表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セブンス エッダ  作者: りん
少女が小さな世界の殻を破る音
22/118

11

 (スヴァジルファリ)はライナに敵意を向けること無く、颯爽と走り出した。普通の馬とは比べ物にならない位速い。すごい風圧で飛ばされない様に、ライナはナディルに必死にしがみ付いた。

 ル=イースランの街はこの大陸の北の端にあるが、この調子で行けば2~3日程で着きそうだ。

 日が暮れる頃、途中の小さな町で休むことにした。


「夜走るのは危ないしね。

 ライナも慣れない乗馬で疲れたでしょ?」


 そう言って町の近くで馬から降りて、札に戻す。流石にあの見た目では町の人が驚く。


 宿に着く頃には、ライナは精神的にも肉体的にもクタクタだった。初めての乗馬が魔獣とは。落されない様に、襲われない様に、と神経を尖られて必死にしがみ付いていた。宿の部屋の扉を開けたら張り詰めていた糸が切れてしまい、夕食も食べずに服のままベッドに倒れ込み寝入ってしまった。


 朝シャワーを浴び、支度を済ませて部屋を出ると、少し不機嫌そうなナディルに、すぐに近くの軽食堂に連れて行かれた。小さな町の宿は、食事が付いていない所が多い。


「しっかり食べなきゃ身体がもたないから」


 少し強い口調で、沢山の皿を押しつけてくる。

 スープ、パン、サラダ、卵包み(オムレット)、厚焼き燻製肉(ベイコン)……朝が苦手なライナは、見ているだけでお腹が一杯になる。

 昨日夕食を食べなかった所為だが、やはり量が多い。


「食べられるだけでいいから、ちゃんと食べて」


 青白い顔のライナを気遣って、ナディルは心配そうに言う。

 ライナは心配をさせて申し訳ないと思いながら、暖かいスープを口に運ぶ。


 ライナがちまちまと食事を進めているうちに、ナディルは会計を済ませ、昼ご飯を調達していた。


「これなら食べられそう?」


 にこにこしながら戻ってきたナディルは、ライナの目の前に真っ赤に熟れた果物を置いた。

「……ありがとう」

 ライナはお礼を言い、増えた果物(ノルマ)を一口齧った。


 その日は、何度か休憩をしながら走った。1~2時間おきに大丈夫?とナディルは尋ねてくる。ライナを気遣ってすぐ休憩をしようとするナディルに、昨日より大分慣れたから大丈夫だ、とライナはひたすら繰り返した。

 頑張ったかいがあってか、日暮前にはル=イースランに到着した。


「ありがとう、御苦労様」


 ナディルはスヴァジルファリの鼻を撫でてから札に戻した。


 ル=イースランの街はパラスロットより少し小さいが、華やかな街だった。

 亜麻色や灰白色の石造りの家々にパステルカラーのドアや窓枠が目に入る。道は細いが、至る所に緑が溢れている。街は坂になっていて、高台に見える教会は、精密な彫刻で飾られていた。

 後でじっくり見たいな、とライナは思いながら、取り敢えず、宿を探して歩いた。

 座りっぱなしのお尻が痛かった。暖かいシャワーを浴びて、早くベッドで休みたい。

 でも今日は先にちゃんと夕食を食べないとナディルに叱られる、と心の中で溜め息を吐いた。同じ過ちを2度は繰り返せない。また朝食攻めにあってしまう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