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始まりの朝ごはん  作者: 桃縫ヌヌ
第2章 A国決戦
22/30

22.心のままに生きる

「ホープおばあちゃんありがとう。

俺が戦争のない綺麗な世界を見せてあげるから、天国でも元気にしててね。」


——俺は心のままに生きればいい。

  ホープおばあちゃんがそう言ってくれたから。


「行ってきます」


ランドビーは食べ尽くして、骨だけとなった鳥を持ち、家を出て、空を見上げた

空の青さと真っ白な雲が綺麗だと思った。

熱い大地を一歩、また一歩強く踏みしめた。


「……いってらっしゃい」


ホープおばあちゃんは微笑みながら、呟いた。

ランドビーにこれ以上背負わさないように、死んだふりをしたおばあちゃんはもう少し、この薄暗く汚い天井を眺めていたい……そう思った。



「ヘルビン隊長、なぜB3兵と民兵だけに、村の食料を与えたんですか?

明らかに村の方が豪華な食事ですよね?」


B3隊と民兵が大きな村の食料を漁っているのを待っている間、カルロス副隊長がヘルビン隊長に尋ねた。

B1、B2には芋だけが配られ、いつもと比べれば、かなり貧相な食事だ。


「今日が終わるころには分かるっぴ。」


ヘルビンは意味深なことを言い残し、簡易式の建物の中に入っていった。


本当に掴みどころのない人だ。

普通、この暑い気温でB3隊員と民兵をB1、B2の隊員が待つなんてことはあってはならない。

それももう30分以上は超えそうである。

それから少し経って、ようやく少しずつではあるが、B3隊員、民兵が戻ってきた。


「全員揃ったっぴ?」


「民兵が16人、B3隊員が1人戻ってきてません。」


側近の護衛兵がヘルビンに伝える。


「そいつらは何をやってるっぴ?急いで探してこいっぴ。

そいつらが怪しいことをしていたら、殺せっぴ。」


ヘルビンの直属兵、ヘルッピー団の数人を村に向かわせた。

ヘルビンは多少の誤差も許さない。

怪しいことというのは、B隊を裏切るような素振りやB隊に何か不利を被るようなことである。

ヘルビンは腕を組み、首を傾けながら、馬の上で待った。


「おばあちゃん……おばあちゃん……」


チンタマはB1、B2が待っていたところに戻ってもなお、泣いていた。


「これが……この世界の現実なんだ。」


ポールトは目に涙を浮かべ、悔しさを嚙み殺す。

——戦争がなくなれば、こんなことにはならない


「ランドビーあいつ……あの家に残ることにしたのかな……」


チンタマは不安そうな面持ちで、ボソッと言った


「……ランドビーは現実を受け止めることができるやつだ。」


ポールトは2年近く、ランドビーとルイとともに、動物を狩ってきた。

雨の日も雪の日も45度を超える日も一緒に狩ってきた。

大嵐で動物が狩れない日も家の中で遊び、喧嘩し、笑いあった。

ずっと一緒だった。

ルイが連れ去られるまでは……

それでも、3人の絆は消えない


「……そうだな。ランドビーを信じよう」


そう言って、ゴーグルを外して、チンタマは目をつぶった。


「…………」


「…………」


「……俺らのリーダーは強い。」


ポールトは当然のことのように言った。


「ランドビー……」


チンタマはゴーグルをつけ、ゆっくりと目を開け、ランドビーが歩く姿をその大きなゴーグル越しにとらえた。

時間に遅刻しているにもかかわらず、ランドビーはゆっくりと歩いてくる。

決意表明かのように。


「あのガキっぴ。

私のことを舐めてるっぴ。

近くに来たら、打てっぴ。

指示するっぴ。」


ヘルビンは怒りを表情には見せず、側近の護衛2人に伝える。

ランドビーはゆっくりゆっくり足を進める。


「……ランドビー!!お前ってやつは」


チンタマは大声をあげる。

ランドビーは何も反応せず、歩き続ける。

ポールトたちのもとまで10メートルを切ったところだった。

ヘルビンが首で「打て」と指示した。

一瞬だった。

ランドビーに向けて、矢が放たれた。


「ランドビーー!!」


ポールトは反応した。時が止まって見える。

しかし、矢を見送ることしかできない。

——大切な人の盾になるんだろ

ポールトは兵たちの間をスルスルと抜けていく。


「…………」


ランドビーは黙って、矢を華麗に回避した。

そして、また歩き始める。

二本目の矢が飛んできても、また華麗に避ける。

まるで蝶のように。

ポールトは間を抜け、ヘルビンの懐まで到達し、高く飛び上がり、乗馬しているヘルビンに剣を振りかぶった。

しかし、ヘルビンの側近の護衛兵に防がれ、逆にカウンターを喰らった。


「ポールト!!」


ランドビーは久しぶりに叫んだ。

そして、全速力でヘルビンのところへ駆けていく。


「っああああ」


ポールトは地面に叩きつけられ、背中を強打する。

護衛兵は倒れているポールトを完全に抑え込んだ。


「どうしますか?ヘルビン様」


「やめっぴ。やめっぴ。

ランドビーとかいうガキっぴ。止まれっぴ。

ポールトとかいうガキを殺されたくなかったら、ヘルッピー団に入れっぴ。

5秒で決めろっぴ。」


B3兵がナンバー3のチームにスカウトを受けるなど、異例中の異例である。

普通はB1に上がったチームがようやくナンバー10以内のチームからスカウトされるものである。

ランドビーはヘルッピー団の兵の前で立ち止まる。


「5っぴ。4っぴ。さんっ」


「入るからやめろ」


ランドビーはあまり考えずに入ることを決断する。

ポールトの命に代えられるものはない。


「……ランド……ビー……俺のことは……いいって」


ポールトは護衛兵に押さえつけられながらも声を出した。


「ポールト、俺は心のままに生きるって決めたんだ。

俺が入ってもいいと思ったんだ。

ただそれだけだ。」


ランドビー、ポールト、チンタマはナンバー3ヘルビンのチーム、ヘルッピー団に入ることになった。

エピソード22.心のままに生きるを最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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