第77話:王都攻略
◆ 進軍開始
翌日――
おっさんたちは、王都に向かって進軍を始めた。
エドワード王国軍、2000人。
グリーンヘイブンの兵士たち、200人。
降伏したヴァルハイム軍の兵士たち、約3000人。
彼らも、おっさんに従うことを選んだ。
奴隷制廃止のために。
総勢5200人。
バハムート。
ガーディアン10体。
おっさんとセシリアは、バハムートに乗っている。
留学生たちも、一緒。
おっさんが、言った。
「……途中で、奴隷たちを解放する……」
「……鉱山、農場、工場……」
「……全ての場所で……」
全員が、頷いた。
◆ 鉱山の解放
数日後――
おっさんたちは、鉱山に到着した。
大きな鉱山。
魔石を、採掘している。
奴隷たちが、働いている。
約500人。
痩せている。
ぼろぼろの服。
疲れている。
監視している兵士たち、約50人。
おっさんは、バハムートから降りた。
前に出る。
大声で、叫んだ。
「……監視兵、聞け…!!」
「……今すぐ、武器を捨てろ…!!」
「……抵抗しても、無駄だ…!!」
監視兵たちは、おっさんたちの軍を見た。
5200人。
そして、バハムート。
巨大な竜。
監視兵たちは、すぐに武器を捨てた。
「……降伏します……」
おっさんは、奴隷たちに近づいた。
優しく、声をかける。
「……大丈夫だ……」
「……お前たちを、解放する……」
奴隷たちは、信じられない顔。
「……本当ですか……?」
おっさんは、頷いた。
「……ああ……」
「……もう、奴隷じゃない……」
「……自由だ……」
セシリアが、奴隷たちの首輪を外し始めた。
治癒の魔法も。
傷が、癒えていく。
奴隷たちは、涙を流した。
「……ありがとうございます……!」
「……ありがとうございます……!」
カールが、奴隷たちの中を探していた。
「……妻は……!?」
「……エリカ……!!」
一人の女性が、振り返った。
40代。
痩せている。
疲れている。
でも――
カールを見て、目を見開いた。
「……カール……?」
カールは、駆け寄った。
「……エリカ!!」
二人は、抱き合った。
泣いている。
「……カール……!」
「……生きていたのね……!」
カール「……ああ……!」
「……助けに来た……!」
「……もう、大丈夫だ……!」
おっさんは、その光景を見て微笑んだ。
(……良かった……)
◆ 農場の解放
数日後――
おっさんたちは、農場に到着した。
大きな農場。
野菜を、育てている。
奴隷たちが、働いている。
約800人。
おっさんは、同じように解放した。
監視兵は、降伏。
奴隷たちは、解放された。
涙、涙、涙。
歓喜。
「……自由だ……!」
「……ありがとうございます……!」
◆ 工場の解放
数日後――
おっさんたちは、工場に到着した。
大きな工場。
武器を、作っている。
奴隷たちが、働いている。
約600人。
おっさんは、解放した。
奴隷たちは、歓喜した。
次々と。
次々と。
奴隷たちを、解放していく。
10箇所以上。
総勢、約3000人。
全員が、自由になった。
おっさんの軍は、さらに増えた。
解放された人々も、ついてくる。
「康太郎伯爵について行きます!」
「王都まで、一緒に!」
おっさんは、微笑んだ。
「……ああ……」
「……一緒に、行こう……」
◆ 王都到着
数週間後――
おっさんたちは、王都に到着した。
ヴァルハイム王国の王都。
大きな城壁。
立派な門。
王宮が、見える。
でも――
街は、静かだった。
民衆が、隠れている。
おっさんは、門の前に立った。
大声で、叫んだ。
「……カール五世…!!」
「……出て来い…!!」
「……話がある…!!」
でも――
返事はない。
しばらくして――
城壁の上に、一人の男が現れた。
大臣らしき男。
「康太郎伯爵!!」
「陛下は、お会いにならない!!」
「帰れ!!」
おっさんは、首を振った。
「……帰らない……」
「……奴隷制を、廃止させる……」
「……それまでは、帰らない……」
大臣は、怒った。
「ふざけるな!!」
「我が国の制度に、口出しするな!!」
おっさんは、冷たく言った。
「……口出しする……」
「……人が人を、所有するのは間違っている……」
「……門を、開けろ……」
「……さもないと、壊す……」
大臣は、笑った。
「壊せるものなら、壊してみろ!!」
「この城壁は、厚さ5メートル!!」
「簡単には、壊れない!!」
おっさんは、バハムートに言った。
「……バハムート……」
「……門を、壊してくれ……」
バハムートは、頷いた。
「……任せろ……」
◆ 民衆の歓迎
その時――
城壁の下から、声が聞こえた。
「待ってください!!」
おっさんは、声の方を見た。
民衆たちが、現れた。
隠れていた民衆。
老人、女性、子供。
多くの人々。
