第57話:完全なる循環
◆ 残渣の問題
数週間後――
グリーンヘイブン。
魔素循環浄化システムは、順調に稼働していた。
汚物から魔素を抽出。
それを、浄化のエネルギーにする。
臭いも、病原菌も、除去できる。
でも――
問題があった。
伯爵の館。
執務室。
おっさん、ゴードン、オスカーが集まっていた。
オスカーが、報告する。
「康太郎様、浄化システムは成功しています」
「でも、残渣が出ます」
おっさん「……残渣?……」
オスカー「はい」
「浄化しても、固形物が残ります」
「臭いはありません」
「病原菌もありません」
「でも、物理的には消えません」
「今は、それを捨てています」
おっさんは、眉をひそめた。
「……捨てている……?……」
「……もったいないな……」
ゴードンも、考えている。
「確かに」
「何か、活用できないか」
◆ オスカーの提案
オスカーが、提案した。
「康太郎様、私に研究させてください」
「残渣を、調べてみます」
「何か、分かるかもしれません」
おっさんは、頷いた。
「……頼む……」
「……無駄は、なくしたい……」
オスカー「了解しました」
数日後――
オスカーは、残渣を研究し始めた。
サンプルを、集める。
浄化された残渣。
黒っぽい。
固形。
臭いは、ない。
オスカーは、魔道具で分析した。
成分を、調べる。
そして――
驚いた。
「……これは……」
「……栄養が、豊富だ……」
残渣には、たくさんの栄養が含まれていた。
窒素、リン、カリウム。
植物が必要とする栄養素。
全てが、揃っている。
オスカーは、興奮した。
「……これは、肥料になる……!」
すぐに、おっさんとゴードンを呼んだ。
◆ 発見の報告
伯爵の館。
執務室。
おっさんとゴードンが、来た。
オスカーが、説明する。
「康太郎様、大発見です!」
おっさん「何だ?」
オスカー「残渣は、肥料になります!」
「栄養が、豊富です!」
「窒素、リン、カリウム」
「全てが、揃っています!」
おっさんは、目を見開いた。
「……本当か……!?」
オスカー「はい」
「分析の結果、間違いありません」
ゴードンも、興奮している。
「それは、すごいな」
「もし本当なら、完全な循環だ」
おっさんは、頷いた。
「……試してみよう……」
「……本当に肥料になるか……」
◆ 試験
翌日――
温室の一角。
試験用の畑。
残渣を、撒いてみた。
土に、混ぜる。
そして――
野菜の種を、植えた。
葉物野菜。
成長が、早い種類。
比較のため、隣に普通の畑も作った。
堆肥(魔獣の骨などから作った従来のもの)を使った畑。
二つの畑を、比較する。
おっさん、ゴードン、オスカーが見守る。
数日後――
芽が、出た。
両方の畑で。
でも――
違いがあった。
残渣を使った畑の方が、芽が大きい。
成長が、早い。
おっさんは、驚いた。
「……本当に、効果がある……」
オスカーも、喜んでいる。
「はい!」
「残渣は、良質な肥料です!」
ゴードンは、微笑んだ。
「これで、完全な循環だ」
数週間後――
野菜が、収穫できた。
残渣を使った畑。
大きな野菜。
立派。
新鮮。
普通の畑よりも、明らかに良い。
おっさんは、野菜を手に取った。
「……すごい……」
「……こんなに、大きい……」
オスカーが、説明する。
「残渣肥料は、栄養バランスが完璧です」
「魔獣の堆肥よりも、優れています」
おっさんは、微笑んだ。
「……よし、正式に採用しよう……」
「……残渣は、全て肥料にする……」
◆ 完全なる循環
数ヶ月後――
グリーンヘイブンの循環システムが、完成した。
魔獣を狩る。
食べられる部分→食材。
食べられない部分→堆肥。
人が食べる。
汚物が出る。
汚物から魔素を抽出→浄化エネルギー。
浄化した残渣→肥料。
肥料で野菜を育てる。
野菜を収穫。
人が食べる。
完全な循環。
無駄が、一切ない。
おっさんは、システム図を見ていた。
満足そう。
