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52歳のおっさん、異世界転移したら下水道に捨てられた――下水の汚物は宝の山だった  作者: よっしぃ@書籍化


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第78話:新たな秩序

◆ カール五世の拒否


玉座の間。


おっさんは、手を差し出していた。


「……降伏しろ、カール五世……」


「……民衆のために……」


カール五世は、おっさんの手を見た。


震えている。


そして――


首を振った。


「……いや……」


「……絶対に、認めない……」


おっさんは、顔をしかめた。


「……なぜだ……」


「……もう、終わっている……」


「……抵抗しても、無駄だ……」


カール五世は、叫んだ。


「……黙れ…!!」


「……何百年も続いてきた制度を…!!」


「……何世代も、何世代も…!!」


「……我が国の、基盤だ…!!」


「……それを否定するなど…!!」


「……考えられない…!!」


「……認められない…!!」


おっさんは、首を振った。


「……間違っている……」


「……何百年続いても、間違いは間違いだ……」


カール五世は、涙を流していた。


「……お前には、分からない…!!」


「……この国を、守ってきた…!!」


「……王として、責任を果たしてきた…!!」


「……それを、全て否定するのか…!?」


おっさんは、静かに言った。


「……お前が悪いわけじゃない……」


「……制度が、悪いんだ……」


「……だから、変えればいい……」


「……お前も、一緒に変われ……」


カール五世は、黙った。


しばらく。


そして――


笑った。


狂ったように。


「はっはっはっは!!」


おっさんは、違和感を感じた。


(……何か、おかしい……)


