100・嘗ての異世界から来た戦士達
祝・『蒼の瞳の騎士 紅の瞳の姫君』・百話突破や♪
諸事情で今日は9時に投稿させてもらいましたわぁ。
しばらく生徒達と話したアーサーは、再び教壇の前まで行って、A組一行を見回して言った。
「じゃあ今日は最初だから、お前らに良い物を見せてやるよ。ついて来い」
そう告げるとアーサーは教室を出て行こうとする。零華達は戸惑いながら、アーサーの後を追って教室を出た。
「アーサー。何処に行くんだ?」
歩いて行くアーサーの背中に、零華が話しかける。
「お前らにとって、『先輩』にあたる物だよ」
アーサーは振り返らずに零華に答え、それを聞いた零華はどういう意味なのかは分からずに、アーサーの後に付いて行く。
※ ※
アーサーがA組一行を連れて来たのは、博物館の展示室であった。色とりどりの絵画が展示されており、それを見に来ている客も大勢いた。中には零華達を見ている人達も居り、その中には零華をチラチラ見ている男性も居た。零華は何となく理由を察し、内心溜息を吐いた。
やがてアーサーは、展示室の途中で立ち止まった。
「ホラ、此れだ」
そう言ってアーサーが示した先には、巨大な横長の絵が飾られていた。そしてその絵は…
「此れ…」
「…学生…?」
零華と理奈が交互に呟いた。その巨大な絵は何らかの合戦絵図の様な絵であった。左側に書かれているのは、何処かの国の兵士らしい集団であったが、右側に描かれているのは、どう見ても学生にしか見えない集団であった。
学ランを着て武器を持った五人の男子生徒を筆頭に、他の生徒が武器を持って戦っているのが描かれている。持っている武器は剣や槍、弓矢といったオーソドックスな物や、短剣や斧やメイスの様な武器。中には何らかの戦闘指示を出しているのか、本を持って何かを指示している学生も描かれていた。
「アーサー…こいつ等は…?」
来季がアーサーに尋ねた。
「…二十年前にこの国に来た学生達の姿だ」
そうアーサーは伝えた。
「当時は戦乱の時代でな、エグ・マリン王国も戦を行っていた。その最中に連中は現れたと、先生から聞いている」
「それって、何人くらい現れたの?」
灯里が尋ねる。絵を見た所二十人くらいは描かれている。
「三十人…今のお前らと同じ人数だな」
「確か…その人達は元の世界に帰れたと、陛下から聞いていたけど、三十人全員帰れたの?」
そう零華が尋ねるが…。
「いや…先生の話では、帰れたのは…僅か八人だけだ」
アーサーのその言葉に、A組一行は嫌な予感を感じた。
「…他の…残りの二十二人はどうしたの…?」
恐る恐る理奈が尋ねると…
「死んだ」
ただあっさりとアーサーは答えた。
「さっき言っただろ? 当時は戦乱の時代だって、前に来た連中は殆ど巻き込まれる形で戦に参加したとか…実際に参戦したのは二十八人で、二人は来て早々に敵の兵士に殺されたらしいな」
「ちょ、ちょっと待てよ!」
あまりの事に此処が博物館である事を忘れて、修兵が大声で尋ねた。
「前回の連中の大半が死んだって事は…俺達も同じ様に死ぬのか…」
修兵の言葉に生徒達は騒然となる。三十人居る自分達の殆どが死ぬ。それは自分かも知れないし、親しい友人・恋人という可能性もある。
零華も同じ様に考えて、理奈の方を見つめた。もし理奈が戦に巻き込まれて…そう考えてしまう。
「心配すんなよ」
零華達の不安をよそに、アーサーは頭を搔きながら気だるげに伝える。
「前回の連中が来たのは戦が行われていたエグ・マリン王国で、今のエグ・マリン王国は戦は行っていないから、お前らが巻き込まれて死ぬっていうのはねぇよ」
アーサーのその言葉に、生徒達は安心した様子を見せる。
「一応前の連中の事を教えようと思っただけだ。ついでだから他の展示品も見てけよ」
アーサーにそう言われて、生徒達はそれぞれ他の展示品を見に散っていく。
零華もその場を離れようとし、最後にもう一度だけ合戦絵図を見た。
「……」
零華は描かれた先頭に立つ五人の男子生徒を見つめた。
「どうしたの、零華?」
何時迄も見ている零華に、理奈が話しかけた。
「…いや。何でも無いよ。僕達も行こうか」
そう言って笑って、理奈と一緒にその場から離れる零華だった。
「…父さん…?」
父さんって…?
嘗ての生徒達の合戦絵図は、高校生が戦国時代にタイムスリップする漫画の、屏風絵を元にイメージしたんですわぁ。
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