第106話:魔物の巣殲滅
◆ 一時的な休息
山の外。
ドワーフたちは、地面に座り込んでいた。
疲労困憊。
でも――
生きている。
救われた。
おっさんは、ドワーフたちを見回した。
怪我人の手当て。
子供たちに、水を与える。
食料を、分ける。
みんな、必死に回復しようとしている。
グロムが、おっさんに近づいてきた。
「康太郎」
「本当に、ありがとう」
「俺たちを、助けてくれて」
おっさんは、首を振った。
「……まだ、終わっていない……」
グロムは、驚いた。
「まだ?」
おっさんは、頷いた。
「……魔物の巣を、潰す……」
「……魔力の流れを、遮断する……」
「……元を絶たないと、また同じことが起きる……」
グロムは、理解した。
「……そうか……」
「……確かに、その通りだ……」
◆ 再潜入の決意
おっさんは、リーダーたちを集めた。
バハムート、真理、ダリウス、ゴードン、アルヴィン。
そして、グロム。
「……これから、もう一度中に入る……」
「……魔物の巣を、完全に潰す……」
「……そして、結界を張る……」
ダリウスが、聞いた。
「全員で行きますか?」
おっさんは、首を振った。
「……いや……」
「……ドワーフたちは、ここで休ませる……」
「……俺たち戦闘部隊だけで行く……」
バハムートが、言った。
「誰が行く?」
おっさんは、答えた。
「……俺、バハムート、真理、ゴードン……」
「……ダニエル、ヴィクター……」
「……そして、志願者……」
アルヴィンが、前に出た。
「俺も行く」
グロムも、前に出た。
「俺もだ」
「仲間の仇を取る」
おっさんは、二人を見た。
「……無理はするな……」
二人は、頷いた。
「分かっている」
ダリウスが、言った。
「では、俺はここに残ります」
「ドワーフたちを、守ります」
おっさんは、頷いた。
「……頼む……」
◆ 魔物の巣へ
再潜入部隊が、アイアンホールドに戻った。
おっさん、バハムート、真理、ゴードン、アルヴィン、グロム。
ダニエル、ヴィクター。
合計8名。
精鋭部隊。
地下へ。
深く。
グロムが、案内した。
「魔物の巣は、最深部の奥にある」
「俺たちが逃げる時、見た」
「おびただしい数の魔物が、そこから湧いてきた」
おっさんは、頷いた。
「……分かった……」
通路を、進む。
暗い。
静か。
でも――
魔物の気配が、濃い。
バハムートが、言った。
「近いな」
真理も、剣を構えた。
「はい」
「強い魔力を感じます」
さらに、進んだ。
そして――
巨大な空間に、出た。
◆ 魔物の巣
巨大な洞窟。
自然の洞窟。
天井が、高い。
壁が、ゴツゴツしている。
そして――
中央に、何かがあった。
黒い結晶。
巨大な黒い結晶。
高さ3メートルほど。
脈打っている。
魔力が、溢れている。
その周りに――
魔物が、たくさんいた。
何十匹も。
狼型、熊型、様々。
全て、黒い結晶の周りに集まっている。
まるで、守っているかのように。
ゴードンが、驚愕した。
「……あれは……」
「……魔力の核……」
おっさんが、聞いた。
「……魔力の核?……」
ゴードンは、頷いた。
「魔力が集まって、結晶化したものだ」
「あれがあると、魔物が集まる」
「あれを壊せば……」
真理が、続けた。
「魔物の流れが、止まります」
おっさんは、頷いた。
「……やるぞ……」
バハムートが、言った。
「俺が、魔物を引きつける」
「その間に、あの結晶を壊せ」
おっさんは、頷いた。
「……頼む……」
◆ 殲滅戦
バハムートが、光に包まれた。
竜の姿に、変身。
巨大な銀色の竜。
古代竜バハムート。
「グオオオオ!!」
咆哮。
魔物たちが、一斉に反応した。
バハムートに、襲いかかる。
バハムートは、炎のブレスを吐いた。
「フンッ!」
炎が、魔物たちを包む。
「ギャアアア!」
