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転生して聖女になったら私を殺した犯人と二重人格になっていた!?  作者: 見夢 梦
第2章

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第31話 魔橋の山⑭

(ん……ここは……)

 目覚めた場所には見覚えがある。町の診療所の中である。

「とりあえず、怪我人は全員この中へ運んでください!」

 辺りを見渡すとアフラが町民を指揮しているのが見える。

「聖女様!怪我人はこれで全部です!後は町の者でも出来ますから休んでください」

「ありがとうございます。ですが、大丈夫です。身体だけは丈夫なので……」

 アフラが町民たちを導く姿を見て、全てを悟った。

(私は……負けたのですね……)

 今ならアフラはプロリンが目覚めたことに気がついておらず、衰弱している。不意を突き、魔術によりその生命を奪うことは容易いだろう。

 それに、信徒のほとんどを殺されたのだ。――それくらいは、許されてもいいはずだ。

 だが、どういう訳かプロリンにはその気は湧かなかった。

(むっ……!)

 町民の1人と目が合う。

「せ、聖女様!プロリンさんが……目を!」

 町民の声にアフラがハッと振り向き、駆け寄ってくる。

「大丈夫ですか!」

「……あぁ」

 理由がわからなかった。自分のことを殺そうとした者を目の前の少女はわざわざ生かし、目覚めたと知ったときの開口一番が心配の言葉だったのだ。

「良かったです……。プロリン様、目覚めて早々こんな話で申し訳ありませんが、私は今回のことについて罰はいくらでも受けるつもりです。ただ、どうしても真実だけは知りたいのです」

 アフラはプロリンの目の前に来ると床に正座し、頭を下げた。

「頭を上げなさい……。何故、私を生かしたのですか?」

「えっ?」

 アフラの顔は驚いたようであった。

「私はあなた達を殺そうとした。それにあなた達は抵抗した。だとしたら気絶した私にトドメを刺す。当然だと思いますが」

「それは……」

 少し、アフラは口ごもると続けた。

「多分、私の中のもう1人はそうしたと思いますし、今もそう叫んでいます。でも、プロリン師も信徒さんたちもイャザッタ様の教えに従っただけで、行いは正しいものでしたから……」

「……」

「信徒さん達を殺しておいて、どの口が――と思われるかもしれません。それでも、聖女として“正しい人の味方でありたい”と思ってしまったんです。ですから、私は自らの行いを正当化するつもりはありませんし、先程も申したようにどんな罰も甘んじて受け入れるつもりです」

 アフラの目はどこまでも真っすぐで強いものであった。

「そうですね。このことは教皇様に報告して、検討しなければなりません……。しかし、遺体を引き渡すつもりで連絡をいれた教皇軍もついには来ませんでした。今の私には大それた罰を与える権限はありません。それに――」

 プロリン師はベッドから上半身を起こし、アフラの頭に手を乗せ言った。

「今のあなたは内なる悪魔を抑えられている様に感じます。私はあなたの中の悪魔は許せませんし、魔女の存在も認めません。しかし、あなたの行いは更生の余地があるでしょう」

「プロリンさん……」

 プロリンの目からは先程までの炯々とした光は失われ、穏やかなモノになっていた。

「これからの旅路で、己の悪魔と戦う日が来るでしょう……。燃え残っていればの話ですが、私の部屋の本棚、その上の棚の本の裏に隠し金庫があります。その中に入っている書物を読みなさい。イャザッタ様から役に立つと仰せつかさった禁術がまとまっています」

「!?」

「行きなさい。私がまだ、あなたを赦す気でいるうちに」

「あ、ありがとうございます!」

 アフラは立ち上がり、プロリンにお辞儀をすると足早に教会へと向かっていった。

 

ここまで読んでいただきありがとうございます☆彡




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