第73話:逆襲
◆ 奴隷兵の代表
翌朝――
王都。
おっさんは、保護した奴隷兵たちと会っていた。
大きな部屋。
奴隷兵たちが、集まっている。
約300人。
みんな、ぼろぼろの服。
でも――
セシリアの治療で、傷は癒えている。
おっさんが、前に立った。
「……みんな、聞いてくれ……」
「……お前たちは、もう奴隷じゃない……」
「……自由だ……」
奴隷兵たちは、涙を流している。
「……ありがとうございます……」
「……ありがとうございます……」
おっさんは、続けた。
「……これから、どうしたいか……」
「……聞かせてくれ……」
「……グリーンヘイブンに来てもいい……」
「……故郷に帰ってもいい……」
「……お前たちの、自由だ……」
一人の男が、前に出た。
30代前半。
痩せているが、目に力がある。
名前を、名乗った。
「……カール、と言います……」
「……元は、レイゼン王国の住民でした……」
おっさんは、頷いた。
「……レイゼン王国……」
カールは、続けた。
「……5年前、ヴァルハイム王国に滅ぼされました……」
「……王都は、焼かれました……」
「……多くの人が、殺されました……」
「……生き残った者は、奴隷にされました……」
おっさんは、顔色を変えた。
「……滅ぼされた……?……」
◆ 真実
カールは、涙を流しながら語った。
「……男たちは、戦争の盾にされました……」
「……最前線に、送り込まれました……」
「……死ぬまで、戦わされました……」
「……女と子供は……」
カールの声が、震える。
「……奴隷として、働かされています……」
「……元の土地で……」
「……レイゼン王国があった場所で……」
「……農業、鉱山、家事……」
「……過酷な労働です……」
おっさんは、拳を握りしめた。
カールは、続けた。
「……私の妻と、娘がいます……」
「……まだ、あそこにいます……」
「……助けてほしいんです……」
「……お願いします……」
カールは、地面に頭をつけた。
土下座。
他の奴隷兵たちも、次々と土下座した。
「……お願いします……!」
「……家族を、助けてください……!」
「……妻が……」
「……子供が……」
「……母が……」
みんな、泣いている。
懇願している。
おっさんは、その光景を見た。
涙を、流した。
◆ おっさんの心の変化
おっさんは、カールに近づいた。
しゃがんで、カールの肩に手を置いた。
「……顔を上げてくれ……」
カールは、顔を上げた。
涙でぐしゃぐしゃ。
おっさんは、真剣な顔で言った。
「……約束する……」
「……家族を、必ず助ける……」
カールは、さらに涙を流した。
「……本当ですか……!?」
おっさんは、頷いた。
「……ああ……」
「……俺は、最初……」
「……奴隷は犯罪奴隷かもしれないと思っていた……」
「……だから、穏便に済まそうと考えていた……」
「……でも……」
おっさんは、全員を見た。
「……もはや、その配慮はいらない……」
「……お前たちは、何も悪くない……」
「……ただ、国を滅ぼされた……」
「……理不尽に、奴隷にされた……」
「……家族を、奪われた……」
おっさんは、立ち上がった。
拳を、握りしめる。
「……許せない……」
「……ヴァルハイム王国を……」
「……徹底的に、戦う……」
「……家族を、救う……」
「……そして、この戦争を終わらせる……」
奴隷兵たちは、歓声を上げた。
「ありがとうございます!!」
「康太郎伯爵、万歳!!」
「万歳!!」
◆ エドワード三世との協議
数時間後――
王宮。
作戦室。
おっさん、エドワード三世、フィリップ侯爵、将軍たちが集まっていた。
おっさんが、説明した。
「……奴隷兵たちから、話を聞きました……」
「……彼らは、レイゼン王国の住民でした……」
「……5年前に滅ぼされ、奴隷にされました……」
エドワード三世は、顔をしかめた。
「……レイゼン王国……」
「……確か、我が国の反対側にあった小国だ……」
「……滅ぼされたのか……」
おっさんは、頷いた。
「……ああ……」
「……そして、家族が今も奴隷として……」
「……元レイゼン王国の土地で働かされています……」
フィリップ侯爵が、言った。
「それは……」
「救出すべきだ」
将軍の一人が、反論した。
「でも、そこはヴァルハイム王国の領内です」
「侵攻するのは、リスクが高い」
おっさんは、真剣な顔で言った。
「……でも、やらないといけない……」
「……このままでは、また同じことを繰り返す……」
「……ヴァルハイム王国は、周辺国を侵攻しまくっている……」
「……次は、どこが滅ぼされる?……」
「……我が国も、狙われている……」
「……今、止めないと……」
エドワード三世は、考えていた。
しばらく。
そして――
決断した。
「……分かった……」
「……康太郎伯爵の言う通りだ……」
「……ヴァルハイム王国を、止める……」
「……反撃を開始する……」
将軍たちが、頷いた。
「了解しました!」
◆ 反撃開始
翌日――
おっさんたちは、反撃を開始した。
バハムート。
ガーディアン10体。
エドワード三世の軍、2000人。
グリーンヘイブンの兵士たち、200人。
総勢2200人。
おっさんは、バハムートに乗っている。
セシリアも、一緒。
おっさんが、剣を掲げた。
「……全軍、進め…!!」
「……ヴァルハイム軍を、追い返すぞ…!!」
全軍が、応えた。