魔物たちが、焼かれる。
でも――
数が多い。
次々と、襲いかかってくる。
バハムートは、尾を振るった。
爪で、引き裂く。
牙で、噛みつく。
圧倒的な力。
でも――
魔物も、必死だ。
バハムートに、傷をつける。
「グッ……!」
バハムートが、ひるんだ。
その時――
真理が、魔物たちに斬りかかった。
「聖なる光よ!」
勇者の剣が、輝く。
光が、魔物を包む。
「ギャアアア!」
魔物たちが、倒れる。
アルヴィンも、弓を射る。
エルフの弓。
正確無比。
魔物の急所に、当たる。
グロムも、斧を振るう。
ドワーフの斧。
力強い。
魔物を、叩き潰す。
ダニエルとヴィクターも、戦っている。
光の魔石の剣で。
魔物を、倒していく。
おっさんとゴードンは、黒い結晶へ向かった。
◆ 結晶の破壊
おっさんとゴードンは、黒い結晶の前に立った。
結晶は、脈打っている。
魔力が、溢れている。
触ると、危険そうだ。
ゴードンが、魔道具を取り出した。
白い魔石の魔道具。
浄化用。
「これで、浄化する」
「魔力を、中和する」
ゴードンは、魔道具を結晶に向けた。
光が、放たれる。
白い光。
結晶を、包む。
結晶が、震え始めた。
ビリビリと。
音を立てる。
おっさんは、剣を構えた。
「……ゴードン、下がれ……」
「……俺が、壊す……」
ゴードンが、下がった。
おっさんは、剣を振り上げた。
そして――
全力で、結晶に叩き込んだ。
「うおおおお!!」
ガシャン!
結晶が、砕けた。
破片が、飛び散る。
黒い破片。
でも――
光に、溶けていく。
浄化されていく。
魔力が、消えていく。
そして――
静寂。
結晶は、完全に消えた。
おっさんは、息をついた。
「……やった……」
◆ 魔物の変化
その瞬間――
魔物たちの動きが、変わった。
狂暴さが、消えた。
目の赤い光が、消えた。
普通の目に、戻った。
魔物たちは、戸惑っている。
キョロキョロと、周囲を見回す。
そして――
逃げ始めた。
洞窟から、外へ。
バハムートを、攻撃しない。
ただ、逃げる。
バハムートは、人の姿に戻った。
「……魔王の影響が、消えたか……」
真理も、剣を下ろした。
「はい」
「魔物たちが、正気に戻りました」
おっさんは、頷いた。
「……やはり、そうか……」
「……魔物は、魔王の影響で狂暴化していただけ……」
「……本来は、知性がある……」
アルヴィンが、言った。
「だから、逃げたんだな」
グロムも、頷いた。
「そうだ」
「魔物も、生き物だ」
「無駄に、殺す必要はない」
おっさんは、微笑んだ。
「……その通りだ……」
◆ 結界展開
ゴードンが、言った。
「次は、結界だ」
「魔力の流れを、遮断する」
おっさんは、頷いた。
「……頼む……」
ゴードンは、白い魔石の要石を取り出した。
4つ。
真理も、手伝う。
「どこに置きますか?」
ゴードンが、指示した。
「洞窟の四方だ」
「北、南、東、西」
「正確に配置する必要がある」
真理は、頷いた。
「分かりました」
二人は、要石を配置し始めた。
まず、北。
洞窟の北端に、要石を置く。
ゴードンが、魔力を込める。
光が、放たれる。
要石が、光る。
次に、南。
同じように、配置する。
光る。
東、西も、同様に。
4つの要石が、全て光った。
そして――
要石同士が、繋がった。
光の線で。
四角形。
結界。
ゴードンと真理が、中央に立った。
二人で、魔力を込める。
「結界よ、張れ!」
光が、洞窟全体を包んだ。
眩しい光。
そして――
静まった。
結界が、完成した。
目には見えない。
でも――
確かに、ある。
魔力の流れを、遮断する結界。
ゴードンは、息をついた。
「……完成した……」
「……これで、魔力の流れが止まる……」
「……魔物も、来なくなる……」
真理も、微笑んだ。
「成功です」
