5.この世界で生き抜くために
「うぉ----めちゃめちゃ大っきいーーーーな」
B隊の本部は見たことのない建物の大きさで驚くランドビー
「じいさん、ありがとう!!また、貸してね!」
これからも利用したいポールトはお礼を忘れない。
「ふぉふぉ、いつでも言ってくれ。またなお前さんたち」
「ありがとよーーじいさんーーー!!またなーー!!」
ランドビーは大きな声で手を振りながら、見送った。そして、東B隊本部の城門を叩いた。
門の中から出てきたのは槍を持った護衛の兵士だった。
「フルトム隊長はいるか?」
ランドビーは兵士を見上げながら、尋ねる。
「お前たちは誰だ?」
「ランド・ブレークファーストだ」
「プルノ・ポールトです」
「よし、入れ」
城は二重の構造になっており、門をくぐるとその先に大きな扉がある。城内は広大な敷地で草が生えている。さらに、100人を超えるB隊の制服を着た兵が訓練をしている。
「うぉーーーー」
ランドビーはこんな大量の人が一斉に訓練している様子を見て、なんかすげーと思った。
「フルトム隊長はその先の扉の中にいらっしゃる」
門から扉まで一直線になっており、二人は周囲の訓練生をみながら、歩く。
そして、扉を開けると二階建ての城になっており、一階には食堂があり、パンのいい匂いがする。
「ポールト腹減ったから、パンもらおうぜ!」
「待て待て、先にフルトム隊長に報告しに行こうぜ」
ポールトは不服そうなランドビーを置いて、食堂のおばさんにフルトム隊長の居場所を聞きに行く。
「二階の隊長室にいるわよ」
エプロンをつけているおばさんは微笑みながらそう答えた。
「ありがとうございます!」
ポールトはよだれを垂らしているランドビーを強引に引っ張り二階の隊長室をノックした。
「入れ」
隊長室の中は資料がたくさん置かれており、目の前にフルトム隊長は座っている。
フルトム隊長の背後はガラス張りになっており、中からは訓練兵が見え、大きな声が聞こえてくる。
「フルトム隊長、岩ヤギ50匹狩ってきました!」
ポールトは誇らしげに隊長に報告する
「二週間ちょっとか、結構早かったな」
隊長は顔を上げて、早かったと言っている割には当たり前だという顔をしている。
「おっさん、ルイの居場所を教えてくれ」
せっかちなランドビーはすぐさま聞いた。
「まあ落ち着け、ランド」
「落ち着いてられねーよ、ルイがいつ殺されるかわからねーんだ。」
「ルイの正確な場所は分からない。しかし、白黒のボーダーに誘拐されたのであれば、基本的に殺される可能性は低い」
隊長は仕方なく、答える。
「白黒のボーダーは誰なんですか?」
ポールトはすかさず隊長に尋ねる。
「白黒のボーダー集団は世界脱獄集団と呼ばれている。世界脱獄集団は一つのスローガンを掲げている。それは『人間の救済』。しかし、その集団の詳細な目的は不明だ。人を殺すことはスローガンに反しているから、ルイは殺されていないだろう。だが、怪しい集団であることには変わらない。お前たちが責任を持って、助け出してやれ」
隊長はまた、仕方ないという顔をしながら、2人に伝えた。
二人は深く、頷いた。
「お前たちこの世界で生き抜くために大切なことはなんだ?」
唐突にフルトム隊長が尋ねる。
「急になんだよ、そんなの食料に決まってるだろ」
ランドビーは頭を使わず答える。
「俺も食料だと思います」
ポールトは少し考えてから答えた。
「そうだ。他には?」
二人はほんの少し考えてから、ポールトが口を開く。
「身体能力ですか?」
「もちろん必要だ。そのほかに大切なことは?」
二人は黙り込んだ。考えに考えた結果、ランドビーが口を開く。
「分からん」
隊長は少し笑い、「お前たちは仕方のないやつらだ」というような顔を浮かべた。
