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終焉少女と時の魔法使いのマジカルライフ  作者: ラキューム
第一部
35/38

古き魔女たちの戯れ

 sideサリア

 ふと、目が覚めた。確か私はクレアさんに背負われて帰ったはずなのだが・・・。何故だか布一枚を巻き付けただけの状態で四肢に謎のチューブをぶっ刺され、謎の液体の入った球形の水槽の中に浮かべられていた。

 

「もごもご、もー。むー…」


 喋ろうとしてみても、声は出せなかった。呼吸に困ることは無いとはいえ、一応水中であることには変わりないようだ。まあ、いい。魔法を使えばこんなところ速攻で抜け出せる。


「・・・・・・・・?」


 使えなかった。どうもエネルギーが全てチューブの方に流れて行ってしまっているらしい。魔力の流れでそれくらいは把握できる。伊達にグレースさんに教えを受けたわけではないのだ。


「むー・・・・・」


 まったく、私をこんな風に扱って何をするつもりなのだろうか。少なくとも場所はヴェルディでは無さそうだし、クレアさんがヤンデレ化して私を監禁するとかじゃない限り彼女が下手人という線はありえないだろう。クレアさんはなんとなく重そうな気がするが、今回は無関係だ。


「うー…」


 こうして唸る事しかできないが、ひとまず思考だけは止めない様にしておこう。私の魔力が何に使われているのかは把握できないが、少なくとも碌な物じゃあない事だけは確実だ。大方、大量破壊兵器とかハイパー殺戮兵器とかそのへんだろう。

 ああ、それにしても暇だ。折角だし、もう少しだけ頑張ってみようかな。少なくとも魔法や手足から放つタイプの魔術は間違いなく使えないが、認識拡張とか広域認識とか空間把握辺りは何とか使えそうだ。この辺りの魔術はそこまで魔力を使わないから発動に支障は無いだろう。という訳で全部纏めて使ってしまおう。


『おお、これはアレですよね!? グレースさんが前言ってた巨大ゴーレム!』


 これには思わずテンションが爆上がり。凄い、凄すぎる! 動かしたい、こいつは私が頂きたい。    ならばやる事はただ一つ、この巨兵を起動して私がコントロール権を奪い取る事だ。具体的にどうやるのかもわかっている。それはとても単純で簡単な事、巨兵の各部位と私の感覚を同期させればいいのだ。多分接続接続(コネクト)と同期同期(リンク)の併用でどうにかなるはずだ。

 いや、実際どうにかなった。まあ、この巨兵は私が接続されているコアユニットとは別に、先に外部から起動しない限り動きはしない仕組みになっているので、これが起動されるまでは待機するしかないか。

 そうだ、いつまでも巨兵、巨兵と呼ぶのもナンセンスだし折角だから勝手に名付けてしまおうか。うん、スルト。スルトにしよう。昔両親に聞いた御伽噺に出てきた、世界を焼き尽くす炎の巨人。

終わりの魔法使いたる私が動かす巨兵ならば、その名前こそが相応しい。


『おや、この魔力は・・・』


 ふと、見知った魔力反応が感じ取れた。どうしてここにいるのかは分からないが、とりあえず念話を送ってみよう。






 

Sideメリッサさん



「よし、あと2つ」

 秘書業務に明け暮れながらも時間を見つけて基地内に爆弾を仕掛け続けてはや3日。そろそろ全体的に仕掛け終わる頃になりました。


「おやおや、こんなところで何をしておられるのですか? まだ業務中のはずでは?」 


「休憩です、ノワール室長。貴方こそどうしてこちらに?」


「私も休憩中に通りがかっただけですが、何を屈み込んでやっておられるのです?」


 私を見つめている目は、いかにも怪訝そうな目。さて、言い訳するか殺るかヤるか。まあ、後者2つはアイーダがブチギレじゃすまないことになりそうなのでやりませんが。

「ゴミが落ちていましたので拾っていたんですよ。こう見えて綺麗好きなので」


「そうですか…。ああ、それはそうと一つお願いが」


「何でしょうか?」


 彼はオホンと一呼吸入れ、ニヤリと微笑みこう言いました。

「貴女がここをぶっ飛ばすのは別に良いんですが、その場合は私と妻の就職先紹介してくださいね」


 いいんですか。いやいや、私の正体に気づいているならそれは実質ヴェルディに移住させろと言っているのと同義ではないですか…。そんな風に面食らっていたら微笑みはそのままに、更に要求をしてきました。

