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始まりの朝ごはん  作者: 桃縫ヌヌ
第1章 ランドビーの後悔
8/30

8. 飛び込め

ランドビーとポールトは隊長の時間稼ぎを無駄にするわけにはいかないと思い、懸命に走った。

B4隊員の姿が見えてきた。

B4隊員は必死に山を駆け上がっている。

ランドビー、ポールトは悲しみを感じないように前を向き続けた。

とんでもないスピードで2人はB4隊員に追いつく。


「B4隊員、今どこに向かってますか」


ポールトは元気がない。


「とにかく逃げてます。隊長命令なので」


隊員は簡潔に答えた。


「とにかく逃げるぞ、ポールト」


ランドビーはとにかく逃げ、敵から距離を取ることが重要だと伝える。


「ランドビー、隊長はどんな時でも情報を集めることが重要だと言っていた。この先隠れられる場所は知っていますか?」


ポールトは冷静に隊員に尋ねる。


「誰かこの辺の土地に詳しいやつはいないか!!」


ランドビーも隊長の言葉を思い出し、周りにいる隊員たちに大声で伝えた。


——今はただB4隊員を守る……それしか考えるな


「俺詳しいよ、この山を越えたら、川が流れてる。橋はここから東の方にあるから、東に移行した方が良い」


食堂で俺たちのことをほめてくれた人が情報をくれた。


「隊員たちよ、B3隊、ランド・ブレークファーストの命令だ!ここから東に移動しろ!ここから東に移動しろ!」


「川を渡った後はどうなりますか?」


ポールトが走りながら、ほめてくれた人に尋ねる。


「川を渡った後は二キロくらい平原が続きます。」


——平原か、隠れる場所はなさそうだ。平原で敵に見つかれば、全滅だ。もし、平原を抜けたとしても、その後がない。ポールトは頭を回し続ける。


「川の流れる先は最終どこに付きますか?」


ポールトはとにかく情報を集める。


「ごめん。分からない。」


「分かりました。ありがとうございます。」


ポールトは情報がない中で判断しなければならない状況になり、思考が停止する。


「ポールト悩んでる暇なんてない。情報ないなら飛び込むだけだ。 隊員たちよ!よく聞け!川が見えたら、川に飛び込め!川に飛び込め!非常事態以外陸に上がるな!!」


ランドビーは川に飛び込むことを即決し、大声で隊員たちに伝えた。

隊員たちは伝えられた情報を周りにも共有する。日頃の訓練で教え込まれていた。

雪が降り始め、凍えるような夜の寒さのなか、隊員たちは川に飛び込み始める。

ランドビー、ポールトも飛び込む。

体は凍るように冷たい、、それでも川の流れに沿って、とにかく泳ぐ。

ひたすらに泳いだ。


「隊長!!滝だ―――――――!!滝だ―――――――!!」


隊員の叫ぶ声が聞こえる。


「隊員たちよ、今すぐ陸にあがれ!今すぐ陸にあがれ!」


ポールトは陸にすぐさま上がり、叫んだ。

続々と隊員たちが陸に上がる。陸に上がるとまばらに木が生えてるだけで、辺りには特に何もない。

平原だから、敵に見つかりやすい。

川で移動したから、ここなら敵に見つからないかもしれない。


「ポールトこれはまずいぞ」


後ろから、ランドビーが声をかける。

夜の気温低下により、大雪になりそうだ。


「ああ、敵にやられるよりも、俺らが凍え死ぬ。

ランドビーここで待機して、隠れるか?変に動くと敵に見つかるかもしれない。」


ポールトもランドビーに同意した。冷たい川の中を泳ぎ、ずぶ濡れになっていることに加え、気温低下、大雪が降っている状態は死に直結する。そして、ここで隠れる選択をするか尋ねる。


「確かに。このまま逃げても凍え死ぬか、敵に見つかって、殺されるか、なら、ここで隠れた方がいい。

隊員たち、今すぐ集められるだけ、草木を集めろ!そして、ここから西側の大きな木の下に集合しろ!」


ランドビーは早急に草木を集めさせた。さらに雪が強くなる前に火をつけて、凍え死ぬのを避けなければならない。隊員たちは大きく返事をする。


「トールさんも無事でしたか。1つ質問があって、トールさんの意見を聞かせてほしいです。寒さを凌ぐために、火をつけると明かりで、敵に見つかる可能性が高くなります。一方で、火をつけないのであれば、寒さで死んでしまう隊員も出ると思います。どうしたらいいですか。」


護衛兵のトールの姿が見え、少し安心するポールト。

ポールトは寒さと敵どちらから身を守ればよいか分からなかった。

ポールトは隊員を守る責任と大雪の寒さで頭が回らなくなってきた。


「両方から身を守ることがベストだ。みんなで火を囲めば、敵から見つかる可能性は減る。

100人を超える隊員たちが全員火に当たれるようにするには、隊員を4分割しよう。

しかし、この大雪によって、火は消えてしまう。

それを回避するために、今着てる黒い制服を脱いで、木に制服をかけて、制服の屋根を作る。

できる限り、周りに火の明かりを見えないようにする。

それにこの濡れた制服を脱がないと、余計に体を冷やしてしまうから、どのみち、素っ裸でこの寒さを乗り切るしかない。」


「なるほど、それなら両方から身を守れる。大きな木に集合をかけましょう。」


そうして、護衛兵トールから訓練兵に寒さを乗り切る方法を伝えた。誰一人かけることなく、117名がこの木の下に集まることができた。


「女子が28名だから、女子全員、あの木で集まって、さっき説明したとおりにしなさい。」


護衛兵トールが隊をまとめていく。

ポールトも男子29名を率いて、制服の屋根を作りに行った。


「——私男なんですけど、女の子の方に混ざってきてもいいですか?」


突如、ゴーグルをつけた男が冗談を言う。


「ダメだ」


トールは笑いながら、チンタマの頭をポンと叩いた。


「やめとけよーーチンタマ」


「チンタマ女子の裸見たいだけじゃん」


隊員たちがツッコミをいれて、大爆笑している。

ランドビーたちより明らかに年上のチンタマというゴーグルをつけた男が訳の分からない冗談を言っている。


「——なんだこいつ、今そんなこと言ってる場合じゃないだろ」


ランドビーは頭に血が上り、今にも殴りかかりそうな勢いで短い腕を伸ばして、ゴーグル男の胸ぐらを掴んだ。

人が死ぬかもしれないのに、冗談を言っていることが理解できなかった。

フルトム隊長が命をかけて、時間を稼いでくれているのに、冗談を言っていることが理解できなかった。


周囲の笑い声が消えた。


エピソード.8「飛び込め」を最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

感想、評価、ブクマなどいただけると幸いです!

よろしくお願いします!


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ランドビーとポールトが抱える「ルイを一人にしてしまった」という後悔と、ルイを探し出したいという一心で過酷な道を選ぶ少年たちの姿に、胸が締め付けられました。 戦場の厳しい現実の中で、彼らがどのような運命…
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