「おおおお!!」
前進。
ヴァルハイム軍の陣営へ。
ヴァルハイム軍は、陣を張っていた。
グスタフ将軍が、指揮している。
「敵が来るぞ!!」
「迎え撃て!!」
でも――
バハムートが、空から降りてきた。
巨大な竜。
圧倒的な存在感。
グスタフは、顔を青くした。
「……またか……!」
バハムートは、炎のブレスを吐いた。
「グオオオオ!!」
炎が、ヴァルハイム軍の陣営に降り注ぐ。
「うわあああ!!」
兵士たちが、燃える。
逃げる。
おっさんは、希望の力を解放した。
全軍の士気が、高まる。
力が、満ちる。
おっさんが、叫んだ。
「……突撃…!!」
エドワード王国軍が、突撃した。
ガーディアンも、前進する。
圧倒的な力。
ヴァルハイム軍は、抵抗できない。
次々と、倒れる。
逃げる。
グスタフが、叫んだ。
「……撤退だ…!!」
「……全軍、撤退…!!」
ヴァルハイム軍は、撤退した。
逃げる。
おっさんたちは、追撃した。
◆ 国境奪還
数日間――
おっさんたちは、ヴァルハイム軍を追い続けた。
バハムートの力。
おっさんの希望の力。
ガーディアンの圧倒的な戦力。
ヴァルハイム軍は、勝てない。
次々と、領地を奪還した。
国境まで、追い返した。
エドワード三世は、喜んだ。
「やった!!」
「国境を、取り戻した!!」
でも――
おっさんは、止まらなかった。
「……まだだ……」
「……このまま、ヴァルハイム王国に入る……」
エドワード三世は、驚いた。
「……本当か……!?」
おっさんは、頷いた。
「……ああ……」
「……家族を、救出する……」
「……それに……」
「……ヴァルハイム王国を、変えないといけない……」
◆ ヴァルハイム王国領内へ
おっさんたちは、国境を越えた。
ヴァルハイム王国領内。
進軍する。
ヴァルハイム軍は、抵抗した。
でも――
バハムートとおっさんの前には、無力。
次々と、撤退していく。
おっさんたちは、元レイゼン王国の土地に向かった。
数日間の行軍。
途中――
逃げてくる人々に出会った。
ヴァルハイム王国の民間人。
農民、商人、老人、子供。
みんな、逃げている。
おっさんは、彼らを止めた。
「……待て……」
「……俺たちは、民間人を襲わない……」
民間人たちは、怯えている。
おっさんは、優しく言った。
「……大丈夫だ……」
「……怖がらなくていい……」
「……なぜ、逃げている?……」
一人の老人が、答えた。
「……貴族たちが、逃げるために……」
「……私たちを、盾にしようとしています……」
おっさんは、顔色を変えた。
「……何……?……」
老人は、続けた。
「……いつものことです……」
「……戦争になると、貴族は逃げます……」
「……私たち平民を、盾にして……」
「……税金は、高いです……」
「……生活は、苦しいです……」
「……でも、文句を言えば、殺されます……」
老人は、涙を流した。
「……助けてください……」
おっさんは、老人の肩を抱いた。
「……分かった……」
「……お前たちを、保護する……」
「……ついて来い……」
民間人たちは、涙を流した。
「……ありがとうございます……!」
おっさんは、エドワード三世に言った。
「……陛下……」
「……この人たちを、保護してください……」
エドワード三世は、頷いた。
「もちろんだ」
「兵士たち、彼らを守れ」
兵士たちが、民間人を守った。
◆ 真実の発覚
おっさんは、民間人たちからさらに話を聞いた。
ヴァルハイム王国の実態。
貴族の腐敗。
過酷な税金。
民間人への虐待。
そして――
周辺国への侵略。
レイゼン王国だけじゃない。
他にも、2つの小国を滅ぼしていた。
全てを、奴隷にしていた。
おっさんは、怒りを感じた。
(……許せない……)
(……こんな国……)
(……絶対に、変える……)
おっさんは、決意した。
「……戦争を、避けたかった……」
「……でも、もう無理だ……」
「……このまま和平を結んでも……」
「……また、同じことを繰り返す……」
「……一般市民のために……」
「……この戦争に、深く関わる……」
「……ヴァルハイム王国を、変える……」
セシリアが、おっさんの手を握った。
「……コウタロウさん……」
「……私も、一緒に戦います……」
おっさんは、セシリアを抱きしめた。
「……ありがとう……」
おっさんは、全軍に向かって叫んだ。
「……全軍、聞け…!!」
「……これは、ただの戦争じゃない…!!」
「……一般市民を、救う戦いだ…!!」
「……奴隷を、解放する戦いだ…!!」
「……この国を、変える戦いだ…!!」
「……みんな、力を貸してくれ…!!」
全軍が、応えた。
「おおおお!!」
「康太郎伯爵、万歳!!」
「万歳!!」
おっさんは、前を見た。
元レイゼン王国の土地。
そこに、家族たちがいる。
奴隷として。
おっさんは、拳を握りしめた。
(……必ず、救う……)
(……そして、この国を変える……)
(……泥沼の戦いになるかもしれない……)
(……でも、やり遂げる……)
グリーンヘイブン。
ヴァルハイム王国との戦い。
反撃が、始まった。
国境を奪還し、ヴァルハイム領内へ進攻した。
逃げてくる民間人を保護した。
真実が、明らかになった。
おっさんは、決意した。
戦争を避けたかった。
でも――
一般市民のために、深く関わる。
この国を、変える。
おっさんの、新たな戦いが続く。
(次回:第74話「解放」に続く)




