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転生して聖女になったら私を殺した犯人と二重人格になっていた!?  作者: 見夢 梦
第3章

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第34話 ピエロは語る②

「マユちゃーん、こっちお願いします」

「はい!今行きます!」

「すまんが、会計はまだかのぉ」

「すぐに伺いますので、お待ち下さい!」

 ビフロンの勤めるスメリ診療所に来て半月が経った。あたしはマリンサにいた頃と同じ様にすっかりマユちゃんでいることが板についてきた。

(ったく、これだけ街の規模が大きいと、需要が少ないつったって、忙しいもんだな……)

 昼は診療所の手伝い、夕方からは魔女に関する資料集め、寝る時は診療所地下の物置を整理した場所と正直休まる暇が無い。

(まあ、巨人の死体を鍋で煮込むよりは遥かにマシだがな)

 以前の麻友ならば毎日クタクタで調査どころではなかっただろうが、旅を続けて体力がついたのか、毎日遅くまで働いても7時間も寝ればスッキリ起きられる程度にはなっていた。

「す、すみません……」

「はーい!」

 愛想よく振り向くとそこには教会の信徒がいた。

「ッ!?」

「え、あ……どうかしましたか?」

「い、いえ、何か御用でしょうか?」

(気がついてねぇのか? いや、単にあたしの事は知らないだけか)

 今まで出会ったイャザッタの信徒は皆が皆、どこか自信ありげであったが、今目の前にいる信徒はオドオドしている。

「こ、こちらの掲示物を貼ってもよいでしょうか……?」

 信徒はそう言うと1枚のビラを見せた。

「なッ! ……ど、どうぞ、こちらへ」

 ビラは『偽聖女 アフラ・フォーグマ』と書かれた手配書であった。

(……私じゃ動けないですね……。これでは)

(だな……)

 信徒は掲示板に手配書を張ると、ペコペコとお辞儀をしながら診療所を後にしていった。

「やけに信徒の癖に物腰が低いな……」

「あれは外れの教会のアレックスだな」

「おわっ!」

 後ろから急にビフロンが話しかけて来て、思わず声が出た。

「驚くこったねぇだろ」

「けっ、誰だて後ろから急に話しかけられたらビビるだろ。で、その、アレックスってのはなんであんなにビクビクしてんだ?」

「まあ、ここいらは魔女に対する信仰が残ってるからな。それだけ教会に対する信仰は薄いんだよ。だから、他の地域なら寄付金やそれを元に種々なことをやったりできるが、あそこの教会は家族で生きていくだけで必死なんだよ。それに……」

 ビフロンが急に言葉に詰まる。

「それに、何だよ」

「仮にも医者としてこういう事は言いたくないが、捨て子を拾ったんだよ」

「捨て子?それがどうした。あたしだって元は捨て子だぞ」

「普通の教会ならな。だが、さっきも言った通り、寄付金が少なくやっとの教会なんだ。それに信仰も薄い、いや嫌われてると言っても良い……。となると、寄付したなけなしの金で捨て子を養う余裕があるんだなっと嫌味を言われるわけだ」

「ふーん、そんなもんか?でも、捨て子の1人くらい良いだろ。いくら魔女を進行してるっつたて心が狭すぎやしねぇか」

 どの口が言うんですかとアフラが突っ込んでくるが、無視をする。少なくともペトロニラから聞いた話だと魔女は公共事業を重視していた。そうなると、捨て子を拾うなんてのは福祉として受け入れられるはずだ。

「まあ、魔女にしろ、教会にしろ、もう教え自体は1000年、2000年も前のもんだ。下々には理解できないだけなのかもな……。それに、後から本当の子供を拵えたって話もあるから、余計に余裕があるじゃねぇかって話かもな」

「なるほどな……」

(なんか、ビフロンさんの話もどこか他人事じゃないですか?)

 アフラが疑問に思う。確かにどこか一歩引いてアレックスについて語ってるような気もする。

「街の嫌われ者なんだな。にしてはやけに何も思ってない感じだな」

「ま、私も嫌われ者だからね。知ってるだろ。食事に行っても私がいると街のもんは誰も入ってこない」

(兄弟揃って嫌われ者かよ……)

 麻友は露骨に愛想笑いしていることを顔に出す。

「……。お前、兄弟揃ってて思ってるだろ」

「さあな」

「言っておくが、私は弟とは違って、死体を集める趣味はないからな。単に死体の解剖やエンバーミングが担当だから嫌われてんだよ」

「どうだか……」

(ただこれで、アフラはもう街は歩けねぇな)

 魔女について調べるのにわざわざアフラに入れ替わる必要はないが、体力はやはりアフラの方があるし、聖女ということは何かと対応が容易だ。

 話も終わり、仕事に戻ろうとした時――

「大変だ!また出たぞ!」

「!?」

 突然、急患が運ばれてきた。いや、()()は既に患者ではなかった。

「またか……」

 運ばれてきた死体は頭をかち割られ、誰が見ても死んでいるのは明らかだった。

「ビフロン先生……どうかお願いします……」

「お任せください」

 嫌われ者と言われながらも、その目は己の使命を成す人の目をしていた。

「マユ、しばらく私は()()()()()に入る。それまで事務の方を頼む」

「あ、あぁ」

 先ほど、手配書が貼られた掲示板を見る。手配書の隣にはとある注意喚起の記事が貼り出されていた。

『無差別連続殺人及び強盗犯いまだ捕まらず』

ここまで読んでいただきありがとうございます☆彡




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