「……完璧だ……」
ゴードンも、微笑んでいる。
「ああ」
「これ以上ない、循環システムだ」
オスカーも、喜んでいる。
「経済的にも、素晴らしいです」
「魔石の消費が、ほぼゼロです」
「肥料も、無料で手に入ります」
おっさんは、頷いた。
「……みんなのおかげだ……」
「……ありがとう……」
◆ 住民への説明
数日後――
グリーンヘイブンの広場。
住民たちが、集まっていた。
おっさんが、説明する。
「みんな、聞いてくれ」
「新しいシステムが、完成した」
「汚物を、肥料にするシステムだ」
住民たちは、驚いている。
「汚物を……?」
「肥料に……?」
おっさんは、続けた。
「ああ」
「浄化した残渣は、栄養が豊富だ」
「それを、肥料として使う」
「野菜が、よく育つ」
「完全な循環だ」
住民たちは、理解した。
「すごい!」
「無駄がない!」
「康太郎様、天才だ!」
おっさんは、照れくさそうに笑った。
「……俺じゃない……」
「……ゴードンとオスカーのおかげだ……」
住民たちは、拍手した。
「康太郎様、万歳!!」
「ゴードン様、万歳!!」
「オスカー様、万歳!!」
◆ リーナの評価
数日後――
リーナが、おっさんに言った。
「コータロー、またやったわね」
おっさん「……何が?……」
リーナ「完全な循環システムよ」
「他の領地では、考えられないわ」
「汚物を、肥料にするなんて」
「普通は、捨てるだけよ」
おっさんは、微笑んだ。
「……もったいないからな……」
リーナは、頷いた。
「そうね」
「でも、それを実現するのは、あなただけよ」
「ゴードンの技術力」
「オスカーの知識」
「そして、あなたの決断力」
「全てが、揃っている」
おっさんは、照れくさそうに笑った。
「……みんなのおかげだ……」
リーナは、ニヤリと笑った。
「謙虚ね」
「でも、それがあなたの良いところよ」
◆ 真理の様子
数ヶ月後――
真理は、妊娠5ヶ月。
お腹が、大きくなってきた。
ゴードンの邸宅。
真理は、ソファに座っていた。
ゴードンが、そばにいる。
お茶を、淹れている。
「真理、大丈夫か?」
真理は、微笑んだ。
「はい」
「大丈夫です」
「お腹の子も、元気です」
ゴードンは、真理のお腹に手を置いた。
優しく。
「……良かった……」
真理は、ゴードンの手を握った。
「……ゴードンさん……」
「……ありがとうございます……」
ゴードンは、真理にキスをした。
優しいキス。
「……こちらこそ……」
「……ありがとう……」
二人は、幸せそうだった。
リリアが、定期的に診察している。
真理の体調は、良好。
赤ちゃんも、順調に育っている。
リリアが、真理に言った。
「真理さん、順調ですよ」
「もう少しで、安定期に入ります」
真理は、微笑んだ。
「……ありがとうございます、リリアさん……」
リリアは、優しく微笑んだ。
「無理はしないでくださいね」
「赤ちゃんのためにも」
真理は、頷いた。
「……はい……」
◆ 光と希望の成長
伯爵の館。
おっさんとセシリアの部屋。
光は、生後6ヶ月。
少しずつ、動くようになってきた。
寝返りができる。
笑顔が、増えた。
おっさんは、光を抱いている。
「……大きくなったな……」
セシリアも、微笑んでいる。
「……はい……」
「……すくすく、育っています……」
希望は、1歳9ヶ月。
もう、走り回っている。
言葉も、少し話せるようになった。
「ぱぱ」
「まま」
「ひかる」
おっさんは、希望を抱き上げた。
「希望、偉いな」
「弟の名前、覚えたのか」
希望は、笑っている。
「ひかる!」
セシリアも、笑っている。
「……可愛いですね……」
おっさんは、希望と光を抱きしめた。
幸せそう。
「……俺の子供たちだ……」
◆ 街の発展
グリーンヘイブンは、さらに発展していた。
人口は、2200人を超えた。
建物が、増えている。
住居、商店、工房。
全てが、拡大している。
