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転生して聖女になったら私を殺した犯人と二重人格になっていた!?  作者: 見夢 梦
第3章

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第44話 ピエロは語る⑫

 雨の中、教会の前に着く。教会は今までアフラが見てきた街の教会と変わらない、ありきたりな佇まいだ。

 ただどの街も教会やその周辺は人気があったが、悪天候であることを差し引いても、ここリンベの教会は余りに人の気が無さすぎる。

 まるでこの街そのものが、イャザッタへの信仰を拒んでいるかのようだった。そういった雰囲気が流れていた。

 ギィ……

 教会の扉を開けると礼拝所が広がる。その奥、祭壇の後ろでイャザッタの巨像へ祈りを捧げる彼――アレックスはいた。

「おや、珍しいですね。こんな天気の時に礼拝者の方が見られるのは……。雨で濡れたでしょう、こちらをどうぞ」

 病院で見たオドオドとした雰囲気とは違い落ち着いて構えている若い神父の姿がそこにはあった。

「ええ、路銀稼ぎのためにちょっと勤めるはずだった病院が思いの外忙しくて、最近お祈り出来なかったから、雨で患者が少ない時にせっかくだから来たの」

 アレックスは微笑みながらタオルを持って話しかけてくる。

「あ、わざわざありがとうございます」

 それにマユとして応じ、礼をする。

「ああ、最近リンベへ来られたマユさんでしたか。驚いたでしょう、この街じゃ教会に来る人なんていないんですよ」

「確かに……、寂れた村でもここまで教会に人がいないのは珍しいですね。雨でも信心深い人は数人はいるモノでしたから……」

「ははは、そうですね。この街じゃ魔女信仰が強いですし、何より最近は偽聖女騒ぎでしょう。ますます、寄付が少なくなりますよ……」

「それは、大変ですね。私事ですけど、路銀の無い旅は過酷でしたから、この街の教会ですとさぞお辛いでしょう。でも……」

 アレックスは平然と話しているが、笑っているはずなのに、その表情は一切動いていない。

「連続強盗犯を教会が捕まえれば、少しは信仰が戻ります……かね?」

「そうですね。偽聖女と同じく、僕の方でも探しているのですが、中々……」

「その割には、偽聖女に関してもあなた以外に教会の人を見かけないですけど、何か重大な策でもあるんですか?」

 ピクッ

 アレックスの表情がわずかに動く。

「はは、なんて言いましょう。教会は秘密主義なところもありますから、ご想像におまかせしますとしか言えません」

 目の前の神父の表情が引きつっていく。

(もう一押しだな)

「あたしが偽聖女って言ったらどうします?」

「まさか……御冗談を」

 先程まで客人相手様であったアレックスの表情が訝しむ様に変わる。

「先ほど、病院の方へ1人の青年の遺体が運び込まれて来ました。彼はスラムに住んでいましたが、立派なイャザッタ様の信徒でした」

「……それはなんとも……。ただ、スラムの方にイャザッタ様の信徒があるとは初めて聞きましたね」

 アレックスはマユの方を見下し気味に視線を落とす。

「熱心な人でした。だからこそ、信仰と現実の矛盾に悩み苦しんでいました。実情を知れば、皆がこの教会の様に同情をしたでしょう」

「……なんの話をしているのですか?」

 ガキッ

「な!?」

 マユが語ると同時に、静かに背に回りアレックスはナイフを突き立てるが、虚しくもナイフは弾かれる。

「《意思の鎧》、事前に分かっていれば対策をするのは当たり前。そうだろ、連続強盗殺人犯さんよ」

「ふっ、ハハハハハハハ、いや、何が悪かったんだろう。まさか旅の偽聖女に見破られるとはね」

(アレックスさん……。本当に)

(……)

 アレックスが狂った様に笑い出す。だが、目はまだ死んでいない。

「全体的に雑なんだよ。街の人は慣れてるから分からなくても、旅の身からすりゃ不自然にも程がある。偽聖女がいるかも知れないんだ。魔女信仰が強かろうが、大義名分があれば教会は動くはずだ。それに……」

「それに……?」

「偽聖女の手配書より前から連続強盗犯がいるのに、大々的に教会が介入しないのが可笑しい。だとしたら犯人は教会側の人間だと考えるのが自然だ」

「なるほど……」

(やけに認めるのが早いな)

(観念したんでしょうか……)

 いや違う。むしろここからでも逆転出来る公算があるのだ。じゃないとこの反応は可笑しい。

(それに、ヴィルヘルムを殺った魔法をまだ使ってない……!)

「でも、その推察は間違っているところがありますよ……」

 アレックスがニヤリと笑う。

「この強盗殺人は教会の公認だ!偽聖女めひれ伏せ!」

「なにっ……ウッ!お゛がッあ゛!」

 胸の内側から、見えない手に心臓を握り潰されるような激痛が走る。骨が軋み、内側から押し広げられる。

「がッあ゛あ゛ッ」

 胸が砕け、心臓が当に飛び出さんとする。

「おッ゛グッ……はぁはぁ……」

 ボタッ……ボタッ……

「へぇ、聖女を騙るだけあって、魔力が高いのですね。イャザッタ様に選ばれた私の《不浄のしめつけ》が不完全で終わるとは……。でも、その出血じゃ反撃は出来ませんね。《意思の鎧》、教科書通りの簡単だけど強力な防御魔法だけど、一度消費した魔力以上の攻撃を受ければ壊れる上に魔法は防げない。すぐには無理でも苦しませて殺してあげますよ」

 アレックスは勝ちを宣言すると背中からメイスを取り出し、麻友の後頭部目掛け振り下ろす。

 ビキッ

 予め準備していた《意思の鎧》にヒビが入り、メイスが貫通する。

 その刹那――

「はぁぁぁぁあ!」

「ゴフッ」

 アッパー気味に振り抜かれた拳が、アレックスの顎を砕き上げた。

(アフラ、後は任せたぞ……)

 麻友と肉体を入れ替えたアフラがそこには立っていた。

ここまで読んでいただきありがとうございます☆彡




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