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始まりの朝ごはん  作者: 桃縫ヌヌ
第2章 A国決戦
32/36

32.B隊に入った理由

——世界脱獄集団……聞いたことがあるけど、詳しくは知らない謎の集団


マリアはコットンを追いかけながら、世界脱獄集団について、頭を巡らせる。


「あれ〜〜焦ってるの〜〜」


コットンは矢を放ち、マリアから逃げ続けている。

そんなコットンの矢を避けて、問いかけも無視をする。

ヘルビン対ガリオラの戦場に近づくにつれて、大きな声が聞こえてきた理由がはっきりする。


黒と白のボーダーの服を着た5000騎を超える世界脱獄集団とみられる集団が戦場を荒らしていたからだ。

しかし、ヘルッピー団の状況が分からない。


——ヘルビン隊長は無事なのか……逃げ切れるのか……

  かといって、私にできることはない。

  とりあえず状況を確認するか……


しかし、マリアは重要なことを思い出す。


——ブレークファーストくんとポールトくんは!?


マリアはコットンを追いかけるのに必死で、ランドビーとポールトを置いてきていたことを失念していた。


マリアは急に方向転換をして、コットンを追うのを諦め、ヘルビンのいる方向とは逆の暗闇に向かう。


「あれ~~逃げるの~~逃げても全滅するだけだよ~~」


コットンは高笑いをしながら、ヘルビンとガリオラの戦場に向かう。

しかし、マリアはまたも問いかけを無視して、逆方向に走る。


——世界脱獄集団がB隊を狙っているなら、B隊は全滅してもおかしくない。でも、それでも、私は何がなんでもブレークファーストくんとポールトくんをB国まで送り届ける。

それが私の使命だと思う。


マリアはさっき戦っていた場所まで全力で走った。

A隊、ヘルッピー団の兵、馬が倒れているのを横目に、懸命に走る。


「ブレークファーストくん!?なんでここまで来てるの!?」


マリアがさっきの場所まで向かう途中、ランドビーとすれ違い、急停止する。


「ヘルビン様に援軍を……頼もうと」


ランドビーは痛みを我慢しながら、ヘルビンの戦場に倒れていた馬を起こし、馬に乗って向かっていた。


「そっか……ありがと。でも、もうそれどころじゃない。……とにかく逃げるよ。ポールトくんは?」


「はあはあ……ニットとヘルッピー団を呼びに行った」


ランドビーは呼吸を荒くして、答える。

マリアはそれを聞いて、周囲の倒れている馬のなかで一番元気な馬を探し出した。


「よいしょ。さあ、ポールトくんを見つけて、B国に逃げるわよ。」


マリアはランドビーを軽々持ち上げ、馬に乗せた。

そして、マリアもランドビーの前に乗った。


「どの方向行ったか分かる?」


「……暗いほうに行った」


マリアはランドビーの指さした方向へ、馬を走らせる。


「コットンは?」


「諦めたよ。B隊の仕事はB国を守ること。自分勝手な理由で人を殺してはいけないのよ。私は忘れかけていたわ。B隊失格ね。」


「俺も失格だ……」


「子供はそれで問題ないわ。」


「……」


——問題だ。俺がもっと大人だったら……ルイは……隣にいた。


2分ぐらい馬で走った後、前方から松明の光がたくさん見えてきた。

マリアは人差し指を唇に当てて「しーっ」というジェスチャーをして、マリアは馬から降りて、身を潜める。

ランドビーはマリアに抱っこされて、馬から降りる。


90騎ほどの馬がマリアとランドビーに近づいてくる。


——ニットだ


B隊の制服を着たヘルッピー団90騎がヘルビンの戦場の方向へと向かってきていた。


「ポールトくんはいますか?」


マリアとランドビーは馬に乗って、姿を現し、向かってくるニットに話しかけた。


「ビックリしたっぽ。なんでっぽ?」


「ポールトはいるか?」


ランドビーがマリアの後ろから顔を出し、尋ねた。


「ランドビーよく生きてたっぽ。

ポールトはいるっぽ。

応急手当はしたけど、早く本格的な手当てをしないとまずいかもっぽ。」


「ポールトくんを私に任せてください。」


マリアが落ち着いた声で言う。


「ランドビーとポールトがヘルッピー団に所属しているのを分かって言ってるっぽ?」


「はい。手短に話しますが、ヘルビン隊長の戦場とA隊ナンバー3のシエが戦っている戦場に敵の援軍が来たと思われます。危険な状態なので、怪我人は私に任せて、援軍に行くべきだと思います。」


