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52歳のおっさん、異世界転移したら下水道に捨てられた――下水の汚物は宝の山だった  作者: よっしぃ@書籍化


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第86話:異変の兆し

 ◆ 隔離施設完成


 3日後――


 早朝。


 街の外れ。


 大きな建物が、完成していた。


 隔離施設。


 木造の、しっかりした建物。


 中には、ベッドが並んでいる。


 約50床。


 医療設備も、揃っている。


 棚には、薬草、布、水。


 全てが、準備されている。


 おっさんは、施設の中を歩いていた。


 オスカー、ダリウスが、案内している。


 オスカーが、説明した。


「康太郎様」


「3日で、完成しました」


「ベッド50床」


「医療設備、全て揃えました」


「水も、井戸を掘って確保しました」


 おっさんは、頷いた。


「……よくやってくれた……」


「……3日で、これだけのものを……」


 ダリウスが、言った。


「兵士たちも、全力で働きました」


「大工たちも、昼夜問わず」


「みんな、この街を守りたいと」


 おっさんは、二人の肩を叩いた。


「……ありがとう……」


「……お前たちのおかげだ……」


 二人は、涙を流していた。


「……もったいないお言葉です……」



 ◆ 魔道具の開発


 午後――


 ゴードンの工房。


 おっさん、ゴードン、セシリア、リリアが集まっていた。


 机の上には、魔石が並んでいる。


 白い魔石。


 光の魔石。


 ゴードンが、説明した。


「康太郎」


「魔道具の開発を、進めている」


「でも、難しい」


 おっさんが、聞いた。


「……どんな魔道具を?……」


 ゴードンは、白い魔石を手に取った。


「まず、白い魔石の結界」


「隔離施設の周囲に、張る」


「病気の広がりを、防ぐ」


「セシリアの光の祝福と、リリアの治癒の力を……」


「この魔石に、込める」


 セシリアが、言った。


「私の力を、魔石に?」


 ゴードンは、頷いた。


「ああ」


「お前の光の祝福は、浄化の力がある」


「それを魔石に込めれば……」


「結界として、機能するはずだ」


 リリアも、言った。


「私の治癒の力も、使えますか?」


 ゴードンは、頷いた。


「ああ」


「二人の力を、合わせる」


「そうすれば、強力な結界になる」


 おっさんは、聞いた。


「……できるのか?……」


 ゴードンは、少し躊躇した。


「……まだ、試作段階だ……」


「……理論上は、できるはずだが……」


「……実際に、試さないと分からない……」


 おっさんは、頷いた。


「……やってみよう……」



 ◆ セシリアとリリアの力


 ゴードンが、白い魔石を並べた。


 大きな円を作る。


 10個の魔石。


 ゴードンが、セシリアに言った。


「セシリア」


「この魔石に、お前の力を込めてくれ」


「光の祝福を」


「浄化の力を」


 セシリアは、頷いた。


「……分かりました……」


 セシリアは、魔石の前に立った。


 手を差し出す。


 そして――


 祈った。


「光よ……」


「この魔石に、宿れ……」


「浄化の力を……」


「病を、払う力を……」


 光が、溢れ出た。


 セシリアの手から。


 優しい光。


 温かい光。


 光が、魔石に吸い込まれていく。


 魔石が、輝き始めた。


 白く。


 美しく。


 ゴードンは、目を輝かせた。


「……すごい……」


「……魔石が、力を吸収している……」


 リリアも、同じようにした。


 治癒の力を、魔石に込める。


「癒しの力よ……」


「この魔石に、宿れ……」


 光が、魔石に吸い込まれる。


 魔石が、さらに輝いた。


 ゴードンは、魔石を手に取った。


「……成功だ……」


「……これで、結界が張れる……」


 おっさんは、微笑んだ。


「……良かった……」



 ◆ 感染予防の魔道具


 ゴードンは、次に小さな魔道具を見せた。


 護符のような形。


