第105話:脱出作戦
◆ 作戦会議
おっさんは、リーダーたちを集めた。
大広間の隅。
グロム、ダリウス、バハムート、真理、ゴードン、アルヴィン。
そして、ドワーフの長老たち。
おっさんが、言った。
「……脱出作戦を、立てる……」
「……300人を、安全に外へ……」
ダリウスが、地図を広げた。
アイアンホールドの地図。
グロムが、書き込む。
「ここが、最深部」
「ここから、外へ出るには……」
「3つのルートがある」
おっさんが、聞いた。
「……どれが、一番安全だ?……」
グロムは、考えた。
「東のルートが、一番広い」
「大人数でも、通れる」
「でも、魔物が多い」
「西のルートは、魔物の巣になっている」
「北のルートは、狭い」
「大人数では、時間がかかる」
おっさんは、考えた。
(……どれも、難しい……)
バハムートが、言った。
「東のルートを使おう」
「広いなら、大人数でも動きやすい」
「魔物は、俺が何とかする」
真理も、頷いた。
「私も、戦います」
「勇者の力で」
おっさんは、二人を見た。
「……頼む……」
◆ 部隊編成
おっさんが、作戦を説明した。
「……部隊を、3つに分ける……」
「……先頭部隊、中央部隊、殿部隊……」
ダリウスが、聞いた。
「それぞれの役割は?」
おっさんは、答えた。
「……先頭部隊は、道を開く……」
「……魔物を倒しながら、進む……」
「……メンバーは、バハムート、真理、ダニエル、ヴィクター、兵士10名……」
バハムートと真理は、頷いた。
「了解」
おっさんは、続けた。
「……中央部隊は、ドワーフを守る……」
「……俺、ダリウス、アルヴィン、グロム、兵士5名……」
「……そして、ドワーフ300人……」
グロムが、言った。
「俺が、仲間を誘導する」
おっさんは、頷いた。
「……頼む……」
「……そして、殿部隊……」
「……ゴードン、他のドワーフ戦士、兵士5名……」
「……後ろから来る魔物を、防ぐ……」
ゴードンが、聞いた。
「魔物が追ってくる可能性は?」
おっさんは、頷いた。
「……高い……」
「……音で、気づかれる……」
「……だから、殿が必要だ……」
ゴードンは、頷いた。
「分かった」
「任せてくれ」
◆ 準備
ドワーフたちは、準備を始めた。
子供を、大人が抱える。
老人を、支える。
怪我人には、担架。
食料も、持てるだけ持つ。
松明を、配る。
光が、必要だ。
グロムが、ドワーフたちに言った。
「みんな、聞いてくれ」
「これから、脱出する」
「危険な道だ」
「でも、必ず成功する」
「静かに、慎重に、進もう」
「子供たちは、泣かないように」
「大人が、しっかり守る」
ドワーフたちは、頷いた。
「分かりました」
「グロム様を、信じます」
おっさんは、バハムートと真理に言った。
「……お前たちが、頼りだ……」
「……無理はするな……」
「……でも、全力で頼む……」
バハムートは、笑った。
「任せろ」
真理も、微笑んだ。
「必ず、成功させます」
おっさんは、頷いた。
◆ 出発
準備が、整った。
全員が、列を作った。
先頭部隊。
中央部隊。
殿部隊。
おっさんが、大きな声で言った。
「行くぞ」
「全員、ついてこい」
ドワーフたちは、答えた。
「はい!」
部隊が、動き出した。
東のルートへ。
広い通路。
でも――
暗い。
松明の光だけが、頼り。
バハムートが、先頭を歩く。
人の姿。
でも――
いつでも、竜になれる準備。
真理も、剣を構えている。
勇者の剣。
聖なる光が、微かに輝いている。
◆ 最初の戦闘
10分ほど進んだ時――
前方から、魔物の気配。
バハムートが、立ち止まった。
「来るぞ」
暗闇から、魔物が飛び出してきた。
狼型の魔物。
5匹。
目が、赤く光っている。
「グルルル……!」
襲いかかってくる。
バハムートは、拳を構えた。
「フンッ!」
魔物の一匹を、殴る。
魔物が、吹き飛ぶ。
壁に、激突。
動かなくなった。
真理が、剣を振るった。
「聖なる光よ!」
光が、魔物を包む。
「ギャアアア!」
魔物が、悲鳴を上げた。
光に、焼かれる。
倒れる。
ダニエルとヴィクターも、戦った。
光の魔石の剣で。
残りの魔物を、倒していく。
数分後――
全ての魔物を、倒した。
バハムートが、後ろを振り返った。
「大丈夫だ」
「進め」
おっさんは、頷いた。
「……行くぞ……」
部隊が、再び動き出した。
◆ 中央部隊の様子
おっさんは、中央部隊を見回した。
ドワーフたち。
300人。
疲れている。
怖がっている。
でも――
必死に、ついてきている。
子供を抱えた母親。
老人を支える若者。
担架を運ぶ戦士。
みんな、頑張っている。
グロムが、励ましている。
「大丈夫だ」
「もう少しだ」
「頑張ろう」
ドワーフたちは、頷いた。
「はい、グロム様」
おっさんは、アルヴィンに言った。
