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52歳のおっさん、異世界転移したら下水道に捨てられた――下水の汚物は宝の山だった  作者: よっしぃ@書籍化


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第87話:疫病到来

◆ 感染拡大


最初の感染者が出てから――


3日後。


隔離施設。


ベッドが、埋まり始めていた。


10人。


感染者が、10人になった。


商人が2人。


住民が8人。


全員、高熱、咳、体の痛み。


苦しそうに、横たわっている。


セシリアとリリアとエリアスが、治療に当たっていた。


でも――


追いつかない。


セシリアは、疲れている。


毎日、光の祝福を使っている。


でも、完治させることができない。


症状を、和らげることしかできない。


リリアも、同じ。


白い魔石の治療魔道具を使っている。


でも、効果が薄い。


エリアスは、祈り続けている。


「神よ、この者たちを癒したまえ」


でも――


神の加護だけでは、足りない。


おっさんは、施設の外で立っていた。


オスカー、ダリウスと一緒。


おっさんは、拳を握りしめていた。


「……このままでは……」


「……間に合わない……」


オスカーが、報告した。


「他にも、症状を訴える者が出ています」


「まだ軽症ですが……」


「おそらく、感染しています……」


ダリウスも、言った。


「住民の不安が、高まっています」


「疫病が広がっているのではないか、と」


おっさんは、頭を抱えた。


(……どうすれば……)


(……このままでは、街中に広がる……)



◆ 日本での記憶


その時――


おっさんは、思い出した。


前世。


日本での記憶。


インフルエンザが流行った時。


病院で。


看護師たちが、マスクをしていた。


医者たちが、手袋をしていた。


重症患者の治療には、防護服。


全身を覆う、白い服。


おっさんは、気づいた。


(……そうだ……!)


(……マスク……!)


(……手袋……!)


(……防護服……!)


(……病気は、飛沫で広がる……)


(……咳やくしゃみで……)


(……だから、口と鼻を覆う……)


(……直接、触れないようにする……)


(……全身を、守る……)


