の剣を構える。
「聖なる光よ!」
剣が、強く輝いた。
真理が、斬りかかる。
魔物に、直撃。
「ギャアアア!」
魔物が、悲鳴を上げた。
光に、焼かれている。
そして――
倒れた。
動かない。
真理は、息を切らしている。
「……倒しました……」
でも――
その時。
茂みから、さらに魔物が出てきた。
3匹。
4匹。
5匹。
たくさん。
ダリウスが、叫んだ。
「多すぎる!」
「構えろ!」
バハムートが、前に出た。
「任せろ」
そして――
咆哮した。
「グオオオオオ!!」
古代竜の咆哮。
圧倒的な威圧感。
魔物たちが、怯んだ。
動きが、止まる。
恐怖している。
バハムートは、魔物を睨んだ。
「俺は、古代竜バハムートだ」
「お前たちごときに、負けるか」
魔物たちは、震えている。
その時――
おっさんが、気づいた。
魔物の中に、一匹だけ。
震えていない魔物がいる。
小さな魔物。
子供のような大きさ。
怯えている。
でも――
攻撃してこない。
ただ、見ている。
おっさんは、その魔物に近づいた。
「……待て……」
ダリウスが、止めた。
「康太郎様、危険です!」
おっさんは、首を振った。
「……いや、この魔物は……」
「……違う……」
おっさんは、小さな魔物の前にしゃがんだ。
手を差し出す。
魔物は、おっさんを見た。
怯えている。
でも――
敵意はない。
おっさんは、優しく言った。
「……怖くないぞ……」
「……俺は、お前を傷つけない……」
魔物は、少し近づいた。
おっさんの手に、鼻を近づける。
匂いを嗅ぐ。
そして――
おっさんの手を、舐めた。
おっさんは、微笑んだ。
「……そうか……」
「……お前は、仲間になれるな……」
バハムートが、近づいてきた。
「康太郎」
「その魔物、知性がある」
「飼いならせるかもしれない」
おっさんは、頷いた。
「……そう思った……」
「……全ての魔物が、敵じゃない……」
「……倒すべき魔物と……」
「……共存できる魔物がいる……」
真理も、近づいてきた。
「そうですね」
「魔物も、生き物です」
「全て殺す必要はないかもしれません」
おっさんは、小さな魔物を抱き上げた。
「……お前は、連れて帰る……」
魔物は、おっさんに抱かれて安心したよう。
大人しくしている。
◆ 他の魔物
でも――
他の魔物は、違った。
大きな魔物たち。
凶暴。
攻撃してくる。
バハムートが、対応した。
人の姿のまま。
でも――
圧倒的な力。
拳で、魔物を殴る。
魔物が、吹き飛ぶ。
「グオッ!」
倒れる。
真理も、斬りかかる。
勇者の剣で。
聖なる光で。
魔物を、浄化する。
「ギャアア!」
ダニエルとヴィクターも、戦っている。
成長した力で。
魔物を、倒していく。
数時間後――
全ての凶暴な魔物を、倒した。
でも――
小さな魔物、知性のある魔物は、倒さなかった。
3匹ほど、捕獲した。
おっさんが、抱いている。
「……この子たちは、連れて帰る……」
「……飼いならす……」
ダリウスは、心配そう。
「大丈夫ですか?」
おっさんは、頷いた。
「……バハムートも、最初は敵だった……」
「……でも、今は仲間だ……」
「……魔物も、同じかもしれない……」
◆ 帰還
討伐隊は、グリーンヘイブンに帰った。
凶暴な魔物は、倒した。
でも――
小さな魔物3匹を、連れて帰った。
住民たちは、驚いた。
「魔物を、連れてきた!?」
おっさんが、説明した。
「……この魔物たちは、凶暴じゃない……」
「……知性がある……」
「……飼いならせる……」
「……試してみたい……」
住民たちは、不安そう。
でも――
おっさんを、信じている。
「……分かりました……」
「……康太郎様を、信じます……」
おっさんは、魔物たちを厩舎に入れた。
バハムートが、見守る。
「俺が、監視する」
「何かあったら、すぐに対処する」
おっさんは、頷いた。
「……頼む……」
◆ 夜の会議
夜――
会議室。
おっさん、ゴードン、真理、ダリウス、オスカー、バハムート。
おっさんが、言った。
「……今日の戦闘で、分かったことがある……」
「……魔物には、二種類いる……」
「……凶暴で、倒すべき魔物……」
「……そして、知性があり、共存できる魔物……」
ゴードンが、聞いた。
「どう見分ける?」
おっさんは、考えた。
「……目を見れば、分かる……」
「……凶暴な魔物は、目が赤く光っている……」
「……でも、知性のある魔物は、違う……」
「……普通の目だ……」
真理も、頷いた。
「そうですね」
「私も、そう感じました」
バハムートが、言った。
「俺もそうだった」
「最初は、康太郎を敵と思っていた」
「でも、話して分かった」
「敵じゃないと」
おっさんは、頷いた。
「……だから、これからは……」
「……全ての魔物を倒すんじゃなく……」
「……見極める……」
「……倒すべき魔物は、倒す……」
「……でも、共存できる魔物は、飼いならす……」
「……それが、俺たちのやり方だ……」
全員が、頷いた。
「了解しました」
◆ 今後の対策
オスカーが、言った。
「でも、魔物は増え続けています」
「女神の警告通り、魔王の影響です」
「どうしますか?」
おっさんは、真剣な顔になった。
「……防衛体制を、強化する……」
「……ダリウス、兵士を増やせ……」
「……訓練も、強化しろ……」
ダリウスは、頷いた。
「了解しました」
「……ゴードン、対魔物用の魔道具を、もっと作ってくれ……」
ゴードンは、頷いた。
「ああ」
「……オスカー、街の防壁を、強化しろ……」
「……魔物が、侵入できないように……」
オスカーは、頷いた。
「すぐに、取り掛かります」
おっさんは、みんなを見た。
「……魔物の活性化は、序章だ……」
「……魔王が、いずれ来る……」
「……でも、恐れるな……」
「……準備をすれば、守れる……」
「……この街を……」
「……家族を……」
「……みんなを……」
全員が、頷いた。
「はい!」
グリーンヘイブン。
魔物が、活性化している。
凶暴な魔物を、倒した。
でも――
知性のある魔物は、飼いならす。
おっさんの新しい方針。
全てを倒すのではなく。
共存できる者とは、共存する。
それが、おっさんのやり方。
防衛体制も、強化する。
魔王に、備える。
新たな戦いが、始まっている。
でも――
おっさんは、負けない。
仲間と共に。
家族と共に。
この街を、守り抜く。
(次回:第95話「エルフとの遭遇」に続く)




