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始まりの朝ごはん  作者: 桃縫ヌヌ
第2章 A国決戦
29/30

29.ポッポッポモード

「目の前の敵をなぎ倒せっぽーー」


ニットは馬のスピードをあげて、コットンに対して、突進した。

もちろん、コットンは後方で構えているため、容易にたどり着けるものではない。


「置いて行かれるなよ」


ヘルッピー団の隊員がランドビーたちに声をかける。


「当たりめーだ」


ランドビーは舐めるなと言わんばかりに馬のスピードを上げる。

ランドビーとポールトは幸いなことに最後尾の位置をゲットし、前にいる先輩隊員が敵をなぎ倒していく。


「いける…いけるぞ」


ポールトは「大切な人の盾になる」という目標が揺らいでいるなか、なんとか置いて行かれないように馬を進ませる。


「いけっぽ、いけっぽ」


ニットは勢いよく敵をなぎ倒していけると思った……


——シュッシュッシュッ


三本の矢が三連続で飛んできてニットが急停止する。

コットンは味方に矢が当たらないように山なりに矢を放った。

コットン500騎vsニット300騎

初動のニットの攻撃だけで数の差を埋めることができたが、コットンも黙ってはいない。


「そんなイノシシみたいに突っ込んでこないでよ~~ヘルビンのおまけがさ~~」


松明で照らされた紫とピンク色のツインテールのワンダー・コットンが不敵な笑みを浮かべている。

ニットの勢いが弱まり、周囲のA隊に囲まれる。


「ニット様をお守りしろーー」


経験の浅いヘルッピー団の隊員たちはニットの護衛をするために、ニットの元へ集まってくる。


「こっちにくるなっぽ!」


ニットは大声で隊員たちに伝える。


——シュッシュッシュッシュッシュッシュッ

コットンはその隙を見逃さず、3本の矢を6連続で放った。

ニットに1本の矢は防がれたが、残りの17本の矢が隊員たちに突き刺さる。

いつの間にか、A隊500騎の中央にぽっかりと穴が開き、その開いたスペースにヘルッピー団が飛び込んでくる。

ヘルッピー団が開いたスペースに飛び込んでくる光景はまるで虫が光におびき寄せられるようだった。

ヘルッピー団のなかで経験の浅いメンバーが集まった結果が招いた事態である。


「囲まれたぞ……ポールト絶対敵に背を向けるなよ」


「ランドビーのほうこそ絶対するなよ」


ヘルッピー団は敵に完全包囲される。

それでも、皆が背を預け、敵と向かい合う。

ニットはヘルビンとは違って、頭を使うというより、武力で制圧するタイプの隊員である。

だから、こういう状況になったときに取る選択はいつも決まっている。

しかし、これだけピンチの局面は3年前の大戦以来である。


「敵をなぎ倒せっぽーー」


「うおおおおおおおーーーー」


ヘルッピー団は声を荒げ、敵に立ち向かっていく。


「脳筋だね~~あいつらが来る前に全滅しちゃうんじゃな~~い」


コットンはニヤニヤしながら虫のように集まっているヘルッピー団にめがけて、丁寧に矢を打ち込んでいく。

3本の矢は驚異のエイム力を誇り、味方にほとんど当たることなく、ヘルッピー団を地に沈めていく。


「チッ……ついてこられるヘルッピー団、俺についてこいっぽ」


ニットは舌打ちをして、コットンの方を見る。

コットンの前には、A隊隊員が大量に立ちはだかっている。

当然、囲まれたなかで、コットンの前がどの場所よりも一番敵が多い。

ヘルッピー団の隊員たちはニットの指示を聞き、敵と戦いながら、ニットの後ろに集まっていく。


「ポールト……ニットのところいくぞ」


ランドビーとポールトは持ち前の俊敏性を活かすために、馬を下りて戦っていた。

そして、ランドビーは馬に乗り込み、ポールトに伝えた。

——なんかポールトいつもより判断が遅い……


「……もちろんだ」


ポールトは目の前の馬に乗った敵の腹を刺し、馬に乗り込む。


「ポールト、目の前の敵に集中しろ」


「してるよ」


「チンタマのことは気にすんな」


「気にしてない」


ランドビーは首を傾げ、ニットのところへ向かう。

しかし、ニットはもうすでに敵に突進を始めていた。


「急ぐぞポールト」


「ああ」


ニットは馬からおりて、さっきとは別人みたいなスピードで敵を葬っていく。

