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蒼の瞳の騎士 紅の瞳の姫君  作者: 黒猫キッド
第2章・異世界召喚編
34/133

33・やりたくない事と某ステルスゲームの真似

 今回は殆どギャグですわ。

 兵士に警戒をしながら、零華は直樹と通話しながら、ドローンの動きを見つつ、零華の後ろに理奈、灯里、修兵の順に慎重に路地裏を進んでいる。

「…うん…分かった…この先を右に曲がれば良いんだよね?」

 直樹の指示を受けて、曲がろうとする零華。しかしすぐに戻って身を隠した。

「…兵士?」

 後ろに居た理奈が尋ねる。零華はそれに無言で頷いた。理奈がこっそりと覗いてみると、確かに兵士が一人だけ居た。

「どうしようか…遠回りして行くとしても、別の道にも兵士は居るだろうし、だからといって遠回りしまくったら、確実に直樹達と合流出来ないし…」

 零華は考え続けた…そして…

「仕方ない…この手で行こう」

「えっ? どんな手だ?」

 修兵が尋ねたので、理奈と灯里を含めて説明をした。それを聞いた修兵は、『マジか』と呟いたのであった。


※          ※


 兵士は一人で、太陽の聖堂に侵入したという子供達を探していた。

「全く。何処のガキ共が、太陽の聖堂に忍び込んだんだよ」

 今日は非番だったのだが、侵入した子供達を探す為に駆り出され、非常に不機嫌であった。

「見つけたら、とんでもない目に…」

「其処のお兄さん♪」

「?」

 背後から声を掛けられたので、兵士が振り向くと其処には…

「!!!」

 其処にはプラチナブロンドか亜麻色の髪をし、右目に布を巻いた少女が立っていた。兵士が驚いたのは、その容姿であった。髪の色の他に顔立ちは絶世の美少女といえる美貌であった。

「な、何かな? お嬢さん?」

 ドギマギしながら、兵士は少女に応じる。

「実は私…少し困ってるんですよぉ…」

 少女は移動しながら兵士に言う。少女を目で追っている為、兵士の向きは最初に向いていた方に向いた。

「な、何を困っているのかな?」

「私、ちょっと追われてて、今街中を逃げ回っているんですよぉ」

 体を兵士に擦り寄らせる様にしながら、少女は助けを求める。

「そ、そうなんだ。じゃあ俺が助けてあげようか?」

「本当ですか! 嬉しい♪…じゃあ…眠って下さい♪」

「はっ? っ!?」

 少女の言葉に兵士が一瞬戸惑った瞬間、後頭部に鈍い痛みを感じて、兵士の意識は暗転した。


※       ※


「…案外、上手くいくもんだね」

 気絶した兵士を見ながら、零華は言った。倒れた兵士の背後には修兵達が立っている。

 零華は少女のフリをして兵士に隙を作り、その瞬間修兵が背後から殴ったのであった。

「此れで暫くは起きないね。それじゃあ行こうか」

 そう言って修兵達を見ると、修兵と灯里がニヤニヤと笑っていた。

「…何?」

「いやいや。零華ちゃん、かなりのリアルな演技をしていたなぁ?」

 修兵がニヤニヤしながら言った。

「去年の文化祭で、喫茶店やった時にも、同じ様な事をしていたじゃないか! 何が言いたいんだ?」

 零華が憤りながら尋ねると、灯里が答えた。

「いやぁ。あまりにもリアルだから、実は以前にもやっていたんじゃなかって…?」

「ある訳無いじゃないか! 即席でやったんだよ!」

 零華はそう言うが、修兵達は信じている様子は無い。

「理奈! 理奈なら信じてくれるよね?」

 理奈に救いを求める。

「…うん。信じているよ」

 理奈はそう答えたが…。

「何か反応が遅かった! ホントにそう思っているの!?」

「ホラ、直樹が待っているから! ドローンを追って早く行こう!」

 強引に話を終わらせ、理奈がドローンを追う様に促す。修兵と灯里もドローンを追ってしまう。

「待ってよ…」

 理奈達を追おうとした零華だが、ふと倒れている兵士を見る。腰には剣を帯びていた。

「…すいません」

 そう言うと零華は、兵士から剣を鞘ごと抜き取って、理奈達の後を追った。

 合流した際に、零華が剣を持っている事に、理奈達は戸惑ったが、『借りただけ』と言って納得させた。

 その後暫く進んでいると…

「! まただ」

 また角を向こう側に兵士が居た。今度も一人である。

「零…」

「嫌だからね!」

 修兵が零華に頼もうとするが、すかさず拒否を示した。

「仕方ないな…俺に任せろ!」

 修兵はそう言うと、カバンからグラビア雑誌を取り出した。

「この非常時に、何をやっているの!?」

 灯里が怒り出す。

「まあ見てろよ。このグラビアを置いて、あの兵士を誘導させて、グラビアに集中させている間に、通り過ぎちまうんだよ」

と、自信満々に修兵が言うが…

「そんな蛇の名前の人のゲームみたいに、上手くいくもんか!」

と、零華から批判される。

「やってみなきゃ分からないだろ」

 そう言うと修兵は、グラビアを道に置いた。そして物陰に隠れて…

「おい!」

 兵士に向かって叫んだ。

「んっ? 何だ?」

 兵士は修平の声に反応して、此方に向かって来る。すると…

「こ、これは!?」

 兵士は置かれているグラビアに食らいついた。そして無言で熱心に見続ける。

「「「……」」」

 修兵を除いた零華達は呆れながらも、兵士の背後を通っていく。そして安全な所迄移動すると…

「どんなもんだ! 俺の作戦は!?」

 修兵がドヤ顔で言うが…。

「間抜けな作戦で行った事に、威張るな!」

と、理奈が修兵の腹に、正拳突きを叩き込む。

「ぐほぉ!?…空手有段者が素人に、正拳突きを叩き込むなよ…」

 悶絶しながら修兵が言った。

 その後修兵が回復後に、再びドローンを追って移動し始めた。


 零華の演技力、なかなかのモンや!

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