「それと、貴女の目的に無関係な人物の命の保証もお願いします」 


「ちょっと図々しくありません?」


「いえいえ、私は私の秘書ならばその程度は容易いと見込んでいるだけですよ。ねぇ、メリッサ・クロノスフィアさん」


 さてさて、わたくしからは何も正体を匂わせるようなことはやっていないのに何故バレたのでしょうか? ・・・まあ、アイーダ辺りがそれとなく伝えたのでしょうね。仕方ありません、ここは相手に従ってあげましょうか。

「承知いたしました。何とかして見せますが、貴方はそれでいいのですか? 一応貴方はこの組織に所属しているのでしょう?」


「私は安定して給料がもらえる職場と、安心して魔術を研究できる場所と、共にいてくれる妻さえあれば別にそれ以外は割とどうでもいいのですよ」


 彼はそう言って立ち去って行きました。結構したたかな性格をしているのでしょうか。あのアイーダの夫をやれてるならそうでもおかしくないのでしょうね。


「はぁ、空間転移式も用意しないといけませんね。巨兵はもう完成しますし、私はぼちぼち撤退の用意を始めましょう」


 撤退自体は一瞬だが、私がいた形跡を可能な限り消してしまわなければなりません。手練れの魔術師ならば探り当てる事も容易でしょうし。


────ズドォォォォォォ!と轟音が響き、その直後に地面が、空間が振動した。


「っ! ってこの魔力はお母様とルナさんですよね?なんだってこんな時におっ始めるんですか!?」


 施設内の警報が鳴り響き、一気に騒がしくなってきた。その間にも振動と嵐のような魔力の奔流は続いており、私を含めた全員が困惑に包まれていました。すると、

「おい!これは一体全体どういう事だよ! いや、すまねえ。その面じゃあてめぇも知らねぇみたいだな」

 アイーダが私に駆け寄って来ました。一瞬怒鳴ろうとしたのはいいが、私の様子を見てやめたようです。

そうだ、ここは彼女の手を借りましょう。私一人だと少々キツいですが、彼女がいれば纏めて行けるはずです。

「アイーダ、少し手を貸してください。巨兵製造ドックにいる室長の部下及び室長を一気に転送しますので」


「お前が人助けに目覚めるとは、オレの頭上にゃ槍でも降ってきそうだな」 


「室長との交換条件なだけですよ! それに、早くしないとこの分だとあと十分持たずに吹き飛びますよ」


「わあってるよ。んで、オレは何をすればいい?」


「この場にいる対象の把握と拘束。伝達は必要ありません」


「了解。念の為にお前と思考を接続接続(コネクト)するが問題は!」


「ありません」


 思考がクリアになっていくと同時に、酩酊感に似た感覚に襲われる。他者と思考を繋げるのですもの、それくらいの反動はあってしかるべきなのでしょう。まあ、それはさておいてアイーダの作業が進んでしまうのを待ちましょう。何がどこまで終わっているのかは逐一わかりますので、後はそれにタイミングを合わせて転移するだけの簡単な作業です。

『いや、お前も少しは魔術で手分けしろや・・・。これかなり疲れんだよ』


『ご安心ください。もう私の分は終わっていますから♪』


『そうかい、こっちもちょうど終わりだ!』


「行きます、『転移』!」


 おそらく青白い光の輪が建物内の人々の足元に浮かび上がり、その場に拘束。後は順次転送されて行く事でしょう。よし、アイーダと室長の転送を確認。私は私の仕事を改めて片付けましょう。


「失礼します、委員長様」

 

「なんだ、随分とご機嫌そうじゃないか。なぁ、メリッサ、我が姪よ。貴様のおかげで我の計画はおじゃんだ! なあ、あの根まで腐り果てた最低の姉をここに呼んだのは貴様か? 答えよ!」


