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52歳のおっさん、異世界転移したら下水道に捨てられた――下水の汚物は宝の山だった  作者: よっしぃ@書籍化


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第69話:身分の壁

◆ 表面上の変化


数日後――


レイモンドとヴィクトリアは、変わったように見えた。


授業では、真面目に聞いている。


ゴードンの工房。


ゴードンが、魔道具を説明している。


レイモンドは、メモを取っている。


ヴィクトリアも、質問している。


「ゴードン様、この部分は、どういう仕組みですか?」


ゴードンは、説明した。


レイモンドも、頷いている。


「なるほど、理解しました」


ゴードンは、満足そう。


(……あの説教が、効いたか……)


(……良かった……)



おっさんも、様子を見に来た。


レイモンドとヴィクトリアは、おっさんを見て頭を下げた。


「康太郎伯爵、こんにちは」


「いつも、ありがとうございます」


おっさんは、微笑んだ。


「……ああ……」


「……勉強は、順調か?……」


レイモンド「はい」


「ゴードン様の教えは、素晴らしいです」


ヴィクトリア「本当に、勉強になります」


おっさんは、頷いた。


(……良かった……)


(……改心したようだ……)



◆ 裏での態度


でも――


授業が終わった後。


宿舎。


レイモンドとヴィクトリアの態度は、全く違った。


レイモンドが、トーマスに言った。


「おい、トーマス」


「俺の部屋を、掃除しておけ」


トーマスは、困った顔。


「……え?……」


「……でも、僕も勉強が……」


レイモンドは、冷たく言った。


「平民が、口答えするな」


「言われた通りにしろ」


トーマスは、諦めたように頷いた。


「……はい……」


トーマスは、レイモンドの部屋を掃除しに行った。



ヴィクトリアも、エマに言った。


「エマ、私の洗濯をしておきなさい」


エマは、困った顔。


「……でも、私も……」


ヴィクトリアは、睨んだ。


「平民のくせに、何を言っているの?」


「これが当たり前でしょ?」


エマは、諦めたように頷いた。


「……はい……」


エマは、ヴィクトリアの洗濯をしに行った。



レイモンドとヴィクトリアには、お付きの兵士たちもいた。


ノルディア王国から、一緒に来た。


護衛として。


2人の兵士。


名前は、マルクとハンス。


二人とも、平民出身。


レイモンドが、マルクに言った。


「マルク、俺の靴を磨いておけ」


マルクは、黙って頭を下げた。


「……はい……」


ヴィクトリアが、ハンスに言った。


「ハンス、私のドレスを整えておきなさい」


ハンスも、黙って頭を下げた。


「……はい……」


二人の兵士は、諦めたような顔。


(……これが、当たり前……)


(……俺たちは、平民だから……)



◆ フェリックスとリディアの反応


フェリックスとリディアは、その光景を見ていた。


宿舎の廊下で。


フェリックスが、怒った顔をした。


「……ひどい……」


「……レイモンドとヴィクトリアは、何も変わっていない……」


リディアも、悲しそう。


「……伯爵様の前では、いい顔をしているだけ……」


「……裏では、こんなこと……」


フェリックスは、拳を握りしめた。


「……康太郎伯爵に、報告すべきか……?」


リディアは、少し考えた。


「……でも、トーマスとエマは……」


「……諦めているみたい……」


「……何も言わないし……」


フェリックスは、頷いた。


「……そうだな……」


「……平民は、貴族に逆らえないと思っているんだ……」


「……でも、これは間違っている……」


リディアも、頷いた。


「……ここでは、身分は関係ないって……」


「……伯爵様が、言ったのに……」



◆ オスカーの報告


数日後――


オスカーは、おっさんに報告した。


執務室。


「康太郎様、問題があります」


おっさんは、顔を上げた。


「……何だ?……」


オスカー「レイモンドとヴィクトリアですが」


「授業では真面目に見えますが」


「裏では、問題を起こしています」


おっさんは、眉をひそめた。


「……裏で?……」


オスカー「はい」


「トーマスとエマを、使用人のように扱っています」


「掃除をさせたり、洗濯をさせたり」


「お付きの兵士たちにも、同じことをしています」


おっさんは、怒りを感じた。


「……何だと……?……」


オスカー「トーマスとエマは、何も言いません」


「諦めているようです」


「兵士たちも、同じです」


「平民だから、仕方ないと思っているようです」


おっさんは、拳を握りしめた。


「……許せない……」



◆ フェリックスとリディアの訪問


その夜――


フェリックスとリディアが、おっさんを訪ねた。


執務室。


二人は、深刻な顔。


おっさんが、聞いた。


「……どうした?……」


フェリックスが、答えた。


「康太郎伯爵、報告があります」


「レイモンドとヴィクトリアのことです」


おっさんは、頷いた。


「……聞いている……」


「……オスカーから、報告を受けた……」


リディアが、言った。


「私たちも、見ていました」


「ひどいです」


「トーマスとエマが、可哀想で……」


フェリックスも、頷いた。


「でも、トーマスとエマは、何も言いません」


「諦めているようです」


おっさんは、考えていた。


(……どうする……)


