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転生して聖女になったら私を殺した犯人と二重人格になっていた!?  作者: 見夢 梦
第3章

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第35話 ピエロは語る③

「おじさん、お邪魔します」

「おお、マユちゃんや。よく来てくれた」

 昼に急患(したい)が運び込まれたものの特に作業が増えるわけでもなく、手伝いの時間が終わると魔女について詳しいとされる老人の家へ向かった。

「いや、この歳になると家族はみな遠くに行ってしまってね。マユちゃんみたいな娘が話をしてくれるだけで、幸せじゃよ」

 アハハと愛想笑いを返す。老人の名前はフリードリッヒ・シュトラウト、魔女が聖女としてこの地に信仰を残した際に建てられた教会の跡地に住んでいる老人だ。

 なんでも、教会を移転する際に回収した資料を家に保管しているだとかでかなり詳しいのだとか。

(まあ、でも確証は無いがおそらくは……)

「フリードリッヒさん、いつも貴重なお話、ありがとうございます。実は本日は…… 他にも魔女がいたことについて聞きたくて……」

「ほほう!あの魔女でなく、複数人説でいたとされる魔女の方とな!」



 最初に気がついたのはアフラである。

(麻友さん……。気の所為なら失礼ですが……。)

(あぁん、なんだ?)

 街に出て魔女について詳しく知れる場所がないか調べてた所、このフリードリッヒと言う老人は突然現れた。

 一応、周りの人にもこの老人について聞き込みをしたが、確かに旧教会の跡地に住んでいる魔女に詳しい老人との情報はあった。しかし――。

「資料によると、魔女はこの地の反乱を指揮して……。一説では他の反乱分子がいる地域から軍隊を持ってきたとか……。」

(可笑しいんですよ。確かにこの地で魔女が暴れたのは事実でしょう。でも、聖典にはイャザッタ様と魔女は殴り合ったとあります。そうなると……)

(あー、待て。確かここより西の方だと魔女の話は無いんだったな。少なくとも学園で触れた内容じゃ)

(ええ、もとより魔女については触れたくないので、過去の聖女の1人として軽く触れた程度ですけど、そもそも東夷に行くことが目的なので西は行くことはないんです)

(ん? そうなると、リンベから南下して教皇区で殴り合った……。テンシュタンの所は山脈だよな。軍を指揮しながら山脈を突破した?)

 伝承に矛盾が生じる。

 正直、1500年も前のことだ、伝承の矛盾が無い方が珍しいが、少なくとも整合性の片鱗はあるはずだ。例えばテンシュタンに行軍してきたとか。

 しかし、魔橋を作ったことを除きその様な話は聞いていない。

(て、なると今まで聞いた魔女について知ってる当事者の情報を統合すると単騎で突っ込んだってとこか?)

(それはそれで、乱暴ですが、そうなりますね)

(……少し、突っ込んでみるか)

「あの……すみません」

「この時の作戦は……なんじゃ?」

 老人は熱が入っていたのか突然の静止にキョトンとした。

「魔女さんについてですが、聖典じゃイャザッタさんと格闘したとなってますけど、この地で指揮を取ったんですか」

「……えーと、それはじゃな」

 明らかに老人はつっかえる。

「おほんっ……。実は魔女は2人いたという説があってじゃな」

(ここでも2人説か……)

(でも、テンシュタンでペトロニラさんから聞くまでそんな話、聞いたこと無かったんですよね)

 その後、時間が来て後日また話を伺うということで診療所へ戻ったが、予感はあった。



「はい、他の魔女さんについてもありますが……。ペトロニラ、てめぇの口から種々聞きたくてよ」

「ゥッ……。はて誰じゃの? 気の所為では……」

 明らかに動揺している上に、本当に知らない人であるならば気の所為など言わないはずだ。

「……」

「……。いつからですか……」

「複数人説を出した辺りだな。話がワンパターン過ぎる」

 はぁと老人はため息をつくと、姿をいつぞやのメイドへと変えた。

「お館様のところへ来てくださる決心が付きましたか?」

「なんでそうなんだよ。それに喧嘩売って負けて、良くも同じ態度取れるな」

「あなたには負けていませんよ」

「けっ、よく言う、あたしの用意したナイフに貫かれた癖に」

 ペトロニラがムッとする。

「で、正直な所、なんであたし等のとこにまた出たんだ」

「……。お嬢様から監視を言い渡されてますので」

 彼女は不服そうに目をそらす。

「お嬢様、その魔女についててめぇはどれくらい知ってんだ?」

 答えてくれるかはわからない。しかし、今の表情から彼女はあくまでお館様と呼ばれる魔女の使者であり、あたし達が知りたい魔女には渋々従っている様子が見て取れる。

「言い使わっているのは、監視だけですからね……。いいでしょう。教えて上げます」

 とんだ僥倖だ。ここで魔女について知っておけば、イャザッタと敵対する上でなにか役に立つかもしれない。

「と言っても、あの人……? に関しては余り知りませんが」

 ペトロニラはそう前置きをする。知らないと言われてもあたし達からしたらその情報は値千金だ。

「あれは確か1919年の夏、一次大戦の敗北で……」

「――は? ちょ、ちょっと待て!」

(えっ!?)

「? なんでしょうか?」

「なんでじゃねぇよ! 1919年って、一次大戦それって……」

「貴方がたの出身ではグレゴリオ暦と聞いていますが、もしかして年号の方が……」

「そう言うことじゃねぇよ!」

 ペトロニラは何のことだという顔をしているが、冒頭の語り口が示すことは――

(麻友さん、つまり……!)

 魔女はあたしたちの元の世界の存在であるということを示す情報であった。


ここまで読んでいただきありがとうございます☆彡




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