おっさんは、二人に近づいた。
「……ご苦労だった……」
「……これで、元を絶てた……」
◆ 任務完了
おっさんは、みんなを見た。
バハムート、真理、ゴードン、アルヴィン、グロム。
ダニエル、ヴィクター。
全員、疲れている。
傷ついている。
でも――
笑顔。
達成感。
「……やったな……」
「……ドワーフを救出した……」
「……魔物の巣を、潰した……」
「……結界を、張った……」
「……全て、成功だ……」
バハムートが、笑った。
「ああ」
「よくやった」
真理も、微笑んだ。
「みんなのおかげです」
グロムが、おっさんの肩を叩いた。
「康太郎」
「お前のおかげだ」
「本当に、ありがとう」
おっさんは、首を振った。
「……いや、みんなのおかげだ……」
「……種族を超えて、協力した……」
「……だから、成功した……」
アルヴィンも、頷いた。
「そうだな」
「人間、エルフ、ドワーフ」
「みんなで、力を合わせた」
「これが、グリーンヘイブンの力だ」
おっさんは、微笑んだ。
「……帰ろう……」
「……グリーンヘイブンへ……」
「……家族が、待っている……」
全員が、頷いた。
「ああ!」
◆ 外へ
再潜入部隊は、洞窟を出た。
山の外。
ドワーフたちが、待っていた。
ダリウスも。
おっさんたちを見て、駆け寄ってきた。
「康太郎様!」
「成功しましたか!?」
おっさんは、頷いた。
「……ああ……」
「……魔物の巣を、潰した……」
「……結界も、張った……」
「……もう、魔物は来ない……」
ドワーフたちが、歓声を上げた。
「やった!」
「もう安全だ!」
「康太郎様、ありがとうございます!」
グロムが、ドワーフたちに言った。
「みんな」
「これで、アイアンホールドは安全になった」
「いずれ、帰ることもできる」
「再建できる」
ドワーフたちは、涙を流した。
「……故郷に、帰れる……」
「……再建できる……」
おっさんは、空を見上げた。
夕方。
赤い空。
美しい空。
(……終わった……)
(……全て、成功した……)
(……あとは、帰るだけだ……)
◆ 帰還の準備
おっさんは、みんなに言った。
「……休もう……」
「……今日は、ここで野営する……」
「……明日、グリーンヘイブンへ帰る……」
全員が、頷いた。
「了解!」
野営の準備が、始まった。
テントを張る。
火を起こす。
食事を作る。
ドワーフたちも、手伝う。
元気が、戻ってきた。
笑顔が、増えてきた。
夜――
焚き火を囲んで。
おっさん、バハムート、真理、ゴードン、ダリウス、アルヴィン、グロム。
みんなで、話している。
バハムートが、言った。
「良い戦いだった」
「久しぶりに、本気を出した」
真理も、微笑んだ。
「私も、勇者として戦えました」
「みんなのおかげです」
ゴードンが、言った。
「結界、うまくいって良かった」
「試作だったからな」
アルヴィンが、笑った。
「試作だったのか」
「よく成功したな」
グロムが、おっさんに言った。
「康太郎」
「お前と出会えて、良かった」
「人間も、悪くないな」
おっさんは、笑った。
「……ドワーフも、悪くない……」
「……エルフも……」
「……みんな、仲間だ……」
全員が、笑った。
種族を超えた、友情。
これが、グリーンヘイブンの絆。
グリーンヘイブンから、遠く離れた地。
アイアンホールド。
全ての任務、完了。
ドワーフ300人救出。
魔物の巣殲滅。
結界展開。
元を絶った。
種族を超えた、協力。
人間、エルフ、ドワーフ。
みんなで、力を合わせた。
そして――
成功した。
明日は、帰る。
グリーンヘイブンへ。
家族の待つ、街へ。
長い旅が、終わる。
でも――
新しい物語が、始まる。
ドワーフとの、共存。
平和な、未来。
物語は、続く。
(次回:第107話に続く)