「……アルヴィン……」
「……周囲を、警戒してくれ……」
アルヴィンは、頷いた。
「任せろ」
エルフの感覚で、周囲を探る。
「今のところ、魔物は近くにいない」
おっさんは、安堵した。
「……良かった……」
◆ 殿部隊の戦い
後方――
ゴードンたちが、戦っていた。
追ってきた魔物。
熊型の魔物。
2匹。
大きい。
強い。
ゴードンが、魔道具を掲げた。
「光の魔石よ!」
光が、放たれる。
魔物に、当たる。
「グオッ!」
魔物が、ひるんだ。
ドワーフ戦士たちが、斬りかかった。
光の魔石の剣。
魔物の足に、当たる。
「グオオッ!」
魔物が、倒れた。
兵士たちも、加わる。
協力して、魔物を倒す。
数分後――
2匹とも、倒した。
ゴードンは、息をついた。
「……何とか、持ちこたえている……」
「……でも、また来るだろう……」
ドワーフ戦士が、言った。
「大丈夫です」
「俺たちが、守ります」
ゴードンは、頷いた。
「頼む」
◆ 次々と現れる魔物
部隊は、進み続けた。
でも――
魔物が、次々と現れる。
狼型、熊型、様々。
バハムートと真理が、倒していく。
圧倒的な力で。
でも――
数が多い。
バハムートが、言った。
「キリがないな」
真理も、汗をかいている。
「……はい……」
「……でも、頑張ります……」
その時――
前方に、大きな広間が見えた。
バハムートが、立ち止まった。
「……あれは……」
広間の中には――
魔物が、たくさんいた。
何十匹も。
巣だ。
大きな巣。
おっさんは、顔色を変えた。
「……まずい……」
バハムートが、言った。
「俺が、片付ける」
そして――
光に包まれた。
竜の姿に、変身。
巨大な銀色の竜。
古代竜バハムート。
ドワーフたちが、驚愕した。
「……古代竜……!?」
「……あれが、バハムート……!?」
バハムートは、広間に突入した。
「グオオオオ!!」
咆哮。
圧倒的な威圧感。
魔物たちが、怯んだ。
バハムートは、炎のブレスを吐いた。
「フンッ!」
炎が、広間を包む。
魔物たちが、焼かれる。
「ギャアアア!」
次々と、倒れる。
バハムートは、尾を振るった。
薙ぎ払う。
残りの魔物も、倒れる。
数分後――
全ての魔物を、倒した。
バハムートは、人の姿に戻った。
「……やれやれ……」
「……疲れたな……」
おっさんが、駆け寄った。
「……大丈夫か?……」
バハムートは、頷いた。
「ああ」
「まだ、動ける」
真理が、言った。
「バハムート様、ありがとうございます」
バハムートは、笑った。
「気にするな」
◆ 外が見えた
さらに、進んだ。
通路を、上へ。
地下から、地上へ。
そして――
前方に、光が見えた。
自然の光。
太陽の光。
出口だ。
バハムートが、言った。
「見えたぞ」
「外だ」
ドワーフたちが、歓声を上げた。
「外だ!」
「光が見える!」
「助かった!」
おっさんは、微笑んだ。
「……もう少しだ……」
「……頑張ろう……」
ドワーフたちは、最後の力を振り絞った。
外へ。
光へ。
自由へ。
全員が、必死に進んだ。
そして――
外に、出た。
◆ 脱出成功
山の外。
青い空。
太陽の光。
新鮮な空気。
ドワーフたちは、泣き崩れた。
「……助かった……」
「……生きていた……」
「……外に出られた……」
子供たちも、泣いている。
母親たちが、抱きしめている。
老人たちも、涙を流している。
グロムは、空を見上げた。
涙を流しながら。
「……やった……」
「……みんなを、助けられた……」
おっさんが、グロムの肩を叩いた。
「……よくやったな……」
グロムは、おっさんを抱きしめた。
「……ありがとう、康太郎……」
「……お前のおかげだ……」
おっさんは、首を振った。
「……いや、みんなのおかげだ……」
バハムートも、真理も、ゴードンも、ダリウスも、アルヴィンも。
全員が、協力した。
だから、成功した。
種族を超えて。
協力して。
全員を、救った。
ドワーフ300人。
一人も、欠けずに。
全員で、外に出た。
おっさんは、みんなを見た。
疲れている。
でも――
笑顔。
希望に満ちた顔。
(……良かった……)
(……成功した……)
おっさんは、空を見上げた。
青い空。
美しい空。
「……次は、帰るだけだ……」
「……グリーンヘイブンへ……」
グリーンヘイブンから、遠く離れた地。
アイアンホールド。
脱出作戦、成功。
ドワーフ300人、全員救出。
バハムートと真理の活躍。
みんなの協力。
種族を超えた、絆。
これが、グリーンヘイブンの強さ。
これが、おっさんたちの力。
でも――
まだ、やるべきことがある。
魔物の巣を、潰すこと。
魔力の流れを、遮断すること。
そして――
全員で、帰ること。
グリーンヘイブンへ。
家族の待つ、街へ。
物語は、続く。
(次回:第106話に続く)




