23.少し怪しいっぴ
「ランドビー……ごめん。俺が捕まったせいで……」
ポールトは護衛兵から解放され、立ち上がって、少し先にいるランドビーに謝った。
カルロス副隊長のチームに入らないと即決したランドビーがヘルビン隊長のチームに入ると即決したから、責任を感じた。
「ポールト!!ラッキーだろ!!ピッピ野郎のチームに入ったら、ルイが見つかるかもしれねえし!!分からんけど!!」
ランドビーはテンションがあがっていた。
なぜなら、心のままに生きればよいとホープおばあちゃんに言ってもらったことが自信となっているからだ。
「ちょっと通してくれ!!仲間が入っていったんだ!!」
チンタマはポールトがスルスルと兵の間を抜けていったことに気が付かなかった。
ポールトが馬に乗っている護衛兵に飛び上がったのをみて、気が付き、遅れて追いかけた。
「ポールト!!ランドビー!!大丈夫か!?」
チンタマはランドビーとポールトの姿を捉え、大きな声で尋ねた。
「チンタマおせーぞ!!」
ランドビーは笑いながら言った。
「チンタマ俺たち……ヘルビン隊長のチームに入ることになった」
ポールトが落ち込んだ様子で言った。
「え!?」
チンタマは目を大きく見開いた。
「お前たち、ヘルッピー団に入るにあたって、2つのルールがあるっぴ。
一つ目、ヘルビン様と呼べっぴ。
二つ目、私の言うことには絶対従うっぴ。
これを守れないなら、死んでもらうっぴ。
特にランドビーっぴ。」
ヘルビンは怒りを隠して、平坦な声で命じた。
「分かったよ。ヘルビン……様」
ランドビーは素直に従った。
そうして、ランドビー以外に遅刻した民兵を皆殺しにして戻ってきたヘルッピー団の騎馬が帰ってきて、ヘルビン隊長は約7000人となった兵に号令をかけて、再び、侵攻を始めた。
村の近くの大きな森は一本道となっており、明らかに敵に狙われやすい道を進んだ。
村に着くまでは民兵、B3、B1、B2の順だったが、大きな森に入るときは民兵、B3、B2、B1の順で森に入っていった。
ランドビーたちはヘルッピー団となったので、もちろんB1隊に入れてもらった。
「ヘルビン様良かったのですか?ガキをヘルッピー団に入れて」
森の中、ヘルビンの隣で馬に乗って歩く側近の護衛兵が尋ねる。
「良い手駒は手に入れとくっぴ。」
ヘルビンは純粋で子供のような笑顔を見せた。
護衛兵はヘルビン様が「本当に戦争が好きだ」と思って、恐怖を覚えた。
「ランドビー、その手に持ってる骨は捨てなくていいのか?」
チンタマが歩きながら尋ねた。
B1隊全員が騎馬に乗っているが、ランドビーたちだけ、徒歩である。
「ああ、心のままに生きる証だ。」
ランドビーは鳥の骨を見つめて言った。
「聞きづらいけど……おばあちゃんはなんか言ってた……?」
ポールトは聞くかどうか迷ったが、このまま一生聞かないのもおかしいと思って、尋ねることにした。
「死んだよ……でも、幸せそうだった。俺に感謝してくれたし、お前たちにも感謝してると思う。
あと、おばあちゃんに「心のままに生きなさい」って言ってもらった。
だから、俺は心のままに生きる。」
ランドビーはもう一度、鳥の骨を見つめて言った。
もう泣くのをやめて。
「そっか……」
ポールトは泣くのを我慢しようと上を向いて、歩いた。
チンタマは涙を流しながら、熱い大地を歩いた。
森に囲まれた一本道……
カルロス副隊長は不穏な空気を感じ取っていた
それでも、ヘルビン隊長の命令は絶対であり、従うほかない。
——敵だーーーー!!
民兵が叫んでいる。
1本道の前方にA隊が待ち構えていた。
「メンタ何人いるっぴ?」
ヘルッピー団所属、視力がとんでもなく優れているメンタ・マーチはヘルビンに尋ねられた。
「2万弱います。」
「……わかったっぴ。」
ヘルビンには精密な情報がある。
その情報力から導き出される答え
——これは……少し怪しいっぴ。
この世界の地図は以下である。
B国は1番南で、西からE国、C国、A国と隣接している。
そして、1番北にD国があり、C国は全ての国と隣接している。
周りは海に囲まれている。
ヘルビンの情報だと各国の人口と各隊の数は以下である。
B国500万人B隊25万人
Ⅾ国300万人Ⅾ隊15万人
A国200万人A隊10万人
E国200万人E隊 10万人
C国100万人C隊 5万人
大体の数字ではあるが、ヘルビンの情報と実際の情報はほぼ合致している。
——前方に2万人もいるのは少し怪しいっぴ。
多くて10万人しかいないA隊。
C国は全部の国と交友関係を築いている。
しかし、A国はⅮ国と隣接しているため、防衛に最低4万人は必要。
A国の国王のために、2万は手元に残しておきたいはずである。
A国の民兵を使って、数を増やした可能性は脅威にならないし、A隊も不本意であるはずだから、考える必要がない。
じゃあ、残り4万。
森を抜けた先はA隊有利の地形で丘になっている。
わざわざ森で勝負をかける必要はない。
せいぜい、B隊を削る程度のはずだ。
前に2万人は勝負を急ぎすぎっぴ。
——敵襲!!敵襲!!後方から2万の敵!!後方から2万の敵!!
——敵襲!!敵襲!!横側からおよそ3000の敵!!横側からおよそ3000の敵!!
——敵の数……計4万3000……完全にハメられたっぴ。
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