15.不完全な存在
真っ白な少年が現れてどれほど経っただろう。年月を数えていない私と違って彼はしっかりと覚えているのでしょうね。
彼はここで過ごすようになって直ぐに神の遣いとなることを望み、その人の姿を捨てることを願った。
白蛇の形を取って精霊達をまとめて、まるで私に褒められたい子供のように振る舞う。唯一の私の役目さえ彼が熟すのだから……それこそ人間に疎まれている私の存在価値など無いに等しいんじゃないかと思ってしまう。
母を切望する子供のようなそんな彼の心の声を毎日聞いているのが苦しくて、放り出したくなって……実際に私が放り出したのは言うまでもなく。
この際、消えてしまいたいと心から願ったの。父と母に作られた私と言う存在ごと。
「私は疲れてしまったのね」
近くに呼び出した彼に何も告げずに"神"の力を注ぐ。私がいなくなっても此処で蛇達を纏める存在は必要だから。
「一体何を……!」
「コレからは貴方が私の役目を継ぐの。信仰を失って弱ってしまった私の代わりに。私でさえ無ければ人間の想い次第で力を失う事もないでしょうし」
「辞めてください!! 私は神になることは望みません!! リザ様が居ないトルニテアには何の価値もありません。早まってはなりません!!」
消える。消えたい。
切望した思いは彼から弾かれた。
移行していた私の力が彼の力より弱くなったから……でしょうね。
力の器である身体さえも保てないくらいに。
それでも、彼がリズだった故に属性を扱う力は私に残ったままだから、まだ暫くは消える事は叶わなそう。
「何故このような!」
「もぅ、たくさんなの。蛇達や人間を見守るのは。貴方の体もその力が馴染めば私に残っている力を受け入れられるようになるから問題ないわ」
「ですから、リザ様を失うわけにはいかないのです。蛇達も誰も望みません」
必死ね。
でも……。
「ならば、私の力を受け入れられる器を見つけてくるといいわ」
そんな存在、トルニテアにはいないだろうけど。
「肉体が有れば今の状態より長らえることができるでしょうから……」
「…………必ず、必ず見つけて参ります」
この森から神か消えた日。
二つの不完全な存在が生まれたの。
属性魔法を操る力を持つ者と神の力の一部をもつ者。
この姿でも十数年は存在し続けるのでしょうけれど……終わりが見える事に安堵する。解放される。逃げ出せる。投げ出せる。
初めて希望が見えた気がしたの。