 白い魔石が、埋め込まれている。


「これは、感染予防の魔道具だ」


「身につける」


「病気から、身を守る」


 おっさんが、聞いた。


「……効果は?……」


 ゴードンは、正直に答えた。


「……まだ、分からない……」


「……完璧ではない……」


「……でも、ないよりはマシだと思う……」


「……少しでも、感染リスクを減らせるはずだ……」


 おっさんは、頷いた。


「……それで、いい……」


「……完璧じゃなくても……」


「……あるのとないのでは、違う……」


 ゴードンは、感謝した。


「……ありがとう……」


「……もっと、改良する……」


 おっさんは、護符を手に取った。


「……これを、セシリア、リリア、エリアスに……」


「……治療に当たる者全員に、配る……」


 ゴードンは、頷いた。


「ああ」


「すぐに、量産する」



 ◆ 消毒用魔道具


 ゴードンは、最後に光の魔石を見せた。


 小さな箱に、入っている。


「これは、消毒用魔道具だ」


「手や物を、浄化する」


「光の魔石の力を使っている」


 ゴードンが、実演した。


 手を、箱の上にかざす。


 光が、手を包む。


「これで、病気の元を殺す」


「こまめに使えば、感染を防げる」


 おっさんは、感心した。


「……すごいな……」


「……3日で、これだけのものを……」


 ゴードンは、首を振った。


「まだ、不完全だ」


「治療用の魔道具は、まだできていない」


「感染を防ぐことはできても……」


「病気を治すことは、まだ……」


 おっさんは、ゴードンの肩を叩いた。


「……いや、十分だ……」


「……お前は、よくやってくれた……」


「……治療用は、これから作ればいい……」


 ゴードンは、頷いた。


「……ああ……」


「……必ず、完成させる……」



 ◆ 結界の設置


 夕方――


 隔離施設。


 ゴードン、セシリア、リリアが、魔石を設置していた。


 施設の周囲に。


 10個の魔石。


 等間隔で。


 円を描くように。


 ゴードンが、最後の魔石を設置した。


「……これで、いい……」


 そして――


 魔法を唱えた。


「光よ、繋がれ」


「結界となれ」


 魔石が、一斉に輝いた。


 光の線が、魔石から魔石へと伸びる。


 円を描く。


 光の結界。


 美しい。


 でも――


 おっさんには、見えた。


 不安定な部分。


 完璧ではない。


 ゴードンも、気づいている。


「……まだ、弱い……」


「……完璧じゃない……」


「……でも、ないよりはマシだ……」


 セシリアが、言った。


「私たちで、強化します」


「毎日、力を込めます」


 リリアも、頷いた。


「はい」


「一緒に、頑張りましょう」


 おっさんは、三人に頭を下げた。


「……頼む……」



 ◆ 最初の感染者


 その夜――


 おっさんは、館にいた。


 セシリア、アリシアと夕食中。


 子供たちは、もう眠っている。


 その時――


 ダリウスが、駆け込んできた。


「康太郎様!」


 おっさんは、立ち上がった。


「……どうした!?……」


 ダリウスは、息を切らしていた。


「……感染者です……!」


「……商人が、倒れました……!」


 おっさんは、顔色を変えた。


「……どこだ!?……」


 ダリウス「宿屋です!」


「他国から来た商人で……」


「高熱、咳……」


「症状が、一致します……」


 おっさんは、すぐに決断した。


「……隔離施設に、運べ……!」


「……すぐに…!」


「……他の客とは、接触させるな…!」


 ダリウス「了解しました!」


 ダリウスは、駆け出した。


 おっさんは、セシリアを見た。


「……セシリア……」


 セシリアは、頷いた。


「……はい……」


「……行きましょう……」


 アリシアも、立ち上がった。


「私も、手伝います」


 おっさんは、アリシアを見た。


「……アリシア……」


「……子供たちを、頼む……」


「……ホープを……」


 アリシアは、涙を流した。


「……はい……」


「……お願いします……」


「……みんなを、助けてください……」