「いえ、確かにお母様に言われて破壊工作に来ましたが流石にコレは予想外です」


「そ、そうか・・・。お前も苦労しているんだな」


 なんだか哀れまれているようです。まあいいでしょう。この委員長という方はどうやらお母様の妹に当たるそう。ようするに、全く面識の無い叔母という訳だ。随分と長く生きてきたのに今更叔母の存在が発覚するとは、人生何が起こるかわからないものですね。まあ、とうの叔母様はお母様を随分と恨まれておられるご様子ですが。


「ところで叔母様は一体どうしてお母様を恨まれておられるんですか? 神代の事はあまり聞いていないので検討がつかないのです」


「ああ、腐れ姉なら絶対にその時のことは言わぬだろうな。恨むべき事はいくらでもある。我以外の兄弟姉妹及びに父上はヤツが皆殺しにし、生き延びた我も変身機能が暴走し元の我の姿すら忘れた。その割にはヤツはのうのうと子をこさえて生を謳歌していたと来たものだ」


「我が母ながら無茶苦茶やってたんですねぇ。確かにそんな事があったら復讐してもおかしくないです」


「ぬ? 我は別にそのことで恨むとか復讐しようとは思ってはおらぬ。あれは母上ごと奴を謀殺しようとした兄上たちにそれを是とした父上が悪い。我はヤツとは違い失敗作、機能の暴走も予測できたものだ」


「では、一体何ゆえ?」


「我らの事など無かったかのようにのうのうと暮らしておった事。ただそれだけよ」


 うむ、確かに恨むには十分なようなそうでもないような。とりあえずサリアちゃんを攫って勝手に利用した分のツケは払ってもらいましょう。


「そうですか。では叔母様、死んでくださいませ」


「そうは行かぬ。かといって我じゃお前には敵わなぬからな。最終兵器を使わせてもらうぞ!」


 そうして叔母様は私達が開発していた巨兵を起動したようです。来ました!これがサリアちゃんを助けるチャンス!と思いましたが、


『すいません、ちょっとそこどいてくれますか? そいつ潰しますから』


「ええっ!? ちょっとちょっと待ってくださーい!」


「そういえば完全に精神を掌握するのを」


 巨兵の目が煌々と赤く輝き、全身を覆うフレームが荒々しく燃え上がる。聞こえてきたのは紛れもなくサリアちゃんの声、信じられない話だがコアから全体を掌握したらしい。そしてそのまま巨大な鉄腕をこちらに振り下ろしてきたので、当然飛び込むように回避しました。叔母さまも私と全く同一のポーズで回避。こういうところは血筋なのでしょうか。


「こうなったらしょうがない。魔法使い、ハッチを開けて我を乗せろ! あの馬鹿を叩きのめしに行くぞ!」


 いやいや、流石にサリアちゃんでもそんなホイホイ都合よく言う事はあり得ない・・・。いや、なんで開けちゃってるんです!? ていうか早くそのデカブツから出てきてくださいよ!


sideグレースさん


 サリアが巨兵を操った時から一週間ほど戻って魔族領。私は領主リリスのベッドの上にいた。まあ、彼女の部屋で何をシていたのかはお察しの通り。まだ私が魔法を使えるようになる前、領主リリスがまだ弱小淫魔だった時に軽いノリで契約してしまった結果、定期的に彼女に魔力と性気を彼女が満足するまで与えないといけなくなってしまった。それも性行為つきで。


「ねぇリリス、そろそろ私も帰りたいんだけどな~。ほら、魔力も性気も十分だろう?」


「い・や・よ? 昔からの契約じゃあないの、今更変えようたってそうはいかないわよ? ほら、そろそろ貴女も回復して来たんじゃないの?」


 蠱惑的にしなだれかかって来ている妙齢の美しい女性。体付きは豊満、だが決して下品ではなく、均整の取れた彫刻のように整った形をしている。しかし、そのアメジストのように艶めいた長髪の間からは山羊のような角が生えている。こいつがリリス。幼かった私とルナの前に表れ、今まで時を共にしてきた淫魔。



