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52歳のおっさん、異世界転移したら下水道に捨てられた――下水の汚物は宝の山だった  作者: よっしぃ@書籍化


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第90話:疫病終息

 ◆ 終息の兆し


 2週間後――


 グリーンヘイブン。


 新規感染者が、ゼロになった。


 1日、2日、3日。


 ずっと、ゼロ。


 隔離施設も、空になった。


 最後の患者が、回復して退院した。


 おっさんは、オスカーから報告を受けた。


「康太郎様」


「新規感染者、7日連続でゼロです」


「疫病は、終息したと判断して良いかと」


 おっさんは、深く息をついた。


「……そうか……」


「……終わった……のか……」


 オスカーは、頷いた。


「はい」


「治療魔道具のおかげです」


「早期発見、早期治療が徹底されました」


「結果、感染は完全に止まりました」


 おっさんは、窓の外を見た。


 街。


 住民たちが、普通に歩いている。


 マスクをつけて。


 でも――


 表情は、明るい。


「……良かった……」



 ◆ 住民への報告


 中心広場。


 おっさんが、住民たちに報告した。


「みんな、聞いてくれ」


 住民たちが、集まった。


 全員、マスクをつけている。


 おっさんが、大声で言った。


「疫病は、終息した」


「新規感染者、7日連続でゼロだ」


「みんなの協力のおかげだ」


「ありがとう」


 住民たちは、一瞬静かだった。


 そして――


 歓声が上がった。


「やった!!」


「終わった!!」


「ありがとうございます、康太郎様!!」


 拍手。


 涙。


 抱き合う者たち。


 喜びの声が、響く。


 おっさんは、手を上げた。


「でも、油断はするな」


「まだしばらく、マスクは続けてくれ」


「手洗い、消毒も」


「再発を、防ぐために」


 住民たちは、頷いた。


「分かりました!」


 おっさんは、続けた。


「そして……」


「……忘れてはいけない……」


「……この戦いで、3人の犠牲者が出た……」


 住民たちは、静かになった。


 おっさんは、真剣な顔で言った。


「その3人を、忘れるな」


「彼らの犠牲があって、今がある」


「感謝を、忘れるな」


 住民たちは、頭を下げた。


 黙祷。


 静かな時間。



 ◆ 墓前での誓い


 翌日――


 街の墓地。


 3人の墓。


 新しい墓石が、立っていた。


 おっさんは、墓石の前に立っていた。


 セシリア、ゴードン、リーナ、オスカー、ダリウス。


 住民の代表たちも、集まっていた。


 おっさんは、墓石を見つめた。


 そこには、文字が刻まれていた。


 おっさんが、自ら考えた言葉。


 石工に頼んで、刻んでもらった。


 おっさんは、声に出して読んだ。


「ここに眠る3名の尊き魂に捧ぐ」


「君たちの犠牲があって、治療魔道具は完成した」


「その魔道具は、多くの人を救った」


「そして、これからも救い続ける」


「君たちは、きっかけとなった」


「その尊い犠牲を、我々は決して忘れない」


「安らかに眠れ」


「我々は、君たちの分まで生きる」


 住民たちは、涙を流していた。


 セシリアも、泣いている。


 ゴードンも、リーナも。


 みんな。


 おっさんは、墓に手を合わせた。


「……ありがとう……」


「……お前たちのおかげで、気づけた……」


「……治療魔道具を、早く完成させないといけないと……」


「……そして、完成させた……」


「……お前たちの犠牲は、無駄じゃなかった……」


「……多くの命を、救った……」


 おっさんは、涙を流した。


「……でも、すまなかった……」


「……お前たちを、救えなくて……」


 セシリアが、おっさんの手を握った。


「……コウタロウさん……」


 おっさんは、セシリアを見た。


 セシリアは、涙を流しながら微笑んだ。


「……この3人は、今も見守ってくれています……」


「……天国から……」


「……だから、前を向きましょう……」


 おっさんは、頷いた。


「……ああ……」


 住民たちも、墓に手を合わせた。


 一人ずつ。


 感謝の言葉を。


 祈りを。


 捧げた。


「ありがとうございました」


「安らかに」


「忘れません」



 ◆ 治療魔道具の拡散


 数日後――


 会議室。


 おっさん、オスカー、ゴードン、リーナが集まった。


 おっさんが、言った。


「……治療魔道具を、他国にも提供する……」


 リーナが、聞いた。


「他国に?」


 おっさんは、頷いた。


「……ああ……」


「……ラザール王国、グレンデール公国……」


「……疫病が、まだ続いている……」


「……多くの人が、苦しんでいる……」


「……助けたい……」


 ゴードンが、言った。


「治療セットを、提供するのか?」


 おっさんは、頷いた。


「……ああ……」


「……そして、作り方も教える……」


「……自分たちで作れるように……」


 オスカーが、驚いた。


「作り方まで!?」


「それは、グリーンヘイブンの財産では……」


 おっさんは、首を振った。


「……財産より、命だ……」


