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終焉少女と時の魔法使いのマジカルライフ  作者: ラキューム
第一部
19/38

エピローグ1

「ねえ、今日の事は水に流してあげるから一つ頼まれてくれないかしら?」

 帰りの馬車の中でクレアさんがそんな事を言ってきた。

「何でしょうか? 私にできる事なら手伝います。私のせいでそれなりに迷惑もかけましたし」

「それなりじゃないわよ。おかげさまで今までのキャラが完全崩壊。優雅で可憐な王女様ってイメージが無くなっちゃったじゃない」

 でも、クラスの人たちには割と好評だった気がする。遠くから聞こえてた話だと、お嬢様モードより話しかけやすいだとか。なぜ遠くから聞いていたのかはまあ、私にコミュ力が足りなかったとだけ。クレアさんが色んな人に絡まれている間、自分の席で狸寝入りキメてました。しかも、その間も隣の席からのキツイ視線が向けられていたので碌に落ち着くこともできなかった。

「クレアさんはそれでも普通に話しかけられてたじゃないですか。しかもかなりの人に囲まれてましたし。私なんか席で狸寝入りですよ」

「なんか、ごめんなさい。サリアがそこまでコミュ障とは思ってなくて・・・」

「憐みの目を向けないでくれますか? 今までクレアさん以外の同年代の人と関わったこと無いですから、こうなって当然ですし」

 グレースさんに拾われる前ですら同年代は壊滅的だったのだ。関わり方が分からないのにどう関われと言うのだ。

「まあいっか。それより、頼まれて欲しい事を先に言うわね。貴女のコミュ障はその後治しましょうか」

「はい・・・。ところで、何を私はすればいいんですか?」

「ヴァルプルギスってあるでしょ? アレに私も参加する羽目になるのよ。だから、」

 やっぱりルナさんの言った通り、彼女を守る事になりそうだ。

「私が参加している間に、私を狙う黒幕を見つけてそいつを焼き払っちゃってくれない?」

「てっきり、クレアさんの護衛やる事になるとばかり思ってたんですけど、そうですよね。クレアさんって王女の割には自分から動くタイプですし」

 正直こんな気はしていた。素直に狙われているから黙って護衛されていてと頼んでも、絶対に首を縦には振らないし、何なら自分で解決しに行くとか言う人だ。今回は黒幕の始末を私に頼むあたり、黒幕とやらは彼女が敵わない相手なのは間違いないだろう。

「まぁ、黒幕の始末も私がやりたいんだけどね。でも敵いっこなさそうだし今回は貴女に任せるわ。一応護衛もしてくれると助かるけど、ソッチを放置する方がマズいからね」

「何か見えたんですね。多分、良くない未来だと思いますけど」

「見たのは夢だけどね。端的に言うと、国が燃やされてて家族もろとも皆殺しにされる夢だけど、その夢で私を殺したやつがこの未来を避けたければヴァルプルギスに参加しろっていうのよ。まあ信じられなかったから一応未来を見たんだけど、本当に燃えてたからこれはマズイなと思ってね」

 でも、その夢と未来は何かおかしい。色々な前提をふっ飛ばしすぎている気がする。

「でも、グレースさんやアリスさんがいるのにそんな事ってありえますか? どんな魔術師でもグレースさんに勝てるとは思えないんですけど」

「でも、結果的にこの国がそうなる未来が見えたことは事実なのよ。まあ、グレース様が干渉していない時点だし、あの人が干渉したら確実に二転三転するんだけどね」

 まあ、時間を操ったりできるからそれくらいは当然だろう。ともあれ、この事はグレースさんに話すべきだろう。それだけでこの国が燃えるなんてことは防げそうだ。

「グレースさんですしね。それで、クレアさんが見た黒幕とやらはどんな姿だったんですか?」

「・・・・・・黒い服を着た女だったわ」

「それだけですか?」

「ええ、それだけよ」

 ぺしっとクレアさんの頭をはたいた。なぜそれだけの情報で焼き払ってくれない?なんて言ったのか。せめてもう少しマシな情報は無いのかと思ったが、断るわけにもいかない。

「なら、私はクレアさんのボディーガードに専念しますよ。正体不明の敵を探して貴女を危険に晒すわけにもいきませんから」

「そうね。それでお願い」

 そういう事に決まった。が、一つ問題があった。

「じゃあ、クレアさんを鍛えないとですね。肝心のヴァルプルギスまではあと三ヶ月程度あるんですよね? 今のクレアさんは少々力不足ですし、多少ヒトの限界を超えるまでは鍛えてもいいと思うんですよ」

「いや、貴女が異常すぎるだけで私も弱くは・・・」

「弱いです。魔術じゃなくて肉弾戦の方が雑魚です」

 そう、クレアさんは魔術戦ならそこそこできるが、格闘はろくにできないのだ。私のデコピン一発で沈むくらいに弱い。

「いや、ソレはあなたが強すぎるだけでしょ? 私はあなたみたいにデコピン一発で相手をダウンとかできないわよ」

「はい。だから、最低限鍛えてもらおうかなって思いまして。具体的には魔力無しの拳一発で人体粉砕できるようになるくらいは鍛えてもらおうかと」

 正直、それくらいはできて貰わないと駄目だと思う。魔術が使えない時に頼りになるのは自分の拳だし、武器が常に使える状況とは限らないからだ。まあ、クレアさんはプルプル震えて今にも爆発寸前といったところだったが。

「どうやって鍛えるのよーーー! 私! 普通の人間なんだけど!?」

「メリッサさんもできるみたいなんで、クレアさんもできますって」

「だから、メリッサ様も達人でしょ? 私はド素人だし、ヴァルプルギスまで三ヶ月なのよ?」

「まあ、コツを掴めば一週間くらいでできますから」

「そうなの? ならいいけど」

 まあ、要は速く強い力で正確にぶん殴ればいいだけの話だし、クレアさんなら割と早くつかめると思う。

そんなこんなで、ヴァルプルギスまであと三ヶ月。しかし、この件に関する問題は特に解決する事なく帰宅するのであった。



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