「昔は可愛い幼女姿だったのに。グレース、魔力ちょうだいって可愛く首を傾げておねだりしてきたころが懐かしいよ・・・」


「それを言うならアナタだって昔はちっこくて可愛かったじゃないの。何をするにもルナ~、リリス~って感じでね?」


「はいはいこの話終わり!ってやっぱナシ! さっき着たばかりなのに脱がしにかかるな!」


「時を止めて着たのはまた脱がされるためでしょう? まあ、本気で抵抗されたらこの屋敷吹っ飛んじゃうしここらで縛るわね?『古き古き制約(オールド・ギアス)』」


  私の首と両手首と足首に枷が浮かび上がり、枷から伸びた鎖はベッドの下に突き立っている。そしてそのまま後ろに引き寄せられ、自動的にリリスに押し倒される体勢になってしまった。


「卑怯だぞぉ! ひんっ!」


「マトモに襲っても逃げられるのがオチ。そっちの時間操作の方が万倍卑怯なのに、これくらいで卑怯呼ばわりは遺憾ね。そーれよいではないかー」


「あーれー! あっちょ!」


 とりあえず様式美のようなセリフを吐きながらひん剥かれた。そしてこのあとは皆さんの予想道理、滅茶苦茶にヤられる羽目になったのであった。


「あぁ美味しかった! ご馳走様、グレース。相変わらずアナタの魔力は美味しいわ!」


「そりゃどうも・・・。私も最近ご無沙汰だったし、良かったよ。まあ、ヤり過ぎた感は否めないけどね」


「まあそれはお互い様よ。ワタシ達の相手をまともにできるヤツなんてそうそういないんだもの。多少は燃え上がっちゃっても罰は当たらないわ?」


「罰を落とす神々は私達がぶっ殺したからね。罰を落とす存在がそもそもいないのさ」


 気づけばほぼ丸二日ヤりっぱなしだったようだ。流石にどうかと思うが、興が乗っちゃったからしょうがない。シャワーを浴びながらそんな言い訳にもならない言い訳をしている私だった。


「さて、ここからは真面目な話をしましょうか。アナタがわざわざ自分から出向いたって事はワタシに何か用があるんでしょう?」


「その通り。端的に話すと王都が近々焼け落ちるから王都の民をしばらく避難させてほしいんだ」


「それは別に構わないけど、それに至るまでの経緯を話してくれない?」


 もとより事態の説明はするつもりだ。親しき中にも礼儀あり、ルナが治める桜麗の古い諺にもあるように、いくらお互いの隅から隅まで知っている仲でも筋は通す。というわけで経緯と私がこの後どう動くのかを説明しておいた。


「なるほどねぇ、あの時喰い損ねた子かしら。ねぇ、私もついて行っていい?」


「なに言ってるんだ母さん。領主なんだからちゃんといてくれないと困る。グレース父さんも言ってやってくれ。ああ、ついでに言っておくと喘ぎ声はもう少し抑えて欲しい」


 お茶を持ってきたのは細身のイケメン、名はアダム。リリスが吸収した私の魔力を使って産んだ彼女の長男坊である。何故私が父親扱いされているのかというと、人間の性交に当てはめると精を注いだ方が父親だから魔力を注いだ方が実質父親という理屈である。 補足で解説しておくと悪魔の生殖には性別は関係ないし、片方が悪魔ならそれでいいという特徴がある。ようは父にあたる者と母にあたる者の魔力を掛け合わせて生み出されるのが悪魔という種族の生殖なのだ。 


「お茶はここに置いておくから。あと、母さんに魔界から手紙も来てる」


「もしかして、また選挙に出馬しないかとかそういうアレ?」


「うん。そういうアレ」


「魔界はまた政権交代起こったのかい?」


「そうみたい。まあ、父さんと僕にはあまり関係ない話だし。ところで、メリッサは元気してる?」


「ああ。多分今頃ひぃひぃ言って働いてると思うけど、元気してるよ。今度会いに行くように言っておこうか?」


 生まれた年代的に彼はメリッサの兄だ。まあ、とある事情で私の子供は多いのでこういう腹違いとか種違いの子は結構いる。大体の子孫はもう断絶してるが、魔族とかの特殊な種族との子孫はまだ生きてたりするのだ。