「情報だ。」
「情報?」
ランドビーは不思議そうな顔をして、尋ねる。
「もちろん、お前たちが言ったように食料、身体能力は必要だ。それと同じくらい重要なことが情報だ。動物を狩る時、狩りやすい天気、狩りやすい場所、さらにはその動物の習性。それをお前たちは自然に判断して、動物を狩っている。しかし、今ここで特訓しているB隊の訓練兵は動物の狩り方を知らない。お前たちもルイを探すために、何をすればよいか分からない。私は特別にお前たちに世界脱獄集団の情報を教えたが、自分に何の得もなく、情報を教えてくれる人などいない。これから先、どんな状況でも先に情報を集めろ。そうすれば、ルイを探し出せるはずだ。」
二人は頷いた。
「では、岩ヤギを見してもらおうか」
そう言って、隊長は部屋を出る。二人も隊長に付いていく。
「さっきの『ここで特訓してる兵が動物の狩り方を知らない』というのはどういうことですか?」
隊長室で話していたことに疑問を抱えていたポールトが先を歩く隊長に尋ねる。
「そのままの意味だ。お前たちはできるやつらだと思ったから、訓練をせずに岩ヤギ狩りをさせた。」
二人は隊長に初めて、褒められてニヤニヤしている。
「ははは、やはりおっさん見る目はあるみたいだなははは」
「勘違いするな。ここの訓練兵はB4に所属している兵だ。まだまだひよっこだ。ルイを探し出すためには、最低でもB2には所属しなければ、難しいだろう。B4の仕事は食料。B3だと国内の防衛が主な仕事になるからな。B2でようやく、国外の仕事も任されるようになる。B1は自由に仕事ができる。自由に仕事ができるといっても、国王の命令は絶対であるから、完全な自由はないがな」
そして、外に出て、岩ヤギ50匹を自慢げに見せつける二人。隊長は二人の頭を撫でて、「よく頑張ったな」
そう伝えた。
頭を撫でられた2人はなんか認められて、意表をつかれた。隊長は厳しいと思っていたから認められることなどないと思っていた。
「お前たち今日の訓練は終了だ。今からご飯だ。」
隊長は本部の敷地で訓練していたB4兵に伝える。
「やったーーーーー!!」
100人を超える訓練生たちが今日一番大きい声で飛び跳ねている。
「俺も腹減ったぜははは」
ランドビーはすぐにお腹が減る。
「ところで、岩ヤギがルイを探すことにどうつながるんですか?」
ポールトが隊長の後ろを歩きながら、尋ねる。
「B4からB3に上がるためにはBポイントが1000ポイント必要で、岩ヤギ一匹につき、20ポイントだ。50匹狩るだけで1000ポイント達成だ。一番手っ取り早いのが岩ヤギ狩りということだ。だから今日で2人はB4隊卒業だ。おめでとう。」
隊長が優しい顔をして言うから、2人はまた意表をつかれた。そして、卒業という言葉は予想だにしていなかったため、動揺した。
「俺おっさんにもっと教わりたかった」
ランドビーは涙目になりながら、うつむきながらボソッと言った。
「俺も隊長にもっと・・・」
ポールトも今にも涙が溢れ出そうなのを堪える。
「ルイを急いで探すんだろ?ランド、プルノ」
二人はまた頭を撫でられた。ランドビーは涙がこぼれないように上を向きながら、ポールトは涙を隠すことなく、声を震わしながら、返事した。
「さあ、二人の卒業祝いだ。二人が狩った岩ヤギ25匹を調理してもらって、みんなでいただこう。残りの岩ヤギは国に納める。これが国に貢献するということだ。B隊は国に貢献するから尊敬され、特別な待遇が用意される。それを忘れるな。」
「はい!」
今日は珍しく気候が安定しており、夕暮れが綺麗だった。
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