101・七つの獣
お久しぶりですなぁ。関西弁で喋る黒猫さん・黒猫キッドや!
活動報告にも書いたとおり、ちょっと色々とあって精神的な事で書けなかったんですわぁ。他にも寒暖差アレルギーや不調、他の趣味で書けなかったのですが、エタるつもりは無いので安心して下さいなぁ。
まだちょっと執筆速度が戻って無いので時間はかかりますが、此れからも頑張りますわぁ♪
博物館の展示物を見ていた人々は、ある二人組の少女の顔を見て見惚れていた。
「あの子、凄く可愛い…」
「本当…あんな美少女…この街に居た…?」
「隣の同じ服装の女の子も美少女だけど…あの『右目に布を巻いた女の子』…それ以上の美少女だ…」
人々の視線の先には、理奈と共に展示品を見て回る零華の姿があった。
「……」
そんな視線を感じながら、その言葉を聞いた零華は不機嫌な表情を見せる。
「だから、僕は男だって…」
「んっ? 零華どうかしたの?」
小声で呟いた零華の呟きに、理奈が反応した。どうやら展示品に夢中になっていて、周りの言葉や視線、零華の呟きの内容に気付いていなかった様だ。
「…何でも無いよ。そういえば、アーサーは何処に行ったのかな? 聞きたい事があったんだけど…」
「聞きたい事? 何を?」
「リノア・エルトリオン…母さんと同じ名前の戦士の事…」
前日にアストルから、『アーサーなら、リノア・エルトリオンの事が詳しい』事を聞いていたので、今回の機会に尋ねようと零華は考えていた。
「里乃亜おばさんと同じ名前の人か…零華気になるの?」
「うん…同じ名前だからか、何故か気になるんだ…」
死んだ母と同じ名前の、二十年前までエグ・マリン王国騎士団に所属していたリノア・エルトリオン…零華は異世界の人間である為、別人であると考えながらも、その人物の事が気になっていた。
「んっ? 何あれ? 皆集まってるけど」
「えっ…?」
理奈の言葉に零華が顔を向けると、A組の生徒達の大半が、何かの展示物の前に集まっていた。
零華と理奈は其処に行ってみた。
「修兵。何を見ているの?」
見ていた修兵に、零華が尋ねた。
「おっ零華! 見て見ろよコレ! すっごい絵だぞ!」
修兵にそう言われて、零華と理奈は皆が見ている絵を見上げた。
「此れは…」
皆が見ていた大きな絵には、複数の動物が書かれていた。
鳥・狼・鼬・蛇・鯱、そして二体の狐が描かれており、それはまるで誇らしげに書かれている様に見えて、尚且つ戯れている様に絵が描かれている。
それだけならば只の動物の絵だが、二体の狐が特徴的であった。
「九尾の…狐…?」
描かれている狐には九本の尾が有り、それは日本の最強の妖怪である、九尾の狐にそのままであった。
「漫画とかイラストで描かれている九尾狐が、異世界で描かれているとは思わなかったな」
孝明が絵を見ながら言った。
「誰が書いたんだろう…前に来た学生達かな?」
理奈が呟いた。零華も日本の漫画とかの影響で、前に来た学生達が描いた物では無いかと推測する。
「それは七獣士の絵だよ」
そう言ったのは、何時の間にか零華達の後ろに居たアーサーだった。
「アーサー。そのシチジュウシって?」
零華が尋ねた。
「何でも千年程前に、様々な力を持った七体の獣が、郎党を組んで結成された集団だとか。一説では破壊と殺戮を行って大国を滅ぼしたとか、飢饉や年貢に苦しんだ民を救ったとか…そういう話もある」
アーサーの言葉を聞いて、その七獣士が正反対の伝承が伝わっているというのが理解出来た。
「んで、その七獣士は最後はどうなったんだ?」
修兵が尋ねた。
「今の俺の話の流れで、大国が連合軍を組んで討伐に走った事から、チリジリなって逃げたって聞いたけどな…大昔の事だから良く分からねぇな…先生も詳しく知らなかったし…」
「アーサー先生が居るんだ」
零華が尋ねた。
「ああ。俺に軍師としての知識を教えてくれたんだよ。結構美人な女性の先生だぜ。長く生きているから物知りだしな」
「その人、何歳なん?」
凛が尋ねた。少なくともアーサーの一回り以上は上だと推測した。
「126歳…だったかな?」
思い出す様に呟くアーサー。
『『『『『ババアじゃん…』』』』』
A組の殆どの生徒が、そう思った。
「……」
そんな中零華だけが、絵に描かれた九尾の狐を見つめていた。
「どうしたの零華? あの絵が気になるの?」
「あっえっとね…あの狐が…」
零華は描かれた九尾の狐を示した。
「昔言わなかったかな? 夢で九本の尻尾の狐に会ったって?」
「…ああ、そういえば幼稚園の頃、絵に描いていたね」
理奈が思い出した様に言った。
「確か、『夢で見た事を描きましょう』って先生に言われて、零華は狐の絵を描いたんだっけ?」
「そうだよ。小さい頃よく、夢で九尾の狐が出てきて、遊んでもらった事があったから」
「何でそんな夢みたんだよ」
修兵が零華と理奈の会話に入ってきた。
「さあ知らない…そういえば、その九尾の狐…『大きくなったら、俺の嫁にしてやる』…って言ってた…!?」
それを思い出して零華は、その夢の狐がとんでもない事を言っていた事に気付いた。
「何で嫁なんだ…僕は男だぞ…しかもあの狐、声からして牡じゃないか…しかも僕、人間だし…」
「女の子と間違えてるんだろ、その狐。ってか牝の狐か? お前って仔狐っぽいし?」
「僕は男だ! 何だよその仔狐っぽいって!?」
揶揄う様に言う修兵に、零華がお約束交じりで聞き返した。
「いやさお前の声って何かソレっぽいし…機械弄りとか上手そうだし…」
「全然意味が分からないよ!」
博物館内に零華の声が響いた。当然ながら博物館の人から注意を受けるのであった。
零華の声の件は、零華の名字のモデルから来ているので…。
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