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蒼の瞳の騎士 紅の瞳の姫君  作者: 黒猫キッド
第2章・異世界召喚編
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62・零華の信頼と誓い

 零華と理奈がやって来たのは、宿舎の外のベンチであった。此処に来るまで何人かは零華と理奈の姿に気付いているが、ほぼ全員が女の子同士の会話だと思って、何も言わなかった。

 夜の為かベンチの周りには零華と理奈以外、誰も居なかった。

「それで理奈。話って何?」

 隣に座った理奈に尋ねる零華。

「うん…」

 理奈は何故か言いづらそうな表情を浮かべていた。

「理奈?」

「零華…昼間に軍団長さんと戦った時なんだけど…」

「うん。それがどうかしたの?」

「零華その時…笑みを浮かべてたよ? しかも冷たい笑み?」

「えっ…? 僕、そんな事してたの?」

「? 覚えてないの?」

「いや全然…戦いに集中していて、気付いてなかった…」

 理奈に指摘されるが、零華は全く意識をしていなかった様だ。

「…どうして僕がそんな反応したのか分からないけど、僕は決して楽しんでいたんじゃないよ。皆の身の安全の保障を得る為に、必死で戦っていたんだから。信じて!」

 理奈に信じて貰える様に、零華は真剣な表情で告げる。

「…信じるよ。零華は昔より強くなったけど、戦いを愉しむ様な性格になった訳じゃないって事は、私が一番知っているよ」

「理奈…ありがとう」

 すぐに信頼してくれた幼馴染に、零華は深く感謝した。

「……」

 すると零華は、突然右目の布を外し始めた。

「零華!?」

 突然の零華の行動に理奈は驚くが、零華は構わず布を外した。そして右目を開いた状態で見せた。もう何も映さない右目を…。

「理奈には…安心して見せれるんだ…」

「零華…」

 それは自分に対して、強い信頼を抱いているという、零華のメッセージであった。

「理奈は絶対に、僕の右目に嫌悪感を抱かないでしょ?」

「私だけじゃないよ…麻美も修兵も…クラスの皆、零華の右目を悪く言わないよ!」

「うん…分かってるよ…でも怖いんだ…」

「……」

 零華が嘗て両親が亡くなった際に受けた罵倒が原因で、右目を見せる事に極度の恐怖心を抱いている事を、理奈は良く理解している為、何も言えなかった。

「いつか…いつかその内に、皆の前でこんな事が出来ると良いな…」

 そう言うと零華は、再び右目に布を巻いて見えない様にした。

「ねえ理奈…」

「うん?」

「…約束するよ…僕は必ず皆を元の世界に帰すよ…」

 それはクラス委員としての意思なのか、零華個人の意思なのか分からないが、理奈にはそれが本心である事が理解出来た。

「…零華。『僕』じゃなくて、『僕達』でしょ? 私も零華に協力するから、必ず皆で帰ろう」

「…そうだね」

 零華は理奈に静かに微笑んだ。他の子なら一発で落ちる笑みであったが、理奈は見慣れている為に平気であった。

 その後就寝時間が近い為、零華は理奈を部屋まで送った。


※       ※


 就寝時間を迎えた男子部屋は、その後も暫く話声が聞こえていたが、やがて寝息のみ聞こえる様になった。

「……」

 仰向けで天井を見ながら、零華は考えていた。

「…此れからどうなるか分からないけど…僕は父さんと母さんが教えてくれた事を活かして、皆と共に必ず日本へ帰ろう…」

 先程理奈にも誓ったとおり、零華は強い決心を抱いていた。

「…でも…今考えてみれば、母さんが教えてくれた事…まるで『この世界に来る事を想定』した様な事ばかりだよね…」

 その事について、零華は暫く考えていたが、やがて睡魔に勝てず、何時の間にか眠りに就いていた。


 次の話と登場人物紹介で、今の章は終了となりますわぁ♪

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