「ごめんアダム。魔界には出馬しないって変身しておいてくれる? 百回も魔王やったし、私以外にも優秀なヤツはいるからってね」


「了解、そういうと思ったよ。ついでに何か文句言って来た時のために僕が出馬するって言っておく」


 魔界はしょっちゅうトップが変わって大変だなぁ。その代わり民の意見はそこそこ反映されるので民度と治安は天界より段違いにいいので人間界から観光に行くことすら可能になっているけど。


「天界が何も言って来ないならいいわよ。それで、この後アナタはルナに会いに行くんだっけ?」


「うん、ちょっと軽い運動でもしてこようかな」


「魔界に被害が向くような真似はしちゃ駄目よ? あなた達って生きる災害みたいなものだから」


 それじゃあまるで私たちが殺した神々みたいじゃないか。・・・いや、存在としては限りなく彼らに近いからあながち間違いでも無いのか。あまり認めたくはないけどね。


 さてさて、やってきましたルナの屋敷。事前にある程度の説明はしてあるから長ったらしい説明パートはすっ飛ばせるから楽でいい。


「いや、それは良いんじゃがの。下手すりゃ狭間、消し飛ぶような気がするのは儂だけか?」


「だから何して遊ぼうかと相談に来たんじゃないか」


「そうじゃのう、魔法を使うと千日手。なれば久々に魔術でも競うとするか。その方が多少は加減もできるじゃろう」


 ずずっとお茶を飲みつつ、その意見に納得したことを頷いて示した。あくまでも、これはただの遊びだ。本気で戦うと軽く世界の法則が乱れるからね。とりあえず二日くらいここでゆっくりしてから狭間に行くとしようか。


「オッケー。じゃあ二日ほど泊まるからその後って事で」


「それはよいが、褥は無しじゃからな? 儂らの子など作ったらどんな化物が生まれてくるのか想像もつかんわい」


「確かにね・・・。そういえば一つハッキリしないことがあるんだけどさ、サリアって結局誰につくられたんだろう?」


「さあの。少なくとも儂らの殺めた神々の中に終末機構を持っておるやつはおらんかったし、そういう傾向の魂魄を有する者もおらんかった。いや、儂らがおらんと誤認しておるだけかもしれんがの」


 そう、サリアをあの時見つけたのは偶然の事。本来私が視認していた未来ではあり得なかったはずの事象だった。元々見ていた未来では彼女が暮らしていたと言っている村も存在していない上に、どこの世界線やあらゆる可能性を観測してもどこにも見当たらないというイレギュラーが発生していたのだ。そして、今見れている未来も過去もサリアが存在した前提にある時点から塗り替わっているという異常事態。それに関して、ルナは今良い事を言ってくれた。


「そうか・・・。そうだね、確かにそれなら辻褄は合う。あの大戦の最中に私達が魔法を手にした後くらいに何者かによって私達、いや世界に隠蔽魔術がかけられた。そしてそれは終焉の魔法を隠すための物であり、世界すら騙す規模の物だった。ってところかい?」


「大方そのようなところじゃろう。まあ、何者かなどてんで見当がつかんがの。何せ儂らすら欺いた妖術師。そうそう見つかるものじゃないじゃろう」


「まあ、当面の目的は決まったかな? ああ、久々に大きなヤマのようで年甲斐もなくワクワクしてきたよ!」


「うむ! 儂もお主もここ五百年ほどのんべんだらりと暮らしておるだけじゃったしの!」


 それを言われるとまるで私がダメ人間のように感じられるので止めて欲しい。まあ、なんにせよ本当に久しぶりに私たちの出番がありそうな案件がやって来たというわけだ。


「とりあえず、新たな事件を祝して乾杯と行こうかルナ!」


「おうとも! 今すぐ一番良い酒を持って来させるのじゃ!」


 その後、丸一日と半分くらい二人で宴に興じていたせいで盛大に狭間で派手な魔術をぶっ放しまくったりと色々やらかすことになる私たちだった。やっぱりどうあがいてもダメ人間なのかもしれない。種族的には疑似神(デミ・ゴッド)だから駄目神モドキとでも言うべきなんだろうけどね。

 


 

 







 








 



 




 



 

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