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始まりの朝ごはん  作者: 桃縫ヌヌ
第1章 ランドビーの後悔
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9.チンタマダンス

ランドビーがゴーグルをつけた男チンタマに怒り、周囲が静かになった。


「B4隊、チンタマ以外、二手に分かれて、焚き火をを焚いて、制服で屋根を作りなさい。」


護衛兵トールが指示を出した。

ランドビーが怒り、緊張感の走る空気の中、隊員たちは少し離れたところにある木に二手に分かれ、屋根を作りに向かった。

雪がどんどん強くなり、言い争っている場合ではない。

護衛兵トール、ゴーグルをつけた男チンタマ、ランドビーの3人がこの場に残り、それ以外は屋根を作っている。


「なんか変なものつけてるやつ、お前は今の状況がどんな状況かわかってるのか?」


さらに、ランドビーはチンタマに怒りをぶつける

護衛兵トールは深く反省した。

自分と同じB3隊のランドビー、ポールトに責任を負わせすぎた。

まだ、9歳という年齢であることを甘く見ていた。

ランドビーとポールトはフルトム隊長の覚悟を肌で感じ、その悲しみ、悔しさを抱えながら、一切それを見せず、B4隊員を統率した。心のサポートも重要だとフルトム隊長が言っていたにも関わらず、このような事態を招いた。

ゴーグルをつけた男チンタマが口を開く。


「今の状況は敵に追われないようにこの場にとどまる。大雪対策として、たき火を焚いて、屋根を作る。この2つが今の状況だと思う。ランド、隊をまとめてくれてありがとう。」


チンタマは冷静に今の状況を話し、難しい状況で隊をまとめてくれたことへの感謝を伝える。 


「違う……違うって……隊長は2000の敵に突っ込んでいったんだ……」


ランドビーは悔しさ、悲しさが込み上げてくる。

チンタマは敵に突っ込んでいったことを知り、顔が青ざめる。

護衛兵トールはランドビー、ポールトより先に護衛に向かい、フルトム隊長が敵に突っ込むことは見ていないが、隊長が死を覚悟で、敵に突っ込むことは予測していた。

それでも、隊長を信じ、護衛に向かった。


「フルトム隊長はいつも合理的な判断をする方だった……だから、今回の敵襲でも、合理的な判断をして、隊長は逃げられると思っていた……でも、敵に突っ込んで行くことが合理的だったのだろう。そうか……隊長は……敵に突っ込んで行く前、どんな顔をされていた?」


チンタマは言葉に詰まりながら、ランドビーに尋ねる。


「お父さんのような優しい顔で笑ってた」


ランドビーが思い返し、涙をこらえ、そう答えた。


「そうか」


チンタマは大きいゴーグルに涙をため、崩れ落ちた。

2000の敵に向かって、突っ込んで行くことは死を意味する。

たき火と制服屋根が完成し、簡易的な家の中に、裸の男28人が火の回りに集まっている。

護衛兵トールの計らいで、チンタマとランドビーは同じ木の下で火を囲むことになった。

そして、ポールトもチンタマ、ランドビーと同じ木の下で過ごすことになった。


「さっきはすまなかったな、ランドビー。」


「俺も怒りすぎた。ごめんなさい。」


ランドビーとチンタマは素直に謝った。


「はい、仲直り!」


ランドビーたちより年下の男の子が笑顔でそう言った。

ランドビーとチンタマがあっさり仲直りしたことには、理由があった。


——10分前


『ランド、隊長が犠牲になったことも知らず、冗談を言ってしまった。本当にごめんなさい。もし俺のお願いを聞いてくれるなら、他の隊員に隊長が犠牲になったことを言わないでくれ。頼む。』


チンタマはB4隊の盛り上げ役であり、他の隊員の士気が下がらないようにランドビーにお願いをした。


『ああ、分かった。俺も変な奴だと思って、怒ってしまった。ごめんなさい。』


ランドビーはルイが誘拐される前よりも人の気持ちを少しは考えるようになった。


『許してくれて、ありがとうランド』


『ランド・ブレークファースト、ランドビーって呼んでくれ。これからは友達だろ?』


『分かった。国の朝ごはんか、良い名前だ。』


『俺はゴッド・チンタマ、チンタマって呼んでくれ。うーん……おっかしいな。俺の名前でみんな笑ってくれるんだけどな。意味はチンコとキンタマだぜ』


『あんま、笑えるほど元気がないだけだ。元気が出てきたら、望み通り、笑ってやるよ』



——現在


「よかった、よかったあれから仲直りできたんんだね――」


周囲から拍手が送られた。


「本当に仲直りできたんだな?」


ポールトは屋根を作っていたため、チンタマとランドビーが喧嘩したことを後から聞かされた。

当たり前にチンタマが悪いと思ったが、チンタマは反省してそうだったので、ポールトはこれ以上咎めなかった。


「ああ」


ランドビーは頷いた。

仲直りできたことはこの隊にとって朗報である。

しかし、気温はどんどん下がり、さらに、雪も強くなってきている。

隊員たちはなんとか寒さを耐え凌いでいるが、口数が少なく、顔色も悪くなっていった。

ランドビーとポールトは慣れているが、他の隊員はあまり慣れていない。


——まずいな……みんな耐えられないかもしれない


ポールトが危機感を感じ始めたとき、口を開いた男がいた。


「——みんな、苦しい時こそ、辛い時こそ、頭を回すのではなく、股間を回せ!レッツチンタマダンス!」


「チンタマー♪チンタマー♪股間をまーわせ♪チンタマー♪チンタマー♪股間をまーわせ♪」


突如、チンタマはそう言って、腰を回して、股間を回し始めた。

裸だから余計に生々しい。

初めはチンタマ1人で股間を回していたが、隊員たちは少し元気が出たのか、裸で股間を回し始めた。

その輪が徐々に広がり、全員が回し始めた。


「チンタマー♪チンタマー♪股間をまーわせ♪チンタマー♪チンタマー♪股間をまーわせ♪」


みんなで大合唱をしながら、股間を時計回り、半時計周りにぐるぐる回す。


「ランドビー、ポールトもやってよ」


年下にやってよというまなざしを向けられる。


「……チンタマー♪……チンタマー♪……股間をまーわせ♪」


乗り気ではなかったが、二人はちんこを回し始めた。


「これが裸の付き合いってやつだぜ」


チンタマは誇らしげに、股間を回しながら言った。


ランドビーは隊長が犠牲になったことを悲しく、悔しく、心の中で整理がつかなかったが、チンタマダンスを踊っていると少し気がまぎれたような気がした。

もう何時間踊ったか分からないぐらい踊り狂った。


「あ……そうだ俺の夢、2人に言ってなかったな。俺の夢は下ネタで世界を救うことだ!!あのフルトム隊長にも伝えて、お前ならできると背中を押してもらったんだ!」


周囲は大爆笑した。

反対に2人は笑えなかった。

なぜなら、チンタマが泣きそうな顔で言っていたから。

フルトム隊長が敵に突っ込んでいって、おそらくもうこの世にいないから。


「だからさ、笑ってくれよ!!」


チンタマはフルトム隊長の犠牲を誤魔化すように2人に言った。


夜が明ける朝日が昇ろうとしていた


エピソード9.チンタマダンスを読んでいただき、ありがとうございます。

感想、ブクマ、評価などしていただけると、とても嬉しいので、待ってます!!

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