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転生して聖女になったら私を殺した犯人と二重人格になっていた!?  作者: 見夢 梦
第3章

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第45話 ピエロは語る⑬

「僕は教会の神父だぞ!それをよくも!」

 アフラに顎を砕かれたアレックスが吠える。

「関係ありません。教会の人間だろうと誰だろうと罪のない人を殺すことが許されるはずありません!」

「罪のない人……?ハハハハッ」

 アレックスが嗤い始める。

「僕が殺した彼らはこの街で悪事を働いていた者たちだ。ある者は詐欺師、またある者は医者を語り薬を売っていた」

「本当に彼らは殺されるべきだと?」

「当然!私は教会に……いや、イャザッタ様に選ばれた存在、行いの全てが正しい!」

「……先程、教会の公認だと言っていましたが」

 アレックスは悦に浸りながら続ける。

「魔女など信じる愚かな街よ。その中で僕の使命は悪人の粛清!教皇区へ支援を求めた際、確かに承ったのだ!」

「そんなッ……!」

 教会の理想と現実の乖離はこれまでの旅で思い知っていたが、それでも教会側は自身の中で信じている善に従い行動していた。

 しかし、今アレックスの口から聞かされているのは、そういったモノとも違う、ただ気に入らないモノを粛清する思想そのものだった。

「教会がそんなこと……」

「勿論、それは僕が特別だからだ。魔女の街でありながらイャザッタ様に選ばれた僕が!この街を救うのだよ!」

 アレックスの口から語られるのは独り善がりな理論である。だが、それに教会が太鼓判を押したその事実がアフラは信じられずにいた。

(へッ、教会もやっと本音を話したか。教会は嫌いだが、その考えは理解できるな)

 麻友が心のなかで囁く。

 確かに、彼の口ぶりでは罰せられるのに真っ当な理由はある。だけれども、それを肯定すれば麻友の前世を肯定することにもなる。

(そうですね。だけども麻友さん、私は今更ですが、例え教会に反することだろうと間違っていると思います)

(……)

「アレックスさん、縁起と言うモノをご存知ですか?」

「縁起?イャザッタ様の言葉には無いモノだね」

「これは東夷の方の教えらしいですが、『この世の全てのモノには意味があり、互いに影響し合っているから欠けてはならない』という教えらしいです」

「仮にも聖女を名乗っているのに東夷の教えを語るだと?」

「教会も東夷も関係ありません。聖女の目的はイャザッタ様の教えを東夷に広めること。そのためには先ずは現地の文化や教え、暮らしを理解するべきです。そして、それは私たちが暮らしている教会圏の人にも言えること。良いと思った教えなら、文化の違いを越えて互いに学び合うべきではないですか」

 アフラの言葉にアレックスがキョトンとする。

「えぇと……。つまり君はイャザッタ様の教えが絶対でないとでも言うのかい?流石、偽者だけある。何故、わざわざ不完全で愚かな東夷の教えを受け入れる必要がある?愚かなら愚かなりに教会の教えを素直に受け入れれば良いのだ!」

 ガチャ

 アレックスが教会の扉に鍵をかける。

(アフラ、来るぞ!)

「アレックスさん!あなたにも信じるモノがあるのはわかります。でも、今の行いは明らかに間違って――」

「うるさい!僕は選ばれたんだ!あの日もあの時もいつもいつも!イャザッタ様に!僕が僕自身が教会の、イャザッタ様の代弁者!いや……僕こそがイャザッタ様の生れ変りだ!」

 ボウッ

 突如としてアレックスの身体が燃え始める。それと同時に――

 ピキッ

「こ、これは……!?」

 祭壇の向こう側にあるイャザッタの巨像が音を立て壁から外れ始め、徐々にだが動き出す。

「《|悪の秘蹟《Sacraments of Evil》》、あの日、教会から教えてもらった魔法でこの僕、イャザッタ直々に裁きを下してやろう」

 ドシンッ……ドシンッ……

 背面からはイャザッタの巨像、正面は燃え盛るアレックスが立ちふさがる。

「アレックスさん!その禁術は……」

「関係ない!先に貴様が火焔の墓孔へと入るのだからな!」

 ボウッ

 アレックスから炎の触手が飛んでくる。

「つッ!」

 粋がっているものの戦闘慣れしていないため、触手の動きは緩慢でアフラは簡単に避ける。

「アレックスさん!いくら強力な魔法を使っても――」

(アフラ!横から来るぞ!)

「へっ?」

 バギィッ!

「ガハッ」

 横に目をやるとイャザッタゴーレムの巨大な拳が迫っており、《意思の鎧》で威力は削がれたものの、不意の一撃を受けて突き上げられる。

「カッハッ」

 アフラの体は教会の天井近くまで浮かび上がる。

「偽聖女!これで終わりだ!」

 アレックスが浮かび上がったアフラ目掛け、炎の触手を放つ。

「《魔術師の……》」

 防ごうとするものの不意のダメージにより判断が遅れ、触手はアフラの体を包み込んだ。

「あ゛あ゛あ゛ッ」

 不幸中の幸いか、教会に着くまでに雨に濡れていたので引火こそしなかったが、それでも火傷の痛みが皮膚の上を這いずり回る。

 そして、空中で無防備になり、落下するところへ追い打ちをかけるかのようにイャザッタゴーレムの拳が襲いかかる。

 ドゴォッ

「グッペッ」

 地面に叩きつけられ、その衝撃で肋骨がイカれる。

「がッ……はぁはぁ……。マジかよ……」

 アフラが気を失うと同時に麻友へと入れ替わる。

 折れた肋骨、出血する内臓と入れ替わりが起きても身体を共有している関係上、麻友も万全ではない。

 それどころか、胸骨にはヒビが入っている状態だ。

「大人しく死ぬ準備は出来ましたか?そのままでいれば楽に逝かせてあげましょう」

 アレックスが挑発をする。

(アフラはもう、先ず期待は出来ねぇ。あたしも治療しなければキツイし、何より戦闘は不向きだ……)

 ジジジッ

 アレックスの使った魔法により教会のあちらこちらが燃え始める。

(《灼熱の時》……、自身の体を燃やしながら相手も燃やす禁術だ。本来なら逃げれば良いんだが、それもキツイな……)

 雨のため湿度が高く、火の手が広まる速度は遅いが確実に逃げ場も少なくなる中、麻友たちが生き残るのは絶望的であった。

ここまで読んでいただきありがとうございます☆彡




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