おっさんは、オスカーを見た。


「……オスカー……!」


「……急いでほしいものがある……!」



◆ マスクの製作


おっさんは、裁縫師たちを集めた。


館の広間。


10人の裁縫師。


女性たちが、集まっている。


おっさんが、説明した。


「……マスクを作ってほしい……」


裁縫師たちは、首を傾げた。


「マスク……?」


おっさんは、紙に絵を描いた。


簡単な図。


口と鼻を覆う、布。


紐で、耳にかける。


「……こういうものだ……」


「……布で作る……」


「……口と鼻を、覆う……」


「……病気が、広がるのを防ぐ……」


裁縫師たちは、理解した。


「なるほど」


「飛沫を、防ぐんですね」


おっさんは、頷いた。


「……ああ……」


「……住民全員分……」


「……急いで作ってほしい……」


裁縫師たちは、頷いた。


「了解しました!」


「すぐに、取り掛かります!」



◆ 手袋と防護服


おっさんは、次にゴードンを呼んだ。


「……ゴードン……」


「……手袋と、防護服が必要だ……」


ゴードンは、聞いた。


「手袋? 防護服?」


おっさんは、説明した。


「……治療に当たる者が、身につける……」


「……手袋は、革か厚手の布……」


「……感染者に、直接触れないように……」


「……防護服は、全身を覆う服……」


「……厚手の布で……」


「……目だけ、出す……」


おっさんは、また絵を描いた。


全身を覆う服。


頭から足まで。


目の部分だけ、開いている。


ゴードンは、理解した。


「なるほど」


「感染を、防ぐわけだ」


おっさんは、頷いた。


「……ああ……」


「……セシリア、リリア、エリアス用に……」


「……急いで作ってくれ……」


ゴードンは、頷いた。


「分かった」


「すぐに、取り掛かる」



◆ 製作開始


街中が、動き出した。


裁縫師たちは、マスクを作り始めた。


布を切る。


縫う。


紐をつける。


次々と。


他の住民たちも、手伝った。


「私も、手伝います!」


「布なら、家にあります!」


みんなで、協力した。


ゴードンの工房では――


防護服を作っていた。


厚手の布。


全身を覆う形。


縫い合わせる。


真理も、手伝っている。


「これで、いいですか?」


ゴードンは、頷いた。


「ああ」


「完璧だ」


手袋も、作った。


革を切って、縫う。


指が動かせるように。


でも、厚手。



◆ 完成


2日後――


マスクが、完成した。


約5000枚。


住民全員分。


おっさんは、中心広場で配った。


「……これを、つけてくれ……」


「……口と鼻を、覆う……」


「……病気を、防ぐために……」


住民たちは、マスクを受け取った。


つけてみる。


最初は、違和感。


でも――


すぐに慣れた。


「これで、安全になるんですね」


「康太郎様、ありがとうございます」


おっさんは、頷いた。


「……完璧じゃない……」


「……でも、ないよりはマシだ……」


「……必ず、つけてくれ……」


住民たちは、頷いた。


「はい!」



防護服と手袋も、完成した。


3着。


白い防護服。


全身を覆う。


目だけ、出ている。


厚手の手袋。


おっさんは、セシリアに渡した。


「……セシリア……」


「……これを、着てくれ……」


セシリアは、防護服を見た。


「……これを……?」


おっさんは、頷いた。


「……ああ……」


「……感染を、防ぐために……」


「……お前が倒れたら、困る……」


セシリアは、涙を流した。


「……ありがとうございます……」


リリアとエリアスにも、渡した。


二人とも、感謝した。


「康太郎様、ありがとうございます」



◆ 装備しての治療


隔離施設。


セシリア、リリア、エリアスが、防護服を着ていた。


白い服。


全身を覆っている。


厚手の手袋。


マスクも、つけている。


おっさんも、マスクをつけている。


施設の外で、見守っている。


セシリアが、感染者のそばに行く。


防護服越しに、手を当てる。


「光の祝福」


光が、溢れる。


感染者の呼吸が、楽になる。


リリアも、治療している。


白い魔石の魔道具。


エリアスは、祈っている。


三人とも、必死。


おっさんは、その様子を見ていた。


(……頑張ってくれている……)


(……でも……)



◆ それでも広がる


数日後――


感染者は、さらに増えた。


20人。


隔離施設は、ほぼ満床。


マスクをつけていても。


防護服を着ていても。


感染は、広がっていく。


完全には、防げない。


住民の不安が、高まっていた。


「大丈夫でしょうか……」


「このまま、広がるのでは……」


「私たちも、感染するのでは……」


おっさんは、街を歩いていた。


オスカーと一緒。


マスクをつけて。


住民たちも、マスクをつけている。


でも――


不安そうな顔。


一人の老人が、おっさんに話しかけた。


「康太郎様……」


「大丈夫なのでしょうか……」


おっさんは、老人の肩を抱いた。


「……大丈夫だ……」


「……必ず、治す方法を見つける……」


「……信じてくれ……」


老人は、涙を流した。


「……はい……」


「……信じます……」



◆ 会議


夜――


会議室。


おっさん、オスカー、ゴードン、ダリウス、リーナが集まった。


全員、疲れている。


おっさんが、口を開いた。


「……現状は?……」


オスカーが、報告した。


「感染者20人」


「重症者3人」


「死者は、まだいません」


「でも……」


「時間の問題かもしれません」


おっさんは、拳を握りしめた。


「……死者を、出すわけにはいかない……」


ゴードンが、言った。


「治療用魔道具の開発を、急いでいる」


「でも、まだ完成していない」


「理論は分かっている」


「セシリアとリリアの力を、もっと強く魔道具に込める」


「そうすれば、完治させられるはずだ」


「でも、まだ時間がかかる」


おっさんは、聞いた。


「……どれくらい?……」


ゴードンは、考えた。


「……数日……」


「いや、1週間はかかる」


おっさんは、頭を抱えた。


「……1週間……」


「……それまで、持つか……」


リーナが、言った。


「コータロー」


「他国にも、協力を求めたら?」


「エドワード王国、ノルディア王国」


「みんな、助けてくれるはずよ」


おっさんは、頷いた。


「……そうだな……」


「……すぐに、使者を送る……」


「……協力を、求める……」



◆ セシリアとの会話


深夜――


おっさんとセシリアの寝室。


セシリアは、疲れ果てていた。


毎日、治療に当たっている。


でも――


完治させることができない。


セシリアは、涙を流していた。


「……コウタロウさん……」


「……私の力では、足りません……」


「……症状を和らげることしかできません……」


「……完治させることができません……」


おっさんは、セシリアを抱きしめた。


「……お前は、よくやってくれている……」


「……お前のおかげで、みんな楽になっている……」


「……死者が出ていないのも、お前のおかげだ……」


セシリアは、泣き続けた。


「……でも……」


「……でも……」


おっさんは、セシリアの頭を撫でた。


「……大丈夫だ……」


「……ゴードンが、治療用魔道具を作ってくれる……」


「……それまで、お前は頑張ってくれ……」


「……でも、無理はするな……」


セシリアは、おっさんの胸に顔を埋めた。


「……はい……」



おっさんは、窓の外を見た。


暗闇。


星が、輝いている。


でも――


不安が、心を覆っている。


(……治療用魔道具……)


(……間に合ってくれ……)


(……それまで、誰も死なないでくれ……)


(……頼む……)



グリーンヘイブン。


疫病が、広がっている。


感染者20人。


マスク、手袋、防護服。


対策は、講じた。


でも――


完全には、防げない。


セシリアとリリアとエリアスが、必死に治療している。


でも――


完治させることができない。


おっさんは、祈る。


治療用魔道具の完成を。


死者が出ないことを。


時間との戦い。


命をかけた、戦い。



(次回:第88話「治療魔道具開発」に続く)

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