温泉複合施設も、繁盛している。
毎日、多くの人が訪れる。
他の領地からも、来る。
経済が、活性化している。
農業も、順調。
温室で、年中野菜が採れる。
残渣肥料のおかげで、収穫量が増えた。
余剰分は、他の領地に輸出している。
リーナの商会が、取り扱っている。
高値で、売れている。
魔獣の狩猟も、続いている。
ダリウスと若者たちが、定期的に狩る。
肉が、安定供給されている。
全てが、うまく回っている。
おっさんは、街を見回った。
屋上から。
美しい街。
賑やかな街。
幸せそうな住民たち。
おっさんは、微笑んだ。
(……良い街になった……)
(……みんなが、幸せそうだ……)
(……これからも、守り続ける……)
◆ フィリップ侯爵の訪問
ある日――
フィリップ侯爵が、訪問した。
エリノア侯爵夫人も、一緒。
伯爵の館。
応接室。
おっさんが、出迎えた。
「侯爵様、ようこそ」
フィリップは、豪快に笑った。
「はっはっは!!」
「康太郎殿!」
「また、すごいものを作ったと聞いた!」
おっさん「……すごいもの……?……」
フィリップ「汚物を肥料にするシステムだ!」
「完全な循環だと!」
「素晴らしい!!」
おっさんは、照れくさそうに笑った。
「……みんなのおかげです……」
エリノアも、微笑んでいる。
「康太郎様は、本当に素晴らしい方ですわ」
「王国の宝ですわね」
おっさんは、頭を下げた。
「……ありがとうございます……」
フィリップは、真剣な顔で言った。
「康太郎殿、頼みがある」
おっさん「何でしょう?」
フィリップ「このシステムを、王国全体に広めたい」
「許可をくれ」
おっさんは、即座に頷いた。
「……もちろんです……」
「……みんなが、幸せになれるなら……」
「……喜んで……」
フィリップは、おっさんの肩を叩いた。
「ありがとう!!」
「あなたは、本当に素晴らしい!!」
◆ 国王への報告
数週間後――
フィリップ侯爵は、国王エドワード三世に報告した。
王城。
謁見の間。
国王が、玉座に座っている。
フィリップが、説明する。
「陛下、康太郎殿がまた素晴らしいシステムを作りました」
「完全な循環型社会です」
「汚物を肥料にし、無駄を出しません」
国王は、感心した。
「ほう」
「康太郎殿は、また功績を上げたか」
「素晴らしい」
フィリップ「陛下、このシステムを王国全体に広めたいです」
「許可をいただけますか?」
国王は、頷いた。
「許可する」
「むしろ、推奨する」
「王国全体で、導入しよう」
「康太郎殿には、報奨を与える」
フィリップは、深く頭を下げた。
「ありがとうございます、陛下」
◆ おっさんへの報奨
数週間後――
国王からの使者が、グリーンヘイブンを訪れた。
報奨金と、感謝状。
おっさんは、受け取った。
使者が、言った。
「康太郎殿、国王陛下からの報奨です」
「完全な循環型社会の構築」
「王国への多大なる貢献」
「感謝いたします」
おっさんは、深く頭を下げた。
「……ありがとうございます……」
「……でも、これはみんなのおかげです……」
使者は、微笑んだ。
「康太郎殿の謙虚さも、素晴らしいです」
「陛下も、喜んでおられました」
おっさんは、照れくさそうに笑った。
「……ありがとうございます……」
その夜――
おっさんは、家族と過ごしていた。
セシリア、希望、光。
幸せな時間。
おっさんは、窓の外を見た。
グリーンヘイブン。
美しい街。
夜でも、明るい。
魔素を利用した照明が、輝いている。
おっさんは、微笑んだ。
(……完全な循環……)
(……汚物さえも、宝になる……)
(……これが、俺の目指した世界だ……)
(……無駄のない、持続可能な世界……)
(……これからも、発展し続ける……)
グリーンヘイブン。
完全なる循環の街。
汚物も、宝の山。
全てが、活用される。
持続可能な社会。
おっさんの挑戦は、続く。
(次回:第58話「資源となるゴミ」に続く)