カール五世は、ローブを開いた。


体中に――


魔道具が、巻き付けられていた。


小さな魔道具。


何十個も。


赤く、光っている。


爆発する魔道具。


おっさんは、顔色を変えた。


「……まさか……!?」


カール五世は、叫んだ。


「……変われ、だと…!?」


「……俺が、変わるくらいなら…!!」


「……死んだ方がマシだ…!!」


「……お前も、道連れだ…!!」


「……お前とともに、死んでやる…!!」



◆ 自爆


カール五世は、魔道具を起動させた。


赤い光が、強くなる。


「……爆発しろ…!!」


おっさんは、叫んだ。


「……セシリア…!!」


セシリアは、即座に反応した。


「光の大結界!!」


光の壁が、おっさんたちを覆う。


同時に――


ゴードンの魔道具も、展開された。


おっさんが、持っていた。


防御用魔道具。


爆発を、抑える魔道具。


「展開!!」


でも――


間に合わない。


カール五世が、爆発した。


「ドゴオオオオオン!!!」


轟音。


爆風。


炎。


玉座の間が、揺れる。


壁が、崩れる。


床が、割れる。


セシリアの光の結界が、爆風を防ぐ。


ゴードンの魔道具が、爆発を抑える。


最小限に。


でも――


完全には、防げなかった。


爆発の中心。


カール五世がいた場所。


何も、残っていない。


灰。


だけ。


カール五世は、死んだ。



おっさんは、その光景を見た。


呆然としている。


「……カール五世……」


セシリアも、涙を流している。


「……ひどい……」


留学生たちも、ショックを受けている。


トーマス「……自爆した……」


エマ「……信じられない……」


エドワード三世も、顔を歪めた。


「……何ということだ……」



◆ おっさんの葛藤


おっさんは、膝をついた。


拳を、地面に叩きつける。


「……くそ……!」


「……救えなかった……!」


セシリアが、おっさんに駆け寄った。


「……コウタロウさん……」


「……あなたのせいじゃありません……」


おっさんは、首を振った。


「……いや……」


「……俺が、追い詰めた……」


「……もっと、うまくやれたはずだ……」


「……説得できたはずだ……」


セシリアは、おっさんを抱きしめた。


「……違います……」


「……カール五世は、最後まで認めなかった……」


「……何百年も続いた常識を、否定できなかった……」


「……それは、あなたのせいじゃありません……」


おっさんは、涙を流した。


「……でも……」


「……後味が、悪い……」


「……こんな結末……」


セシリアは、優しく言った。


「……はい……」


「……でも、前に進むしかありません……」


「……カール五世のためにも……」


「……この国を、変えないと……」


おっさんは、頷いた。


「……そうだな……」


おっさんは、立ち上がった。


涙を、拭く。


「……やるべきことを、やる……」



◆ 後継者問題


数時間後――


会議が、開かれた。


王宮の一室。


おっさん、セシリア、エドワード三世、フィリップ侯爵。


ダリウス、オスカー。


グスタフ将軍。


そして――


ヴァルハイム王国の大臣たち、数名。


逃げなかった者たち。


一人の大臣が、口を開いた。


「康太郎伯爵」


「カール五世が、亡くなられた」


「この国の統治を、どうするか」


「決めなければならない」


全員が、おっさんを見た。


大臣は、続けた。


「あなたが、この国を統治されるのですか?」


おっさんは、即座に首を振った。


「……いや……」


「……俺が統治する気はない……」


大臣たちは、驚いた。


「……では、エドワード三世陛下が?」


エドワード三世も、首を振った。


「いや、私も統治するつもりはない」


「ヴァルハイム王国は、独立を保つべきだ」


大臣たちは、困惑した。


「……では、誰が……?」


おっさんは、考えていた。


そして――


答えた。


「……この国の統治は、この国の人々が決める……」


「……俺は、手伝うだけだ……」


大臣「……人々が決める?……」


「……どういうことですか?……」


おっさんは、説明した。


「……暫定的に、評議会を作る……」


「……貴族、平民、元奴隷……」


「……みんなで、話し合う……」


「……そして、新しい体制を決める……」


「……王政を続けるのか……」


「……別の体制にするのか……」


「……時間をかけて、決めればいい……」


大臣たちは、戸惑っている。


「……そんなこと、できるのでしょうか……」


おっさんは、頷いた。


「……できる……」


「……グリーンヘイブンで、やっている……」


「……貴族も平民も、一緒に街を作っている……」


「……ここでも、できる……」


グスタフが、言った。


「私も、賛成だ」


「新しいやり方を、試すべきだ」


一人の大臣が、頷いた。


「……分かりました……」


「……評議会を、作りましょう……」



◆ 奴隷制廃止宣言


翌日――


王都の広場。


多くの民衆が、集まっていた。


おっさんが、壇上に立った。


大声で、叫んだ。


「……ヴァルハイム王国の、皆さん…!!」


「……聞いてください…!!」


民衆が、静かになる。


おっさんは、続けた。


「……カール五世は、亡くなられました……」


民衆が、ざわつく。


おっさんは、続けた。


「……そして、今日……」


「……ヴァルハイム王国の奴隷制を、廃止します…!!」


民衆が、歓声を上げた。


「おおおお!!」


「やった!!」


「奴隷制が、廃止される!!」


おっさんは、続けた。


「……全ての奴隷は、解放されます…!!」


「……戦争奴隷、債務奴隷、全てです…!!」


「……犯罪奴隷は、刑務所制度に移行します…!!」


「……これから、この国を変えます…!!」


「……みんなで、一緒に…!!」


「……貴族も、平民も、元奴隷も…!!」


「……みんなで、新しい国を作ります…!!」


民衆が、拍手した。


盛大な拍手。


「康太郎伯爵、万歳!!」


「万歳!!」



◆ 戦後処理


数週間――


おっさんは、ヴァルハイム王国の再建を手伝った。


評議会の設立。


貴族、平民、元奴隷の代表が集まった。


みんなで、話し合う。


新しい法律。


税制の改革。


刑務所の建設。


全てを、一から作る。


おっさんは、アドバイスした。


グリーンヘイブンの経験を、共有した。


魔道具も、提供した。


食料も、支援した。


ゴードンも、協力した。


魔道具の技術を、教えた。


セシリアも、奴隷たちを治療した。


全員で、協力した。



レイゼン王国も、再建が始まった。


カールが、中心になって。


妻のエリカも、一緒に。


元レイゼン王国の土地。


人々が、戻ってきた。


建物を、建て直す。


農業を、再開する。


おっさんは、支援した。


魔道具、食料、技術。


全てを、提供した。


カールは、涙を流した。


「康太郎伯爵、ありがとうございます」


「あなたのおかげで、国を取り戻せました」


おっさんは、微笑んだ。


「……いや、みんなの努力だ……」



◆ 帰還


数ヶ月後――


おっさんは、グリーンヘイブンに帰ることにした。


ヴァルハイム王国は、落ち着いた。


評議会が、機能している。


奴隷制も、廃止された。


刑務所も、建設が始まった。


もう、おっさんがいなくても大丈夫。


民衆が、見送りに来た。


「康太郎伯爵、ありがとうございました!!」


「また、来てください!!」


おっさんは、手を振った。


「……ああ……」


「……また、来る……」


バハムートに、乗る。


セシリアも、一緒。


留学生たちも。


エドワード三世の軍も、帰る。


おっさんは、ヴァルハイム王国を見た。


(……変わり始めた……)


(……良かった……)


(……でも、カール五世……)


(……救えなかった……)


(……それだけが、心残りだ……)



◆ グリーンヘイブン到着


数日後――


おっさんは、グリーンヘイブンに到着した。


懐かしい街。


住民たちが、出迎えた。


「康太郎様、お帰りなさい!!」


「お疲れ様でした!!」


おっさんは、微笑んだ。


「……ただいま……」


伯爵の館。


希望と光が、待っていた。


希望が、駆け寄ってきた。


「ぱぱ、おかえり!!」


おっさんは、希望を抱き上げた。


「……ただいま、希望……」


光も、笑っている。


「あー、うー」


おっさんは、光も抱きしめた。


「……ただいま、光……」


セシリアも、微笑んでいる。


「……帰ってきましたね……」


おっさんは、頷いた。


「……ああ……」


でも――


おっさんの心には、まだ引っかかりがあった。


カール五世のこと。


自爆したこと。


救えなかったこと。


後味の悪さ。


おっさんは、窓の外を見た。


夕日。


美しい。


でも――


複雑な気持ち。


(……全てを、救えるわけじゃない……)


(……それが、現実だ……)


(……でも、諦めない……)


(……できることを、やり続ける……)


(……それしか、できない……)


セシリアが、おっさんの手を握った。


「……コウタロウさん……」


「……大丈夫ですか?……」


おっさんは、微笑んだ。


「……ああ……」


「……大丈夫だ……」


「……お前がいてくれるから……」


セシリアは、おっさんを抱きしめた。


「……はい……」


「……ずっと、一緒です……」



グリーンヘイブン。


ヴァルハイム王国との戦い。


終わった。


奴隷制を、廃止した。


多くの人を、救った。


でも――


カール五世は、救えなかった。


自爆した。


後味の悪い結末。


それでも――


おっさんは、前に進む。


できることを、やり続ける。


この世界を、少しずつ変えていく。


おっさんの物語は、続く。



(次回:第79話「後継者」に続く)

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