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蒼の瞳の騎士 紅の瞳の姫君  作者: 黒猫キッド
第2章・異世界召喚編
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39・そして誰もいなくなった

 

 メンバーから一人離れた零華は、泣いている女の子の所へと行った。

「お嬢ちゃんどうしたの? 迷子?」

 出来るだけ怖がらせない様に、しゃがみながら穏やかな口調で声をかけると、女の子は目に涙を浮かべて顔を上げた。

「ママと…ママと逸れちゃったの…」

 女の子はか弱そうな声で、零華に告げた。

「そっか…じゃあ僕が一緒に探してあげる!」

 そう零華が告げると、女の子がキョトンとした顔で、零華の顔を見つめる。

『…やっぱり怪しいよね…いきなりこんな事、右目に布を巻いている人が言うなんて…』

 そう考えた時だった…。

「うん♪ ありがとう! お姉(・・)ちゃん(・・・)!」

「……ははぁ…」

 零華は失笑するしかなかった。

 やはり異世界でも、零華の顔立ちは女の子にしか見えない様だ…。


 一方その頃…


「零華の奴、何処まで行ったんだよ!?」

 運河沿いのベンチが在る場所で待っている修兵が、大声で文句を上げる。

「どっかでナンパでもされてるんちゃう? あの顔やったら、十m歩くのにナンパされまくって、数分はかかるで?」

 凛がベンチに寄り掛かりながら、修兵に言った。

「それもあるよね」

 大輔が同意する。太一と直樹も同意する様に頷いた。

 そんな中、灯里と共に別のベンチに座る理奈は、心配する様に辺りを見回している。

「どうしたの理奈?」

 灯里が気になって声をかける。

「あ、うん…零華、大丈夫かな?」

「零華も理奈程じゃないけど、結構強いんでしょ? 大丈夫だよ!」

 そう灯里が元気付ける様に声をかけるが、不意に理奈が立ち上がる。

「理奈?」

「ごめん灯里。私ちょっと探してくる」

 そう言うと理奈は、零華が歩いて行った方へと向かう。

「あっ、ちょっと! 修兵! 理奈に付いて行って!」

「!」

 灯里に指示されて、修兵は慌てて理奈の後を追う。

「おい待てよ理奈! 俺も一緒に行くから!」

 そう言って修兵が付いて行こうとした時…


 ガシャガシャガシャ!!!


 突然、金属を振る様な音が辺りに響き渡った。かと思った瞬間、武装した兵士達が理奈と修兵の前に立ち塞がった。

「この街の兵士!?」

 先程の兵士と同じ武装をしていた為、この兵士の集団がこの街の兵士だと、理奈は直ぐに分かった。

「大人しくしろ!」

 兵士が厳しい声を上げる。

「や、やべぇ! 悪い理奈! 俺は灯里を連れて逃げる!」

 そう叫んだ修兵は、踵を反して振り返るが…

「あっ!?」

 既に灯里、太一、大輔、凛、直樹は、同じ武装の兵士達に取り囲まれていた。そうこうしている内に、兵士は理奈を拘束し、別の兵士が剣を抜いて修兵に歩み寄ってくる。

「くっ…」

 悔しそうな声を漏らす修兵。そして…

「逃げろ零華ァァァ!!!」

 街中に響き渡るのではないかと思う程の声を、修兵は上げた。


※         ※


「ありがとうお姉ちゃん!」

 母親に連れられた女の子から、お礼の声をかけられ手を振られ、零華は苦笑い気味に応じて別れた。

 あの後少し街中を探索した処、直ぐに母親と会えた為、零華は女の子を母親に引き渡す事が出来た。

「さてと…早く合流しないとね」

 そう呟いて零華は、駆けだそうとした。

「逃げろ零華ァァァ!!!」

と、突如街中に絶叫が響き渡った。そしてその声に零華は、聞き覚えがあった。

「ッッ、修兵!?」

 修兵に何かあった。そしてそれは理奈にも何かあったと考えて、零華は合流場所に向かって必死に走った。

 途中何人かが零華に驚いた表情を浮かべたが、零華は構わずに走った。そして…

「ハア…ハア…」

 息を切らせながら零華が辿り着いた場所、其処はあの合流場所であった。そして…その場所には誰も居なかった。

 そしてこれは後に分かった事だが、この時点で捕まっていない生徒は…零華一人であった。


 残り一人…。

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