6・中里家
今回は短いですわ。
「ただいま~」
「こんばんわ、お邪魔します…」
理奈の家に入った理奈と零華が、それぞれ言葉を掛ける。
「お帰りなさい」
奥から出迎えたのは、三十代くらいの女性で、理奈の母親だった。
「お母さん、零華も連れてきたよ」
「はいはい。もう出来ているから、二人共手を洗ってきなさい。お父さんはもう少ししたら着くって連絡があって、先に食べてて良いって」
「分かった。ほら零華、おいで」
「子供扱いしないでよ! 自分の方が身長が高いからって」
理奈に文句を言いながら、零華は玄関の三和土から上がる。
手を洗ってリビングに入ると、ダイニングテーブルに鍋が置かれていた。
「今日はすき焼き? 良かったじゃん零華、すき焼き好きでしょ?」
鍋から漂ってくる匂いで、理奈はすき焼きだと判断した。
「僕も好きだけどさ…理奈の方が好きじゃない?」
幼馴染である為に、零華は理奈の好物を把握していた。
「そんなの言わなくて良いじゃない! 女の子が鍋物好物なんて…零華は男の子だから違和感ないじゃん!」
と、反論してきた。
「こんな時ばっかり、人を男の子扱いしないでよ」
「ホラホラ、喧嘩しないで食べなさい!」
理奈の母親が、白米の盛られた茶碗を持って、キッチンからやって来た。
理奈と零華は椅子に座り、続いて理奈の母親も座る。
「それじゃ、いただきます」
「「いただきます」」
三人は夕食を堪能した。暫くすると、玄関が開いた音がした。やがて玄関から顔を出したのは、眼鏡を掛けてスーツを着た、知的そうな男性であった。
「あなた、おかえりなさい」
「お父さん、おかえり」
理奈親子がその人物を見て挨拶をした。
「ああただいま…零華君も来てたんだね」
「こんばんは、政光おじさん」
零華もその人物に挨拶をした。中里 政光、理奈の父親であり、嘗て零華を助けてくれた弁護士であり…零華の父親の親友である。
「すいません、先にいただいて…」
「いや良いんだ…私が先にやっていて構わないって言ったんだ」
穏やかな口調で零華に言う政光。
「あなたどうする? 先にお風呂にする? それともご飯にする?」
「そうだね…じゃあご飯にしようか…今着替えてくるよ」
そう言って政光は、リビングから出て行った。
「ほらほら、早く食べちゃいなさい。お父さんはあまり食べないんだから」
理奈の母親に言われ、理奈と零華は食事を再開する。
理奈の父親(政光)には名前が付けられましたが、母親は現在未定です…。
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