第74話:解放
◆ 到着
数日後――
おっさんたちは、元レイゼン王国の土地に到着した。
かつて、王国があった場所。
今は――
廃墟と、農地。
建物は、壊れている。
王城は、焼け落ちている。
でも――
農地は、整備されている。
誰かが、働いている。
おっさんは、その光景を見た。
「……あれが……」
バハムートから、降りる。
セシリアも、一緒。
カールも、ついてきていた。
カールは、涙を流していた。
「……故郷……」
「……こんな姿に……」
おっさんは、カールの肩に手を置いた。
「……大丈夫だ……」
「……必ず、家族を救う……」
農地に、近づく。
そこには――
多くの人が、働いていた。
女性、子供、老人。
みんな、ぼろぼろの服。
痩せている。
疲れている。
奴隷。
首輪をつけられている。
監視しているのは、ヴァルハイム王国の兵士たち。
約100人。
そして、貴族らしき男性。
太っている。
豪華な服。
傲慢そうな顔。
貴族が、鞭を振るっている。
「働け!!」
「怠けるな!!」
女性の一人が、倒れた。
疲労で。
貴族が、さらに鞭を振るう。
「立て!!」
「まだ、仕事は終わっていない!!」
女性は、泣いている。
でも――
立ち上がろうとする。
おっさんは、その光景を見て怒りを感じた。
拳を、握りしめる。
「……許せない……」
カールも、怒っている。
「……あいつは、領主のフリードリヒだ……」
「……ヴァルハイム王国の男爵だ……」
「……最低の男だ……」
おっさんは、頷いた。
「……分かった……」
「……行くぞ……」
◆ 突入
おっさんは、前に出た。
大声で、叫んだ。
「フリードリヒ男爵!!」
フリードリヒは、振り返った。
「何だ、貴様は!?」
おっさんは、剣を抜いた。
「康太郎だ!!」
「グリーンヘイブンの伯爵だ!!」
「その奴隷たちを、解放しろ!!」
フリードリヒは、笑った。
「はっはっは!!」
「何を言っている!?」
「これは、我が国の財産だ!!」
「貴様に、渡すものか!!」
おっさんは、冷たく言った。
「……なら、力で奪う……」
「……バハムート……!!」
バハムートが、現れた。
竜形態。
巨大。
フリードリヒは、顔を青くした。
「……竜……!?」
兵士たちも、怯えている。
「に、逃げろ!!」
でも――
おっさんは、叫んだ。
「……全軍、突撃…!!」
「……兵士と貴族を、捕らえろ…!!」
「……奴隷たちは、傷つけるな…!!」
エドワード王国軍が、突撃した。
ガーディアンも、前進する。
ヴァルハイム王国の兵士たちは、抵抗した。
でも――
バハムートの炎のブレス。
ガーディアンの圧倒的な力。
おっさんの希望の力。
勝てない。
次々と、降伏する。
フリードリヒは、逃げようとした。
でも――
おっさんが、追いついた。
「……逃がさない……」
おっさんは、フリードリヒを剣で脅した。
「……動くな……」
フリードリヒは、震えている。
「……た、助けてくれ……」
おっさんは、冷たく言った。
「……お前が、奴隷たちにしてきたことを……」
「……全て、話してもらう……」
◆ 解放
戦闘が、終わった。
ヴァルハイム王国の兵士たちは、全員捕らえられた。
フリードリヒも、捕らえられた。
おっさんは、奴隷たちに近づいた。
優しく、声をかける。
「……大丈夫だ……」
「……もう、安全だ……」
奴隷たちは、怯えている。
「……本当ですか……?」
おっさんは、頷いた。
「……ああ……」
「……お前たちを、解放する……」
セシリアが、前に出た。
治癒の魔法。
奴隷たちの傷を、癒す。
そして――
おっさんは、奴隷たちの首輪を外し始めた。
一人ずつ。
丁寧に。
首輪が、外れる。
奴隷たちは、涙を流した。
「……ありがとうございます……」
「……ありがとうございます……」
おっさんは、全員の首輪を外した。
約500人。
女性、子供、老人。
全員が、自由になった。
◆ 再会
カールは、奴隷たちの中を探していた。
必死に。
「……妻は……!?」
「……娘は……!?」
「……エマ!!」
「……リーゼ!!」
一人の女性が、振り返った。
30代前半。
痩せている。
でも――
美しい顔。
「……カール……?」
カールは、駆け寄った。
「……エマ!!」
二人は、抱き合った。
泣いている。
「……カール……!」
「……生きていたのね……!」
カール「……ああ……!」
「……助けに来た……!」
「……リーゼは……!?」
エマは、後ろを指差した。
「……あそこに……」
一人の少女が、立っていた。
10歳くらい。
痩せている。
でも――
可愛い顔。
カールは、駆け寄った。
「……リーゼ!!」
少女は、カールを見た。
「……お父さん……?」
カールは、リーゼを抱きしめた。
「……リーゼ……!!」
「……会いたかった……!!」
リーゼも、泣いている。
「……お父さん……!」
「……お父さん……!」
三人は、抱き合った。
家族。
やっと、再会できた。
おっさんは、その光景を見て涙を流した。
(……良かった……)
