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蒼の瞳の騎士 紅の瞳の姫君  作者: 黒猫キッド
第1章・日本での日常編
22/133

21・最後の日常 2

 最後の日常は、複数回に分けますわ。

 此処で追記の話、19・『悪夢と謎のメールと謎のノート』において、修兵が参加した時に、出席番号を加えましたわ。

 HRが終わって一時間目が始まったが、零華は眠気に襲われていた。

『ふわぁ…やっぱり睡眠時間が短かったから…眠い…』

 そう考えると同時に、今日の一時間目の授業の内容は、予測した予習で大丈夫だった為、居眠りしようという考えに辿り着き、顔を伏せていた。しかし…

「広橋君! 起きなさい!」

 担当の女性教師は、居眠りを許さずに、零華を叩き起こそうとした。

「広橋君!!!」

「……」

 大声で言う教師に、零華は顔を少しだけ上げて見つめた。妖艶とも言える美少女な顔立ちに、女性教師は息を飲むが、何とか耐える。そんな教師に零華は、悪戯心の様な物が芽生えた。

「…ニコッ…」

 小さく微笑む零華。

「!!!」

 眠たそうな表情で浮かべた、美少女にしか見えない美少年の微笑みの笑顔は、女性教師に抜群の威力を見せた。

「ま、まあ良いで…しょう…次からは…ちゃんと授業を…受けなさい…」

 それだけ言うと顔を赤くした女性教師は、教壇の方へと歩いて行く。クラス中からは失笑の声が漏れる。

「あざといな、お前…」

 前の席の修兵からは、呆れる口調でそう言われ、離れた席の理奈は、溜め息を吐いていた。

「女性教師には、此れが一番効くからね…男性教師には効かないけどね…」

 それだけ言うと零華は、再び夢の世界へと旅立った。


※          ※


「お前、あざとすぎだろ」

 一時間目の授業が終わった後、零華の所に修兵、一、孝明、太一がやって来た。

「どうせなら、この顔を利用しようと考えてね…眠たかったのは事実だから…」

 そう零華は返す。

「…お前は成績優秀なだけじゃなく、こういう事にも頭の回転が良いな…」

 呆れる一。すると太一がスマホを取り出した。

「そういえば零華、あれ見た?」

「あれって?」

 零華はてっきり、夜中の謎のイタメールの事だと思ったが違った。

「ルクレツィアの動画だよ! 最新作がアップされていたんだ」

「ああ、そっちか…」

 他人事の様に軽く反応する零華。

「何だよ反応薄いな!」

 修兵が嚙みついた。

「別に薄い訳じゃないさ。ただ夜中のメールの事だと思ったんだよ」

「イタメールよりルクレツィアだろ。マジで歌上手過ぎだろ」

 孝明が反論する。

「まあ確かに、カヴァーソングを歌う歌唱力は凄いね。結構再生回数稼いでるし」

「実はさ…このルクレツィアって零華じゃないかって話があったんだ。零華去年の文化祭で、同じ名前のメイドをやったでしょ?」

「確かにやったけど…僕は女装はしたくないんだから、そう考えたら別人だろ?」

 さも他人事の様に冷静に言う零華。動画のルクレツィアも零華であるが、それを知られる訳もいかなく、他人事の様に振る舞っていた。

『…僕が女装嫌いって事で、自主的に女装をしている訳がないという固定観念があるから、ルクレツィア=僕にならないんだよな…』

 そう考えている零華。

 何時の間にか、零華以外がルクレツィアの話題になっていた為、零華はスマホを見てみる。すると先程見ていなかったメールを思い出し、確認してみた。


 参加者 男子3番・大崎 一、12番・藤本 太一、13番・向井 孝明、女子14番・南原 灯里 残り25名


 参加者 男子2番・井上 圭吾、6番・下村 疾風、女子12番・中島 千恵美 15番・浜崎 凛 残り21名


 更に八名もの参加者を示すメールの内容だった。

「えっ!? 皆も返信したの!?」

 驚いて皆に話しかける零華。

「ああそうだな…俺達の中で返信していないのは、零華だけだぞ?」

 孝明がそう返す。

「いや、普通返さないでしょ…変なのだったら、どうするんだ?」

「別に何も起きなかったけど…? どうせクラスの誰かが、冗談で送ったメールじゃない?」

 太一が自分のスマホを見せながら言う。

「全く…僕は絶対送らないからね」

 そう話している内に、二時間目の授業のチャイムが鳴った。


 ボン! ボン!


 体育館の床に、バスケットボールが弾む。

 コート内部では、男子と女子が分かれて、更にそれぞれ二チーム(七対六)ずつに分かれて試合を行っている。

「孝明、パス!」

 圭吾からのパスを受け取る孝明、そのままドリブルをしてゴールに向かうが、その先でブロックされている。するとノーマークの大作の姿が見えた。

「大作、パス!」

 孝明は大作のパスをする。そのフォームは完璧であったが、孝明と大作の間に、小さな影が割り込んだ。

「!?」

 その影はボールを受け取って、反対のゴールへと向かっていき、そしてそのままシュートする。


 ガコンッ!!!


 ボールは見事にシュートを決めた。

「よっし!!!」

 その小さな影…零華はガッツポーズをする。

「くっそ! また零華に得点取られた」

 孝明が悔しそうに言う。

「別に良いじゃないか。孝明はバスケ部なんだから、トーシロの僕にお膳立てしてよ」

「ってか俺達のチームの方が、人数が少ないぞ!」

 パスを奪われた大作が割り込んだ。

「だってこのクラスは、男子は十五人しか居ないから、片方は七人、もう片方は六人になるんだから」

「その結果、お前達の方が多いぞ!」

 孝明の言う通り、零華は七人のチームに所属しており、孝明と大作は六人のチームの所属である。

「孝明は背が高いし、大作は大柄じゃないか。体格ならそっちの方が有利だ」

「まあ確かに…そっちにはチビが二人も居るしな」

 孝明が言うのは、背の低い太一と、更に一番低い零華である。

「でも小さいお陰で、小回りの利く動きが出来るよ!」

 得意げな表情で零華は言う。

「…それは零華だからだと思うよ…」

 小さめな声で太一が呟いた。

 意外にも動きが速い、零華でしたわ。

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