19
そろそろ終盤ですね!
暗転した意識の中僕は夢を見た。
それは真実と虚実。
自分が何者なのかどうしてこんなことに巻き込まれたのか
そして僕は今自分に向き合ってる。
暗闇の中拘束された自分に。
僕は問う。
『全部分かった。何がおかしくて何が正しくて何が本物で何が嘘で。
君に問いたい。君は真実を知ってどうする?
僕…いや俺は自分が信じるものに従う。
だからアリスィア、真実を見つめて。』
アリスィア(じぶん)は今も黙る。
でも心は同じ、決めるものも……きっと同じ。
俺は君でアリスィア(きみ)は俺だ。
だから…
『強制はしない…が君のことならもう決めているだろう。
あっちでは無意識だけどここでは意識的だ。
なら俺の決めたことについても君は理解できるはずだ。』
(お前は……鳥栫售、お前はこの真実を知って何を思う。
憎いか?この真実を知ったからこそ行動するか?)
『同じ"じぶん"として答えるとするなら君は過去で俺は未来だ。
君が決めたのだから俺も同じ意見だ。違うか?』
ニヤッと笑う俺にアリスィアもまた決意を固めたようだった。
今までとは違う本当の熱と怒りと悲しみと憎しみと
記憶が戻りやることが分かったことでの
喜びと後悔と守るべきものの存在。
自分…いや俺は……決意を以て生き返る。
さぁ、行こう。
次に目覚めた先はどうやら地上のようだった。
何かを呟いてはいるがまぁどうやら分からない言語らしい。
どこかの国の言葉だが意味合いとして直感で答えるなら"処刑"だな。
群衆が眼下に広がるということは公開処刑というやつか。
まあこうもすればアリスが出るとでも考えたんだろう。
まったく馬鹿な奴らだ。
あいつがそんなことで出るとするならそれは
"あの日"以外ではあり得ない。
ふむ…さてまずはここを抜け出すことを考えよう。
自分の今の状況は磔をされている。
口は閉ざされ目と鼻は塞がっていない。
道理で油臭いと思ったわけだ。
…天界審問会は俺を磔にして焼き殺す気なのか。
あ、そういえばエクリクシィ・ホープは?
まさかと言うが邪魔をして絶対に妨害させない気でいるな?
ちらほらにそういうやつがいる。
今知り合いに目があったがそっぽを向かれてしまった。
はぁ……助けは来ないか。
……ふん。好都合だ。
おっと鐘が鳴る。
そういえばよく確認してなかったがここは天界審問会の前の噴水のある
大聖堂とかいう場所か。
そこで殺すということはある意味歴史に語り継がれるのだろうな。
歴史の教科書があるとするなら俺とアリス、明音と
…ティフォナスが載るのかねぇ。
……そういやここに明音は?
いないならまあ聞くだけだが。
さてお時間だ。夜の星空を見上げて俺は
あっちの未来の俺にバトンタッチをして
ささっと戻ってこよう。
そして戻ったらパーティーの準備をしなくてはな。
たった一人の独裁者が血しぶきとともに
黒歴史を噴出して倒れる姿が目に浮かぶ。
まずは……その独裁者を探すのが賢明かな?
「―――ここに、裏切り者の処刑を宣言する。
磔及び火刑に処し苦痛のなか自ら課した罪の懺悔をするが良い―」
(あ、見つけた。)
放たれる火はすぐに俺の足元をさらい徐々に上へ上へと登っていく。
誰かが止めるように今更行動を起こしているがはぁ…溜め息しか出ないな。
というか魔法師団長様(笑)は処刑を見てやっぱり笑ってやがる。
なら…俺は先に舌を噛んで死ぬかね。
このスキルを使うのも多分これが最後だろうな。
アリスィア(こっち)の身体でな。
起き上がって見る時計の針は今まで見ていた時間を指してはいなかった。
俺は部屋の扉を開けノックもせずに明音の部屋へとやや暴力的に開け放つ。
開け放した先には綺麗に片付けられた新居のような何もない空間。
(ちっ……失敗してんじゃねぇよ)
そして階段で下の階に行くとそこには姉、母という
看板の貼られた何かが食事をしていた。
こちらには目も向けずゆらゆらとゆらめいている。
これがまず"一つ目の真実"俺に家族は存在しない。
姉と母はどうやら俺が記憶を守ったことで出来た空想の存在らしかった。
つまりそこにはいないのにも関わらず対処をしてくれる幻の存在だ。
俺はそれには目もくれず台所につくと
包丁を手に一気に首を刺し自分で自分の頭を
飛ばすように切り裂いていく。
もうなぜか痛みを受けていない気がした。
多分これもスキルのおかげなのだろう。
スキル様様だな。
俺の持つスキル【創生】は新たなものを生み出していくものだ。
例を言えば今俺が戦車が欲しいと言えば戦車が生み出されるだろう。
何もない空間に何の干渉も材料もなしに生み出される。
別世界の命の再生もこれで補っている。
さて長話もそろそろにしよう。
意識をあっちに戻すからな、售じゃなくてアリスィア(きみ)に。
火刑で処された目の前の死体に人々は歓声を上げていた。
彼を見知る者は絶望に満ちた顔で後悔を懺悔するように。
魔法師団長ティフォナス・ホープもだった。
(これであとは屋敷を占拠し始めた北条明音とアリスの二人
終われば私の名誉も晴れ同時に
私がしたことについての目撃者はいなくなる。
さあもうすぐだ…これで天界は私のもの……)
『なんだあれ?!!!!』
何かに気付き目と身体を震えさせそれが次第に周囲へ広まっていく。
ティフォナスはその視線の先を追い絶句する。
火は消え焼け焦げた死体が徐々に再生し元に戻っていく。
邪魔をしようとするものはすべてその再生の光を纏う彼の妨害で
近づけずそしてそれが次第に恐怖へと酷似していく。
完全に再生したところで目は開かれる。
《…戻ってきたぞ、ティフォナス》
(ひっ…?!何か声が…)
《今一度、俺の復讐の仇討ちをお前に向けてやる。》
そしてアリスィアは磔の拘束を
すべて解き壊すと目の先をティフォナスに向ける。
ティフォナスは慌てて駆け出し逃げていったようだった。
それに俺は追いかける…が雑魚がそれを塞ぐのでここは思い出した俺の力、
スキルで対峙してやる。
「【創生】…"分身作成"分身は任意に外せまた本体より目立つ。
さあティフォナス・ホープ処刑のお時間だ。」