「どのみち行くつもりであったっぽ。

とりあえず2人は連れていくっぽ。

あなたに2人は任せられないっぽ。」


「分かりました。」


——2人が危なくなったら、2人を連れて絶対逃げてやる


マリアは内心とは裏腹に素直に返事をした。



ニットは焦る様子を見せず、馬を走らせた。


「敵の援軍の数はいくつっぽ?」


ニットは馬を走らせながら、マリアに尋ねる。


「およそ5,000騎かと」


「強さはどのくらいっぽ?」


「世界脱獄集団と思われる集団なので、正確な強さは分かりません。」


「なんだと!?」


ランドビーは反射的に大きな声を出す。

そして、ランドビーの脳に衝撃が走った。


「……世界脱獄集団?」


ポールトも意識がままならない中、口を挟む。


「どうしたの?そんなに驚いて」


「——その俺とポールトは世界脱獄集団を探すために、俺らの親友を探すために、B隊に入ったから……

今日、絶対ルイを連れて帰る。必ず。絶対だ。」


ランドビーはマリアの服をギュッと強く握って、戦場の方向を見る。


「……今日で決着をつけよう」


ポールトは意識が嘘のように戻り、乗せてもらっている馬の上で立ち上がった。


「ポールトお前いけるのか?」


「当たりめーだ。このために今まで頑張ってきたんだろ。」


ポールトのお腹と足には、B隊の制服で作られた包帯が巻き付けられていた。


「ランドビー、ポールト……ヘルビン様とルイならどっちを選ぶっぽ?」


ニットはふと疑問に思った。


「ルイ」

「ルイ」


2人は即答する。


「それはだめっぽ。ヘルッピー団に入ってる限り、ヘルビン様の言う事は絶対っぽ。」


「確かにな。じゃあ、ヘルッピー団を抜けてやる。」


「ヘルビン様の許可なく、抜けることは無理っぽ。」


「そんなことは1度も言われてない。

言われたのは

ヘルビン様と呼ぶこと。

ヘルビン様の言う事には絶対従うこと。

この2つだけで、ヘルッピー団を抜けてはいけないとは言われてない」


「生意気すぎるガキっぽ。」


ニットは悔しそうで、でも少し嬉しそうな、少し懐かしいような表情を浮かべた。


「この場にヘルビン様はいないし、ニットが勝手に決められることではない。」


「分かったっぽ。

今抜けるのはやめてっぽ。

俺がヘルビン様に怒られるっぽ。

ルイを選んでいいから、抜けるのはやめてっぽ。」


「約束だぞ。俺たちはヘルビン様じゃなく、ルイを選ぶからな。」


「約束っぽ。」


ランドビーは満足気な表情を浮かべる。


ルイがこの場にいないかもしれないし、最悪の場合、ルイはこの世にいないかもしれない。

でも、そんなことはランドビーとポールトにとって、関係がない。

必ず、ルイをB国に連れて帰る。

その一心だけだった。


「ポールトくんこっちに乗りなさい。」


マリアはいつでも逃げられるようにポールトを手元に置いておく。


「はい。」


ポールトはマリアとランドバーが乗っている馬に飛び乗った。

ニットはマリアを睨んだが、それ以上言うことはなかった。


「ブレークファーストくん、止血できる?」


「できる。あと、ランドビーって呼んで。」


「分かったわ。ランドビーくん。」


ランドビーは必死すぎて、自分の足なんて、どうでも良くなっていた。

ランドビーは自分の制服をちぎって、足に巻きつけた。

話しているうちに、ヘルビンの戦場の光が遠くに薄っすら、見えてきた。


「とにかく、ヘルビン様はどんな敵が来ようと必ず無事っぽ。

なぜなら、ヘルビン様は天才だからっぽ。

必ず、みんなでB国に帰るっぽ。」


ニットの呼びかけに、ヘルッピー団とマリアが大きな声で応えた。

エピソード32.B隊に入った理由を最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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