(……また、説教しても……)


(……表面だけ、従うだけだろう……)


(……本当に、改心させるには……)



◆ 決断


おっさんは、決めた。


「……分かった……」


「……俺に、考えがある……」


フェリックスとリディアは、おっさんを見た。


おっさんは、続けた。


「……下水に行く……」


二人は、驚いた。


「……下水……?」


おっさんは、頷いた。


「……ああ……」


「……下水道で、働いてもらう……」


「……レイモンドとヴィクトリアに……」


フェリックスは、目を見開いた。


「……下水道で……?」


おっさんは、微笑んだ。


「……俺も、最初はそうだった……」


「……下水道で、働いた……」


「……汚物にまみれた……」


「……あそこでは、身分なんて関係ない……」


「……みんな、平等だ……」


リディアは、理解した。


「……なるほど……」


「……身分の壁を、壊すために……」


おっさんは、頷いた。


「……ああ……」


「……トーマスとエマ、兵士たちも一緒だ……」


「……全員で、下水道で働く……」


「……そうすれば、分かるはずだ……」


フェリックスは、微笑んだ。


「……素晴らしい考えです……」


リディアも、頷いた。


「……私たちも、手伝います……」


おっさんは、首を振った。


「……いや、お前たちは必要ない……」


「……これは、レイモンドとヴィクトリアの問題だ……」



◆ 準備


翌日――


おっさんは、留学生たち全員を集めた。


宿舎の食堂。


6人が、集まっている。


おっさんが、前に立った。


「……みんな、聞いてくれ……」


「……明日、特別な研修をする……」


留学生たちは、顔を見合わせた。


「特別な研修……?」


おっさんは、続けた。


「……下水道で、働いてもらう……」


全員、驚いた。


「……下水道……!?」


レイモンドとヴィクトリアは、顔を青くした。


レイモンドが、言った。


「……ちょ、ちょっと待ってください……」


「……下水道って、あの汚い場所ですよね……?」


おっさんは、頷いた。


「……ああ……」


「……汚物を処理する場所だ……」


ヴィクトリアが、叫んだ。


「……そんな場所、行きたくありません……!」


「……汚いです……!」


おっさんは、冷たく言った。


「……嫌なら、帰れ……」


「……でも、ここで学びたいなら……」


「……下水道で働け……」


「……それが、条件だ……」


レイモンドとヴィクトリアは、黙った。


トーマスとエマは、少し戸惑っている。


でも――


おっさんを信じている。


フェリックスとリディアは、微笑んでいる。


(……伯爵様の、考えがあるんだ……)



おっさんは、続けた。


「……兵士たちも、一緒だ……」


「……マルク、ハンス……」


「……お前たちも、来てもらう……」


二人の兵士は、驚いた。


「……私たちも……?」


おっさんは、頷いた。


「……ああ……」


「……全員で、働く……」


「……それが、この研修だ……」



◆ 夜の会話


その夜――


おっさんとセシリアは、部屋にいた。


セシリアが、聞いた。


「……コウタロウさん……」


「……下水道で、働かせるんですか?……」


おっさんは、頷いた。


「……ああ……」


「……俺も、最初はそうだった……」


「……下水道で、働いた……」


「……身分なんて、関係なかった……」


「……汚物にまみれて……」


「……みんな、同じだった……」


セシリアは、理解した。


「……身分の壁を、壊すために……」


おっさんは、頷いた。


「……ああ……」


「……レイモンドとヴィクトリアが……」


「……本当に、平等を理解するには……」


「……これしかない……」


セシリアは、おっさんの手を握った。


「……頑張ってください……」


おっさんは、微笑んだ。


「……ああ……」



おっさんは、窓の外を見た。


夜空。


星が、輝いている。


(……下水道……)


(……あそこで、俺は変わった……)


(……レイモンドとヴィクトリアも……)


(……変わってくれるはずだ……)


(……本当の意味で……)



グリーンヘイブン。


留学生たちの問題。


レイモンドとヴィクトリアは、表面上は変わった。


でも――


裏では、平民を顎で使っていた。


おっさんは、決断した。


下水道で、働かせる。


身分の壁を、壊すために。


新たな挑戦が、始まる。



(次回:第70話「下水道の教訓」に続く)

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