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蒼の瞳の騎士 紅の瞳の姫君  作者: 黒猫キッド
第3章・エグ・マリン王国での生活
95/133

94・大きな橋の上で戦う時の音楽は神曲

 遅れてしまいましたが、PV20000突破や!

 今回は少し長いで! いっぱい書きたい事があったんやから♪

 市沢 八重、梶本 菜々美、椎名 真子、鈴木 奈々子の女子四人組は、街中の運河沿いを歩いていた。どうやら女子四人組で買い物の最中らしく、その腕には紙袋があった。すると前の建物との間の路地から、零華が飛び出してきた。

「あっ、零華どしたの?」

 菜々美が話しかけた。菜々美から見て零華が焦っている様に見えたからだ。四人の存在に気付いた零華は、肩から掛けていた通学カバンを外した。

「ごめん菜々美! これ理奈か修兵に渡して!」

 そう言いながら零華は、菜々美にカバンを押し付ける。

「いやちょっと零華! 何なの急に!?」

 突然の行動に、真子が怒った様な口調で尋ねる。

「詳しい訳はあとで話すから! お願いね!」

 そう言うと零華は、四人の脇を抜けて走っていってしまった。

「…何なんでしょう、あれ…」

 大人しめの口調で、八重が疑問を口にする。

「知らないよ。零華一体どうし…んっ?」

 ふと菜々美が前を見ると、零華が出て来た路地から、剣を持った赤毛の男性が出て来た。アストルである。

 アストルは辺りを見回して、菜々美達の存在に気付いた。

「おいそこの小娘達! この辺で右目に布を巻いた、お前らの仲間を見なかったか?」

 アストルが菜々美達に近づいて尋ねた。菜々美達が零華の仲間だと気付いたのは、同じ様な服装(桜花学園の制服)を着ていたからである。

「あっ…えっと…向こうに走って行きましたよ…」

 奈々子が示したのは、零華が逃げた方向とは逆方向であった。

「そうか。じゃあ…んっ?」

 その時アストルは、菜々美の手に零華のカバンが持たれている事に気付いた。

「……嘘かよ!」

 そう吐き捨てる様にアストルは言うと、菜々美達の脇を抜けて、零華が逃げた方向へと走っていった。

「何であの人、嘘だって見抜いたの!?」

 奈々子が叫ぶ様に言った。

「仲間の上にカバン持っていたから、反対方向を教えたんだと勘付いたでしょ! それより理奈や修兵達に知らせないと!」

 真子の言葉に、女子四人組は零華を助ける為に、理奈か修兵を探す事にした。


※        ※


「はぁ!? 零華が赤毛の剣士野郎にナンパされて、追われていた!?」

 菜々美から聞いた修兵が、そう解釈しながら叫んだ。あの後街中を走っていた所、誰かを探している修兵、孝明、一、太一を発見した。

 修兵によると、零華と待ち合わせをしていたが、約束の場所に居なかった為、辺りを探している最中であった。

 菜々美達は修平達に事情を話し、今に至る訳であった。

「にしても零華…何処でも強引なナンパされるんだな…去年も入学した当初、当時の二年生数人に無理矢理ナンパされた時もあったな。あん時は零華、ソイツ等ボコボコにして倒したけど…」

 去年の事を思い出して、修兵が呟いた。

 絶世の美少女とも言える零華は、去年二年生の不良数人に絡まれ、危うく大変な目に遭いそうになったが、当初から戦闘力が強かった零華は返り討ちにした。尚学校側からは、正当防衛と判断され、お咎めなしであった。