「……人の命を、救うために……」


「……技術は、共有すべきだ……」


 リーナが、微笑んだ。


「コータロー、らしいわね」


「分かったわ」


「私が、使者として行く」


「治療セットと、技術を持って」


 おっさんは、リーナに頭を下げた。


「……頼む……」



 ◆ 感謝


 2週間後――


 リーナが、帰ってきた。


 報告を、した。


「治療セットを、両国に渡したわ」


「技術も、教えた」


「すぐに、量産を始めるって」


 おっさんが、聞いた。


「……反応は?……」


 リーナは、微笑んだ。


「感謝されたわ」


「涙を流して、お礼を言われた」


「王様たちも、直接会ってくれた」


「グリーンヘイブンに、恩を感じているって」


 おっさんは、安堵した。


「……良かった……」


 リーナは、続けた。


「それと、これ」


 手紙を、渡した。


 おっさんは、読んだ。


 ラザール王国の王からの手紙。


「グリーンヘイブン伯爵、康太郎殿」


「治療魔道具、誠にありがとうございました」


「おかげで、多くの民を救うことができました」


「この恩は、決して忘れません」


「今後とも、友好関係を」


 グレンデール公国の公からの手紙も。


 同じような内容。


 感謝の言葉。


 友好の申し出。


 おっさんは、微笑んだ。


「……良かった……」


 ゴードンが、言った。


「康太郎のおかげで、多くの国で命が救われた」


「すごいことだ」


 おっさんは、首を振った。


「……俺じゃない……」


「……お前が、治療魔道具を作ってくれたからだ……」


「……セシリアとリリアが、力を貸してくれたからだ……」


「……みんなのおかげだ……」


 リーナが、笑った。


「また、そうやって謙遜する」


「素直に、受け取りなさいよ」


 おっさんは、照れくさそうに笑った。



 ◆ 平和の再来


 数週間後――


 グリーンヘイブン。


 完全に、平和が戻った。


 マスクを外す住民たち。


 笑顔で、歩く。


 店が、賑わっている。


 子供たちが、走り回っている。


 おっさんは、街を歩いていた。


 セシリアと、一緒。


 ホープ、希望、光も。


 子供たちは、元気いっぱい。


「ぱぱ、あそぼ!」


「ままも!」


 セシリアが、微笑んだ。


「はい、遊びましょう」


 おっさんは、子供たちを見た。


 笑顔。


 無邪気。


 幸せそう。


(……守れた……)


(……この笑顔を……)


(……この平和を……)


 おっさんは、空を見上げた。


 青い空。


 美しい。


(……3人よ……)


(……見ているか?……)


(……平和が、戻った……)


(……お前たちの犠牲は、無駄じゃなかった……)


(……多くの命を、救った……)


(……ありがとう……)


 風が、吹いた。


 優しい風。


 まるで、3人が答えているかのよう。


 おっさんは、微笑んだ。


 そして――


 家族と一緒に、歩き始めた。


 平和な街を。


 温かい日差しの中を。



 ◆ 夜の会話


 夜――


 おっさんとセシリアの寝室。


 二人は、ベッドに座っていた。


 セシリアが、おっさんに寄りかかった。


「……コウタロウさん……」


「……疫病、終わりましたね……」


 おっさんは、頷いた。


「……ああ……」


 セシリアが、続けた。


「……3人の犠牲は、悲しいです……」


「……でも、その犠牲があって、多くを救えました……」


「……コウタロウさんは、よくやりました……」


 おっさんは、窓の外を見た。


 星空。


「……本当に、よくやれたのか……?……」


「……もっと早く、気づいていれば……」


「……3人を、救えたかもしれない……」


 セシリアは、おっさんを抱きしめた。


「……コウタロウさん……」


「……あなたは、十分やりました……」


「……誰も、あなたを責めません……」


「……3人も、天国で笑っていると思います……」


 おっさんは、セシリアを抱きしめた。


「……ありがとう……」


 セシリアは、おっさんの胸に顔を埋めた。


「……これからも、一緒に……」


「……この街を、守りましょう……」


「……家族を、守りましょう……」


 おっさんは、頷いた。


「……ああ……」


 二人は、静かに抱き合った。


 窓の外には、星が輝いている。


 平和な夜。


 温かい夜。


 疫病は、終わった。


 犠牲者は、忘れない。


 でも――


 前を向く。


 生き続ける。


 守り続ける。


 それが、おっさんの決意。



 グリーンヘイブン。


 疫病が、終息した。


 3人の犠牲者。


 その墓には、誓いの言葉が刻まれている。


「君たちの犠牲があって、治療魔道具は完成した」


「その魔道具は、多くの人を救った」


「そのきっかけとなった3名の尊い犠牲を忘れない」


 治療魔道具は、他国にも広がった。


 多くの命を、救い続けている。


 3人の犠牲は、無駄ではなかった。


 おっさんは、前を向く。


 家族と共に。


 仲間と共に。


 平和な日々を、守り続ける。


 新しい物語が、始まる。



(次回:第91話「ノルディアからの招待」に続く)

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