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始まりの朝ごはん  作者: 桃縫ヌヌ


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2.ランドビーの決意

「ポールト、今までのこと、昨日のことルイに謝りたい」

今日は昨日と変わって、鼻が真っ赤になるほど寒く、異常なほど雪が降り、腰の高さほど積もっていた。

「もちろんだ」

そう言って2人は無言で歩き出した。雪のせいで食糧は確保できないが、今はただ歩きたかった。ルイがいなくなってしまった現実、ルイが死んでしまったかもしれない不安、とにかく体を動かすほかなかった。

「なあ、ポールトB隊に入ろうぜ」

「B隊って?あの?」

「ああ」

ビッグピースパンキープ国、通称B国を守るバター隊、通称B隊。3年前の大戦で、B隊なくしてビッグピースパンキープ国はないと言われているほど貢献した隊である。

「なんで?」

「昨日、お母さんから聞いたんだけど、B隊がルイを追ってるらしい。俺はルイを探すためにB隊に入りたい」

「確かに俺のせいでルイを1人にさせてしまった。方法がそれしかないなら、B隊に入ろう」

「いや、俺のせいだ。ポールトのせいではない」

2人はルイを一人ぼっちにさせてしまった責任を自分だと言い張る。」

「B隊結構厳しいらしいぞ」

ポールトは少し不安そうな声で弱音を漏らす。

「そんなの関係ない。ルイに必ず謝る」

「ははは、なんかお前変わったな」

「……変わってねー」

「俺もルイに謝りたいし、ランドビーについてくよ。あと、ランドビーは攻撃しか頭にないから俺が盾となってやるははは」

「盾なんかいらねーよお前だけ守っとけ」

ルイが生きていることを信じて、そして謝りたいただその一心でB隊に入隊することを決心した。

「で、どうやってB隊に入隊するんだ?」

「は?それは盾の仕事じゃねーから」


かじかむ手を思い切り叩きつけ、ランドビーは大雪のなか、ドアをノックした。近所のB隊の人の家だ。ランドビーの家は石で出来ているが、近所のB隊の家は木で出来ている。石よりも木の方が貴重であり、大雪の時に暖かい。

少し経った後、足音が少しずつ聞こえて、

「はーい」

とドアを開けたのは茶髪の40代くらいの綺麗なおばさん。

「おばさん、ヤードおじさんいる?」

ランドビーはドアが開いた後、間髪を入れず、聞きたいことを思いのまま聞いた。

「誰がおばさんや」

音速の速さで鈍い音とともに頭をグーで殴られる。痛い。

「綺麗なビコお姉さんお邪魔しまーす。」

ポールトはランドビーと違って、人が喜ぶことを知っている。

「あらー、偉いわねーポールト君は。どこかのクソガキと違って」

部屋の中では、火が焚かれており、火に手をあてて、かじかんだ指をほぐした。


「今からパン焼くけど、食べる?それに山菜スープもあるし、それと一緒にお食べ。」

「え?いいのかおばさん」

ランドビーは座っていた机に乗る勢いで前のめりに尋ねた。

「本当にいいんですか?綺麗なお姉さん」

ポールトは体を前に乗り出したい気持ちをグッとこらえながらも若干前に乗り出し、尋ねた。

「ええ、お腹減ったでしょう。ポールト君だけ食べていいわよ」

ビコおばさんは木材で作られたキッチンで準備をしている。

「はぁ、はぁ、き、き、綺麗なお、お、お姉さん俺にも食べさせてください。今日まだ何も食べてないんだ。」

ランドビーは空腹には勝てず、嘘をつきお世辞を言う。嘘を効果的に使えるほど頭は良くないが、食事のことになると頭が回り出す。

「よくできました。お姉さんが食べさせてあげましょう。」

こんがりと焼けたパンの匂いがよだれを垂らす。もう昼を過ぎてるが、一食も食べてない2人にとって、これ以上ないご馳走だ。

「いただきまーす!!」

声が揃ったいただきますと急ぎ足の咀嚼音は家中に響いた。

部屋の暖かさとスープの温もりが心を溶かしていった。外の寒さで心の中に閉ざしていた昨日の出来事が部屋の暖かさにより蘇ってきた。沸々と込み上げてくる罪悪感。なあルイはご飯腹いっぱい食べてるか?ルイは暖かいところで過ごせてるか?ルイはひとりぼっちになってないか?

「ルイは元気に過ごせてるかな?」

人前で普段泣かないランドビーが涙を流しながら問いかけた。

「ふふふ、そんなの決まってるわよ。誰も見た事のないパンケーキを発見してお腹いっぱい食べてるわよ」

ビコおばさんはランドビーの頭を撫でながら、少し悲しそうな声で言った。

「お前が泣くなよ」

そう言ったポールトも涙が止まらなかった。


「ヤードは夜には帰ってくると思うから、2人がB隊に入隊したいって言ってたって伝えておくわね」

「ありがとうございます」

「ありがとうき……………………れいなお姉さん」

血の繋がった子供を見るような目でビコおばさんは微笑んだ。


ランドビーとポールトはその後ごちそうさまでしたと言って、そのまま帰宅した。

「ただいま」

ランドビーはいつもより覇気のない声で足取り重く、帰宅した。

「おかえり、ブレークファースト」

いつもはルイと一緒に帰っていたが、1人で帰宅して、変な感じがする。ルイとは幼馴染で小さな頃からずっと遊んでた。ルイの方が賢かったから、動物を狩る時はルイが指示を出して、ランドビーが狩るという得意パターンがあった。

しかし、3年前の大戦でルイは両親を亡くし、ランドビーも父を亡くした。そこから、歯車が合わなくなり、ポールトも加わり、喧嘩、仲間外れが増えていった。

「お母さん、俺B隊に入る」

「家族のことは気にせず、思う存分やってきなさい。そして、必ずまた家に戻ってきなさい。」

「うん」

お母さんはランドビーの考えを見透かしていたようにすんなりと受け入れて、車椅子を使い、ランドビーをそっと抱きしめた。

「わたしも〜」

3歳年下の妹のミーナが無邪気にお母さんとランドビーの間に入り、3人で抱き合った。

ランドビーは気合いを入れるため、お母さんに耳にかかる長さの髪を短髪の坊主にしてもらった。

3日後に入隊テストを受けることになった。

B国の北、オレンジ市に住んでいるランドビーとポールトはB国の東、ストロベリー市に向かい、入隊テストに挑むのであった。

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