「でも今回は一人だけど、武器持っているんだろ? 零華、今は丸腰だから流石に勝てないぞ?」

 孝明が真面目な口調で言う。

「じゃあ誰か街を巡回している兵士の人に頼もうよ!」

 太一が叫んだ。すると道の先からエグ・マリン王国の兵士が二人歩いてきた。

「あっちょっと!」

 一が兵士達を呼び止めた。

「んっ? 異世界の子供達か…何か用か?」

 兵士の一人が尋ねた。

「俺らの友達の零華…右目に布を巻いた美少女みたいな男の子が、剣を持った剣士にナンパされて追われてるんだ! 助けてくれ!」

と、修兵が必死に説明をして助けを求める。

「何だって! 分かった! その剣士の特徴は分かるか?」

 兵士は助けようとしてくれるらしく、零華を追っている剣士の特徴を尋ねた。

「赤毛の若い男性の剣士です!」

「!?」

 菜々美が説明すると、兵士は何故か戸惑った様子を見せる。

「それってまさか…アストル隊長か…?」

 兵士が茫然とした口調で尋ねた。

「誰だよそれ? ユリアンさんと同じ、エグ・マリン王国騎士団の隊長か?」

 修兵が尋ねる。

「あぁ…六番隊の隊長で、とても好戦的な人なんだ…何時も戦いに飢えている様な…」

「はぁ!? そんなアブねぇ奴が隊長なのか!? ってかその話では、そのアストルって隊長は、零華をナンパするんじゃなくて、只戦いたいだけじゃないのか!?」

 今までの経験から、赤毛の剣士‐アストル‐は、零華を美貌に見惚れてナンパしたと考えていたが、どうやらただ単純に、零華を対戦相手として見ていると修兵は判断した。

「だったらアンタ達止めてよ! 同じ王国騎士団なんでしょ!?」

 真子が強めの口調で言うが、兵士達は目をお互い合わせ、気まずい表情を浮かべた。

「いやその…アストル隊長は好戦的な猛将なので、隊長クラスでないと勝てないと思うので…とりあえずユリアン隊長に報告を…」

「があああ!!! そんな悠長な事してたら、零華が殺されちまうかも知れないだろ、大馬鹿兵士!!! ちょっとそれ貸せぇ!!!」

 そう怒鳴りつけた修兵は、兵士の腰に下げていた剣を抜いた。

「あっ!?」

 兵士は突然の修兵の行動に動揺するが、修兵はお構いなしに自身のスマホを操作した。

「直樹のアプリなら、零華の位置が分かるはずだ…」

 以前直樹が開発して、零華達のスマホにインストールされたアプリは、アプリを入れたスマホの位置が分かる探知機の様な機能があった。修兵はそれで零華の現在位置を確認した。

「此処か…孝明や菜々美はユリアンさんか総隊長さんに連絡しろ! 俺は零華の所に行くから!」

 そう言うと修兵は、孝明達の返事も聞かずに、剣とスマホを持って走り出した。


※         ※


「はぁ…はぁ…」

 一方零華は、運河に掛かる大きな橋の上で息を切らしていた。周りには通行人も歩いており、見た目が美少女であり、見慣れない服装の上に右目に布を巻いた零華に、何人かは視線を送っていた。

「お疲れか?」

「!?」

 息を整えて移動をしようとした時、自分に話しかける声がした。振り向くと橋の袂の所に、剣を肩に担いだアストルが立っていた。

 周りの通行人は、アストルがエグ・マリン王国騎士団の隊長の一人と知っている様で、その様子から零華を追っていると判断し、巻き込まれるのを恐れて逃げ去っていった。

「…貴方もしつこいですね。僕と戦いたいなら別の日でも良いでしょう?」

 相手を油断させる為に、零華は微笑とも言える笑みを浮かべて尋ねた。

『これならナンパの方が楽だね…』

 それと同時にそう思う零華。今までの人生でしつこかった男性は、自分の女の子と間違えてナンパをしてくる男性ばかりであり、それらの人に対して零華は何時も、『僕は男の子』と返していた。

 何人かはそれで愕然として諦めるが、中には捨て台詞で『何だよ、カマ野郎かよ』と吐き捨てる人もいた。

 そんな事を考えていると、アストルが剣を向けて言った。

「俺は戦いたいと思った時にやりてぇんだよ! そういう事で今からやるぞ!」

「……」

 アストルの言い分に、零華は『こりゃ駄目だな』と思いつつ、この状況を打破しようと考え始める。その時…

「零華ぁ!!!」

「!」

 零華の背後から声が聞こえ振り返ると、其処には剣を掲げた修兵が立っていた。

「修兵!?」

「此れを使えぇ!!!」

 そう言って修兵は、零華に剣を投げてきた。零華はそれを左手で受け取った。そして零華はアストルに振り向いた。

「お前のダチか? 良い奴じゃねぇか。わざわざ剣を持ってきてくれて。これで対等な条件だな?」

 好戦的な笑みを浮かべて、アストルは零華に言った。確かに装備は互角になったが、経験値の差があった。しかし…零華は落ち着いていた。

「そうですね…これで僕も戦えます…お相手させてもらいますね。アストル隊長」

 そう穏やかな口調でアストルに言うと、零華は左手で剣を持って構えた。

 零華、三回目の隊長との戦闘。

 因みに菜々美、真子、奈々子、八重は、今まで出ていなかった女子です。今回を機に登場させたんですわぁ。

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