後ろに続いている100騎まで減ったヘルッピー団はニットについていくことができない。


「……なんなんだあいつ」


ランドビーはニットの別人のようなスピードをみて、唖然とした。

ポールトも自分の目標に疑念を抱いているなか、口をぽかんと開けた。


「ニット様のポッポッポモードはB隊で2番目に速いと言われている。

けど、2分間限定だ。2分を過ぎると……」


ヘルッピー団の先輩が言った。


「ポッポッポモード……?」


ランドピーが訳の分からない単語に反応する。


「そう、ポッポッポモード。ニット様がピンチになった時に使う必殺技。なかなかお目にかかれないよ。」


「……ナンバー13なのにB隊で2番目ですか……?」


ポールトが疑問に思い、質問をする。


「ニット様はいつもヘルビン様に手柄を取られてるからね。戦闘力だけでいったら、B隊で3本の指に入ると思うよ。」


——いつも「っぽっぽっぽっぽ」言ってるのに、そんなに強いんだ……


ランドビーは人は言動で判断できないと思った。


「——A隊全員私の前に集まれ」


戦場にいたA隊、ヘルッピー団はニットの異次元の速さに呆然と立ち尽くしていた。

次々とやられるA隊のなかで唯一反応したのがコットンであり、コットンはニットに矢を放ちながら、A隊に指示をした。

しかし、ニットには全然矢が当たらない。

指示を受け、ワンテンポ遅れて、A隊がコットンの前に集まってくる。

240騎まで減ったA隊は続々とニットに倒されていく。


「ニット様に続けーーーー!!」


100騎のヘルッピー団がニットに続く。

ニットは1秒の間に2人の敵を倒して、1分間で120騎倒した。


「くっ……ヘルビンのおまけが」


コットンは護衛の10騎を連れて、ニットに距離を取るように逃げながら、矢を放つ。当然、ニットに矢は当たらない。


「コットン潰しにいくぞ、今がチャンスだ」


「ああ」


ランドビーとポールトは松明を消し、馬をおりて、こっそりとヘルッピー団を抜け、外側からコットンの方へと向かった。

戦場にいる全員がニットに注目している。

ランドビーとポールトはニットが注目されている今がチャンスだと思った。


一方でコットンはニットに矢を当てるのではなく、ヘルッピー団の100騎に狙いを定め、3本の矢を放ち始めた。


「ぐはっ」


ヘルッピー団の隊員に矢が突き刺さった。

正確に放たれる矢が次々とヘルッピー団に突き刺さる。


「逃げろ逃げろ」


ヘルッピー団はコットンの矢が突き刺さらないようにコットンから距離を取った。


ニットは30秒の間で60騎を倒して、残る敵は50騎とコットンの周りにいる10騎とコットンのみとなる。


——耐えろ耐えろ"あいつら"が来るまで


コットンは心のなかでつぶやく。

コットンはニットから見て右側に距離を取っていく。

ニットは25秒でA隊50騎を葬った。


ニットの活動時間残り5秒


——なんなのこいつ

いきなりコットンと護衛用の10騎の目の前にニットが現れ、ニットは4騎の護衛を葬る。

コットンはあまりの速さに驚き、フルトムとの戦いでも使用した緊急用のボタンを押して、弓を発射し、ニットの心臓を狙う

ニットは護衛兵を無視して、コットンの首を切ろうとしていたが、急停止し、急遽ニットから放たれた矢を回避すること、その一点に全神経を注ぐ。

ニットは心臓を回避することには成功するが……腹に矢が貫通する

——このままでは終われないっぽ

ニットは矢を避けようとしたため、後ろ重心になっているが、剣を振るった

コットンの護衛4騎が体を張ってコットンを守り、惜しくもコットンには剣が届かなかった


「はぁはぁはぁぁぁはぁぁはぁゲホッゲホッ」


ニットは地面にうずくまり、呼吸困難に陥った。


「ニット様――――――!!」


ヘルッピー団は、まさかニットがコットンの方まで向かうとは思っておらず、急いでニットの元へ向かう。

コットンはニットにトドメを刺そうと、3本の矢を構えた


「——潰せぇぇぇぇぇ」

「——どりゃゃゃゃゃ」


コットンの背後から小さな2人の少年が高く飛び上がった

エピソード29.ポッポッポモードを最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

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