↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
15/16

15.不完全な存在



 真っ白な少年が現れてどれほど経っただろう。年月を数えていない私と違って彼はしっかりと覚えているのでしょうね。


 彼はここで過ごすようになって直ぐに神の遣いとなることを望み、その人の姿を捨てることを願った。


 白蛇の形を取って精霊達をまとめて、まるで私に褒められたい子供のように振る舞う。唯一の私の役目さえ彼が熟すのだから……それこそ人間に疎まれている私の存在価値など無いに等しいんじゃないかと思ってしまう。


 母を切望する子供のようなそんな彼の心の声を毎日聞いているのが苦しくて、放り出したくなって……実際に私が放り出したのは言うまでもなく。


 この際、消えてしまいたいと心から願ったの。父と母に作られた私と言う存在ごと。


「私は疲れてしまったのね」


 近くに呼び出した彼に何も告げずに"神"の力を注ぐ。私がいなくなっても此処で蛇達を纏める存在は必要だから。


「一体何を……!」

「コレからは貴方が私の役目を継ぐの。信仰を失って弱ってしまった私の代わりに。私でさえ無ければ人間の想い次第で力を失う事もないでしょうし」


「辞めてください!! 私は神になることは望みません!! リザ様が居ないトルニテアには何の価値もありません。早まってはなりません!!」


 消える。消えたい。


 切望した思いは彼から弾かれた。

 移行していた私の力が彼の力より弱くなったから……でしょうね。


 力の器である身体さえも保てないくらいに。


 それでも、彼がリズだった故に属性を扱う力は私に残ったままだから、まだ暫くは消える事は叶わなそう。


「何故このような!」

「もぅ、たくさんなの。蛇達や人間を見守るのは。貴方の体もその力が馴染めば私に残っている力を受け入れられるようになるから問題ないわ」


「ですから、リザ様を失うわけにはいかないのです。蛇達も誰も望みません」


 必死ね。

 でも……。


「ならば、私の力を受け入れられる器を見つけてくるといいわ」


 そんな存在、トルニテアにはいないだろうけど。


「肉体が有れば今の状態より長らえることができるでしょうから……」

「…………必ず、必ず見つけて参ります」



 この森から神か消えた日。

 二つの不完全な存在が生まれたの。


 属性魔法を操る力を持つ者と神の力の一部をもつ者。


 この姿でも十数年は存在し続けるのでしょうけれど……終わりが見える事に安堵する。解放される。逃げ出せる。投げ出せる。


 初めて希望が見えた気がしたの。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。