他の奴隷兵たちも、家族を探している。
次々と、再会している。
涙、涙、涙。
幸せな光景。
おっさんは、微笑んでいる。
◆ 問題
でも――
全員が、再会できたわけではない。
一人の奴隷兵が、おっさんに言った。
「……康太郎伯爵……」
「……妻が、いません……」
おっさんは、顔をしかめた。
「……いない……?」
奴隷兵「……はい……」
「……別の場所に、送られたようです……」
「……鉱山に……」
おっさんは、エマに聞いた。
「……鉱山?……」
エマは、頷いた。
「……はい……」
「……多くの奴隷が、鉱山に送られました……」
「……魔石を、採掘するために……」
「……過酷な労働です……」
「……多くが、死にます……」
おっさんは、拳を握りしめた。
「……どこだ……?……」
エマ「……ここから、北に3日……」
「……山の中です……」
おっさんは、頷いた。
「……分かった……」
「……そこにも、行く……」
「……全員を、救う……」
◆ フリードリヒの尋問
おっさんは、フリードリヒを尋問した。
縛られている。
おっさんが、聞いた。
「……他にも、奴隷がいる場所は?……」
フリードリヒは、黙っていた。
おっさんは、冷たく言った。
「……答えろ……」
「……さもないと……」
フリードリヒは、震えた。
「……わ、分かった……」
「……話す……」
フリードリヒは、説明した。
鉱山。
工場。
農地。
屋敷。
全部で、10箇所以上。
奴隷の総数、約3000人。
おっさんは、愕然とした。
「……3000人……」
フリードリヒは、続けた。
「……それに、他の滅ぼした国の奴隷もいる……」
「……全部で、1万人以上だ……」
おっさんは、怒りを感じた。
「……1万人……」
「……許せない……」
◆ ヴァルハイム王国の激怒
数日後――
ヴァルハイム王国の王都。
王宮。
ヴァルハイム王、カール五世。
60代。
太っている。
傲慢そうな顔。
報告を受けていた。
「何だと!?」
「レイゼン王国の奴隷が、解放された!?」
「フリードリヒ男爵が、捕らえられた!?」
報告した兵士が、頭を下げた。
「……はい……」
「……康太郎伯爵という男が……」
「……竜を連れて……」
カール五世は、怒り狂った。
「……許せない……!!」
「……我が国の財産を、奪った……!!」
「……奴隷を、盗んだ……!!」
「……これは、宣戦布告だ……!!」
カール五世は、将軍たちに命じた。
「……全軍を、動員しろ……!!」
「……総力で、侵攻する……!!」
「……エドワード王国を、滅ぼせ……!!」
「……康太郎伯爵を、捕らえろ…!!」
「……首を、はねろ……!!」
将軍たちは、頭を下げた。
「了解しました!!」
ヴァルハイム王国は、本気になった。
総動員。
兵士、10000人。
騎兵、2000人。
魔法使い、500人。
総勢12500人。
史上最大の軍。
おっさんに向かって、進軍を始めた。
◆ おっさんの決意
元レイゼン王国の土地。
おっさんは、解放した奴隷たちと話していた。
「……これから、どうしたい?……」
「……グリーンヘイブンに来てもいい……」
「……ここに残って、国を再建してもいい……」
「……お前たちの、自由だ……」
カールが、前に出た。
「……康太郎伯爵……」
「……私たちは、国を再建したいです……」
「……レイゼン王国を、復活させたいです……」
「……でも……」
「……力を、貸してください……」
おっさんは、頷いた。
「……もちろんだ……」
「……支援する……」
「……魔道具、食料、技術……」
「……全てを、提供する……」
カールは、涙を流した。
「……ありがとうございます……」
おっさんは、エドワード三世に報告していた。
「……陛下……」
「……ヴァルハイム王国が、怒っています……」
「……総力で、侵攻してくると思います……」
エドワード三世は、真剣な顔。
「……分かっている……」
「……報告を受けた……」
「……12500人の軍だと……」
おっさんは、頷いた。
「……ああ……」
「……でも、負けません……」
「……必ず、勝ちます……」
「……そして、奴隷を全員解放します……」
エドワード三世は、おっさんの肩を叩いた。
「……頼むぞ、康太郎伯爵……」
おっさんは、頷いた。
「……任せてください……」
おっさんは、窓の外を見た。
夕日。
美しい。
でも――
嵐が、来る。
ヴァルハイム王国の総力戦。
おっさんは、拳を握りしめた。
(……来るなら、来い……)
(……俺は、負けない……)
(……バハムートがいる……)
(……希望の力がある……)
(……仲間がいる……)
(……必ず、勝つ……)
(……そして、奴隷を全員解放する……)
(……この戦争を、終わらせる……)
グリーンヘイブン。
ヴァルハイム王国との戦い。
奴隷を解放した。
家族が、再会した。
でも――
まだ、1万人以上の奴隷が残っている。
ヴァルハイム王国は、激怒した。
総力で、侵攻してくる。
おっさんの、最大の戦いが始まる。
(次回:第75話「圧倒的な力」に続く)