 おっさんは、頷いた。


「……ああ……」



 ◆ 隔離施設へ


 おっさんとセシリアは、隔離施設に急いだ。


 馬で。


 夜道を。


 施設に、到着した。


 光の結界が、輝いている。


 中に、入る。


 リリアとエリアスが、既に来ていた。


 ベッドに、男性が寝かされている。


 40代くらい。


 商人の服装。


 苦しそうに、呼吸している。


「はぁ……はぁ……」


 高熱。


 顔が、赤い。


 咳をしている。


「ゴホッ、ゴホッ」


 体が、震えている。


 リリアが、治療している。


 白い魔石の魔道具。


 でも――


 効果が、薄い。


 リリアは、焦っている。


「……効かない……」


「……普通の治癒魔法では……」


 エリアスが、祈っている。


「神よ、この者を癒したまえ」


 でも――


 男性の状態は、変わらない。


 おっさんは、セシリアを見た。


「……セシリア……」


 セシリアは、頷いた。


 男性のそばに、行く。


 手を、男性の額に当てる。


「光の祝福」


 光が、溢れ出た。


 優しい光。


 男性の体を、包む。


 男性の呼吸が、少し楽になった。


「……はぁ……」


 でも――


 完治していない。


 まだ、苦しそう。


 セシリアは、続ける。


 汗をかきながら。


 力を込める。


 10分、20分。


 男性の熱が、少し下がった。


 咳も、少し収まった。


 でも――


 完全には、治っていない。


 セシリアは、疲れている。


 おっさんが、セシリアを支えた。


「……セシリア……」


「……もう、いい……」


「……休め……」


 セシリアは、首を振った。


「……いえ……」


「……まだ……」


 おっさんは、セシリアを抱きしめた。


「……無理するな……」


「……お前が倒れたら、困る……」


 セシリアは、涙を流した。


「……でも……」


「……この人を、助けたい……」


 おっさんは、セシリアの頭を撫でた。


「……分かっている……」


「……でも、今日はここまでだ……」


「……明日、また来よう……」


「……少しずつ、治していこう……」


 セシリアは、頷いた。


「……はい……」



 ◆ 不安の影


 おっさんとセシリアは、館に戻った。


 深夜。


 二人とも、疲れている。


 寝室に、入る。


 でも――


 眠れない。


 おっさんは、窓の外を見た。


 暗闇。


 星が、輝いている。


 でも――


 おっさんの心は、暗い。


(……来てしまった……)


(……疫病が……)


(……一人、感染した……)


(……これから、もっと増えるかもしれない……)


(……セシリアの力でも、完全には治せなかった……)


(……どうすれば……)


 セシリアが、おっさんに寄りかかった。


「……コウタロウさん……」


「……大丈夫でしょうか……」


 おっさんは、セシリアを抱きしめた。


「……大丈夫だ……」


「……お前の力で、男性は楽になった……」


「……少しずつ、治していこう……」


「……そして、ゴードンが治療用魔道具を作ってくれる……」


「……きっと、大丈夫だ……」


 セシリアは、涙を流した。


「……はい……」


「……信じます……」


 おっさんは、セシリアを抱きしめたまま。


 窓の外を、見た。


 星空。


 美しい。


 でも――


 不安が、心を覆っている。


(……守らないと……)


(……この街を……)


(……家族を……)


(……子供たちを……)


(……必ず……)



 グリーンヘイブン。


 隔離施設が、完成した。


 魔道具も、開発された。


 白い魔石の結界。


 感染予防の護符。


 消毒用魔道具。


 対策は、部分的に間に合った。


 でも――


 完璧ではない。


 そして――


 最初の感染者が、出た。


 疫病が、来てしまった。


 おっさんの戦いが、始まる。


 見えない敵との、戦い。


 命をかけた、戦い。



(次回:第87話「疫病到来」に続く)

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