一人の老人が、前に出た。
「康太郎伯爵!!」
「お願いします!!」
「奴隷制を、廃止してください!!」
おっさんは、驚いた。
「……あなたたちは……」
老人は、続けた。
「私たちは、ヴァルハイム王国の民衆です」
「でも、王や貴族に、苦しめられています」
「税金は、高い」
「生活は、苦しい」
「明日は我が身です」
「いつ、奴隷にされるか分からない」
「だから、お願いします」
「この国を、変えてください」
他の民衆たちも、叫んだ。
「お願いします!!」
「康太郎伯爵、助けてください!!」
おっさんは、頷いた。
「……分かった……」
「……約束する……」
「……この国を、変える……」
民衆たちは、歓声を上げた。
「ありがとうございます!!」
「康太郎伯爵、万歳!!」
「万歳!!」
老人が、言った。
「門を、開けます」
「私たちが、内側から」
おっさんは、驚いた。
「……いいのか?……」
老人は、微笑んだ。
「はい」
「もう、この国の王には、従いません」
「康太郎伯爵を、信じます」
老人は、城壁の階段を上った。
内側から、門を開ける。
大きな音。
ギギギ……
門が、開いた。
おっさんは、民衆たちに頭を下げた。
「……ありがとう……」
民衆たちは、微笑んでいる。
おっさんは、全軍に向かって言った。
「……全軍、進め…!!」
「……でも、民衆を傷つけるな…!!」
「……民衆は、味方だ…!!」
全軍が、応えた。
「おおおお!!」
おっさんたちは、王都に入った。
◆ 王宮へ
おっさんたちは、王宮に向かった。
街の中心。
大きな王宮。
立派な建物。
でも――
護衛兵は、少ない。
約100人。
おっさんが、近づくと――
護衛兵たちは、武器を捨てた。
「……降伏します……」
「……もう、戦いません……」
「……王に、従いません……」
おっさんは、頷いた。
「……賢明な判断だ……」
護衛兵たちは、道を開けた。
おっさんたちは、王宮に入った。
広い廊下。
豪華な装飾。
でも――
誰もいない。
貴族たちは、逃げた。
王だけが、残っている。
おっさんは、玉座の間に向かった。
◆ カール五世との対峙
玉座の間。
広い部屋。
豪華な玉座。
そこに――
カール五世が、座っていた。
60代。
太っている。
傲慢そうな顔。
でも――
今は、怯えている。
おっさんが、前に出た。
バハムートも、一緒。
セシリアも。
留学生たちも。
エドワード三世、フィリップ侯爵も。
カール五世は、おっさんを見た。
「……康太郎伯爵……」
「……貴様か……」
おっさんは、頷いた。
「……ああ……」
「……話がある……」
カール五世は、震えていた。
「……何の、用だ……」
おっさんは、真剣な顔で言った。
「……奴隷制を、廃止しろ……」
カール五世は、顔を歪めた。
「……ふざけるな……!」
「……それは、我が国の制度だ……!」
「……何百年も、続いてきた…!」
「……貴様に、口出しされる筋合いはない…!!」
おっさんは、首を振った。
「……間違っている……」
「……人が人を、所有するのは……」
「……間違っている……」
カール五世は、立ち上がった。
「……黙れ…!!」
「……貴様は、侵略者だ…!!」
「……我が国に、攻めてきた…!!」
「……奴隷を、盗んだ…!!」
おっさんは、冷静に言った。
「……侵略者?……」
「……違う……」
「……俺は、解放者だ……」
「……奴隷たちを、解放した……」
「……民衆たちを、助けた……」
「……お前たちが、苦しめていた人々を……」
カール五世は、言葉に詰まった。
「……く……」
おっさんは、続けた。
「……民衆は、お前に従わない……」
「……護衛兵も、降伏した……」
「……貴族たちも、逃げた……」
「……もう、お前に味方はいない……」
「……降伏しろ……」
「……そして、奴隷制を廃止しろ……」
カール五世は、震えていた。
怒りと、恐怖。
しばらく、黙っていた。
そして――
叫んだ。
「……絶対に、認めない…!!」
「……奴隷制は、必要だ…!!」
「……犯罪者を、どうする…!?」
「……経済が、崩壊する…!!」
「……お前の理想主義で、国は回らない…!!」
おっさんは、首を振った。
「……回る……」
「……俺が、証明する……」
「……グリーンヘイブンで、成功している……」
「……奴隷はいない……」
「……でも、街は発展している……」
「……みんな、幸せだ……」
「……お前の国も、できる……」
カール五世は、黙った。
おっさんは、手を差し出した。
「……降伏しろ、カール五世……」
「……これ以上、抵抗しても無駄だ……」
「……民衆のために、降伏しろ……」
カール五世は、おっさんの手を見た。
震えている。
迷っている。
(次回:第78話「新たな秩序」に続く)




