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蒼の瞳の騎士 紅の瞳の姫君  作者: 黒猫キッド
第3章・エグ・マリン王国での生活
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83・水(ラチッタ)の都(デラアックァ)のやすらぎ(パーチェ)での仕事

 以前零華が訪れたお店の話や♪ 店の名前にルビを入れました。

 『水(ラチッタ)の都(デラアックァ)のやすらぎ(パーチェ)』

 イタリア語で『ラチッタデラアックァ』が『水の都』、『パーチェ』が『やすらぎ』ですわぁ。

 翌日、訓練が休みだった為、零華は夕方までの外出許可を貰い、前日のカフェに向かっていた。迷路の様な複雑な街であったが、零華は迷うことなく進んでいく事が出来た。

『自分で言うのも何だけど、結構記憶力が良いな…』

 観光客なら迷いやすいベネチアそっくりの街並みを、迷うことなく目的地まで行ける自分の記憶力に称賛する零華。やがて先日訪れたあのカフェへと辿り着いた。


※        ※


「そっか。許可は貰えたんだ!」

 店主であるレストは、零華から騎士団から許可を貰えた事を嬉しそうに確認した。

「はい。訓練が無い日だけですけど…」

「それでも十分だよ! ルクレツィア君みたいな綺麗で可愛い子が働いてくれるだけで、ウチのお店は人気が出るもの!」

「…僕は男です。『綺麗』とか『可愛い』とか言われても、嬉しくないですよ」

と、レストの誉め言葉に零華は、不満そうに返した。

「ごめんごめん! じゃあ今日から大丈夫かな? もうすぐ開店時間なんだけど?」

「はい。仕事の内容は、この前と同じですか?」

「そうだよ。ルクレツィアはウェイトレス…じゃなくてウェイターをお願いするね」

 レストは一瞬言い間違えたが、零華はいちいち突っ込んでいたらキリが無いと考え、あえてスルーする事にした。

「あっ、あと一つ良いですか?」

「んっ? 何かな?」

「…この右目の布は取れないですけど、問題ないですか?」

 零華は自分の右目を隠している布を示した。この布は理奈と理奈の家族以外には見せる事に抵抗意識がある為、もし取らなくてはいけない場合は、働く事を断る事を考えていた。

「う~ん…少し気になるけど、何か理由があるんでしょ? なら仕方ないから許すよ」

「ありがとうございます」

 レストは零華の右目が気になる様だが、何かを察して聞かずに認める事にし、零華はそれに安堵して礼を述べた。

「じゃあルクレツィア君! 此れはこのお店のエプロンだから、此れを身に着けて頑張ってね!」

 そう言って差し出したエプロンには、この店の名前『水(ラチッタ)の都(デラアックァ)のやすらぎ(パーチェ)』のロゴが記載されていた。尚、文字は当然ながらこの世界の文字であったが、前日に独自でこの世界の文字を調べていた為、零華には解読する事が出来た。


※       ※


 開店して暫くすると、入店する客が現れた。

「いらっしゃいませ♪」

 細々とした店内の確認をしていたエプロンを着けた零華が、笑顔で応対した。客は二人組の女性であり、零華の姿を見て驚いていた。

「お席はカウンターですか? それともテーブル席ですか?」

 そんな女性の反応に気付きつつも、零華は何事も無いように接客し、籍の確認を求めた。

「あ、えっと…カウンターで…」

 女性の一人が戸惑いながらカウンター席を求めた。

「どうぞ此方へ」

 慣れた動作でカウンター席に案内する零華。女性客二人は零華の容姿に見惚れながらも、カウンター席へと座る。

「どうぞごゆっくり♪」

 極上の微笑とも言える笑顔で告げる零華に、女性客達は更に見惚れてしまう。

「ルクレツィア君。奥から予備のカップを探してきてくれない?」

「はぁい♪」

 レストに指示された零華は、店の奥へと入って行った。

「ちょっとレスト! どうしたのあの子!?」

 女性客の一人が、店主(マスター)であるレストに尋ねた。どうやらレストとは知り合いらしい。

「今日から働く事になったルクレツィア君。尤も別の所に所属しているから、偶にしか来れないけどね」

「あの子物凄い綺麗な子だよ!? あんな女の子雇うなんてやるじゃない! 同じ性別である私でさえ見惚れたもの!」

 もう一人の女性客が、興奮気味に言った。

「故郷でも同じ仕事をしていたみたいだから、即戦力になると思うよ…それと…ルクレツィア君は男の子だよ?」

「ええっ!? 噓でしょ!? どう見ても女の子にしか見えないよ!」

「私も最初は思ったよ…でもあの子、自分は男だって言い張るから、多分本当なんだろね…」

「あんな美少女…この街に住んでいたんだ…」

 零華に対して高評価を述べる女性客達。やがてそれを知らない零華が、箱に入ったカップを持って戻ってきた。

「レストさん。おまたせしました」

「ありがとう、ルクレツィア君」

 零華に礼を述べて、木箱を受け取るレスト。

「ねえねえ、ルクレツィア君…だっけ?」

「はい」

 女性客からの言葉に、零華は穏やかに答える。

「貴方本当に…男の子? 女の子じゃないの?」

「僕は正真正銘の男の子ですよ」

 普段とは違い穏やかな口調でそう答えた零華。此れは日本の喫茶店でバイトしていた時と同じである。

「ありえない…この世の者とは思えない程綺麗…」

 女性客が頬を赤らめて呟いた。

『…まあ本当に僕は、この世の者じゃないけど…』

 内心苦笑しながら呟く零華。零華はこの世界の人から見たら異世界人なので、確かに『この世の者』ではなかった。

 その後も様々な客が来店したが、男女関係なく皆揃って零華の容姿に見惚れてしまった。やがて口コミが広まったのか、大勢客が訪れた。レスト曰く『普段より来店者が多かった』との事だった。

 やがて夕方になり、レストからお礼を言われた零華は、また空いている日に来る事を告げて、四番隊の宿舎へと帰っていった。


 人気で過ぎて、皆にバレるかも…? 因みに零華はまだ本名は教えてない為、偽名である『ルクレツィア』で働いているんや! だから誤字ではないで。

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