16.コート・ロール
「お前らは真剣で殺しに行っていい。教育係のロールがやられるわけがないからな。」
カルロス副隊長は自信満々に腕を組みながら言った。
「うんうんうん、うんうんうん、カルロス様、なんで私がこのクソガキの相手をしないといけないのですか?教育係になった覚えもありませんし。」
ロールという金髪ロングで毛先を巻いている20代後半のお姉さんは腰に手を当てて、首をかしげている。
「クソガキだと?お前より根性はあるかもな。」
カルロス副隊長は高らかに笑いながら、ランドビーとポールトを庇ってくれる。
ランドビーはナンバー7の直属の兵に稽古をつけてもらえることはラッキーだと思った。
直感で強くなれると感じ、やる気がみなぎってきた。
「ロールさん稽古をよろしくお願いします。」
ポールトは指導を嫌がるロールのことはお構いなしに、頭を下げた。
「君たちもう疲れてるじゃん。
休んだら?私に時間取らせないでくれるかな。
お腹減ってイライラしてるんだけど。
木刀だけど、殺すつもりで行くから。」
風を切り裂く音が聞こえてきて、気が付いた時には、ロールに2人とも切られていた。
見えなかった。瞬間移動された。
「根性があっても、ついてこれないじゃん。ふーーお腹減った。」
ロールは嫌な微笑みを浮かべて、ご飯を食べに行こうとした。ランドビーとポールトはなんとか立ち上がり、真剣で刺しに行ったがあっさりかわされて、木刀で思いっきり、しばかれた。
ポールトは右足に大きな痣ができた。
ロールとかいう嫌な女の言った通りだ。根性だけでは勝てない。それでも、負けてたまるか。
「舐めてるんじゃねえぞ!」
ランドビーは立ち上がり、ロールに向かって走っていったが、ロールはランドビーに向かって瞬間移動してきた。
何という速さだ。
ランドビーは腹を木刀で刺される。
「……真剣で来いよ、ビビってんのか。」
ランドビーはお腹から出血しているにもかかわらず、お腹を押さえながら、立ち上がる。
「チっ……真剣で刺し殺してやる」
ロールは木刀をしまって、真剣を抜き、瞬間移動をする構えを見せた。
そして、瞬間移動で距離を詰めてきて……真剣を振ろうとする
やばい。本当に殺される。
「やめだ。ロールいい加減にしろ。クソガキに熱くなりすぎだ。」
カルロス副隊長がいつの間にかランドビーとロールの間に割って入り、ロールの真剣を手で受け止めた。
「カルロス様すみませんでした……ご飯食べてきます。」
ロールは明らかに落ち込んだ様子で、肩を落として訓練場の外へ出ていった。
「申し訳ない。短髪坊主と白髪小僧。ロールがあんなに教育に向いていないとは思ってもみなかったよ。」
3秒でわかるだろ……あの女教えるの向いてないって……
「稽古でここまでやるとは信じられない。君たちどこからその根性が出てくるんだ。運んでやるから、ご飯食べに行くぞ。」
カルロスは2人のボロボロになった姿を見て、驚嘆した。
そして、ランドビーとポールトを担いで、訓練場を出て、中央本部の食堂に向かった。
「ランドビーとポールト大丈夫か?」
俺たち2人は先に医務室で手当てを受けてから食堂に向かった。
医務室では、包帯をグルグル巻きにされて、痛々しい様子になっていた。
その姿を見たチンタマは先に食堂に来ていたらしく、心配そうに駆け寄ってきた。
「楽勝だぜ!!」
「全然平気!!」
ランドビーとポールトは満面の笑みでチンタマに言い放った。
「お前らなんでそんな笑顔なんだよ……俺なんか今日ずっと走ってただけだぞ……。
俺を本当に置いていくし。速すぎるし。なんか場違いな気がする……」
チンタマが珍しく弱音を吐いた。
「そんなことねーよ。チームなんだからみんなで協力したら良いんだよ。チンタマが良い奴だから、チームに入れたんだ。チンタマの代わりはいない。カッカっカっ」
ランドビーは変な笑い声をあげて、ご飯を貰いに行った。
ポールトもニッコリと笑って、親指を立てるジェスチャーをして、ランドビーに付いていった。
今日の食事は芋と鶏肉と野菜である。
3人にとってはとても豪華に見えた。
「なんかさっきはありがとな。年下に励まされてしまった。」
ランドビー、ポールト、チンタマは同じ食事を一緒に食べた。
チンタマは相変わらず、元気をなくしている。
「元気ない時はチンタマダンスでしょ!!」
そう言って、ランドビーはその場で腰を回して、股間を回して、チンタマダンスを踊り始めた。
「そうだった。忘れてた。俺は下ネタで世界を救うんだ。」
チンタマもランドビーと一緒にチンタマダンスを踊り始める。
「やめろって。食事中だし。めっちゃ目立つし。恥ずかしいって。」
ポールトは笑いながら、2人を止めにかかる。
和やかな空気で食事とチンタマダンスを楽しんでいるなか、金髪お姉さんのロールが3人の席にやってきた。
「なんの踊りをしているの?」
ロールは変な踊りをみて、たまらず質問する。
「あーーこれですか……チンタマダンス……って言います。」
ポールトは笑いをこらえながら、答えた。
「私はゴッド・チンタマと申します。この美しい山と谷を擁しているあなたの名前は?」
チンタマはすぐにチンタマダンスをやめて、髪の毛をかきあげ、かっこつけながら、尋ねた。
「私はコート・ロールと申します。今回のA国襲撃の副隊長を任されたカルロスのチームに所属しています。山と谷ってなんですか?」
ロールは意外にも礼儀正しい自己紹介をする。
確かにロールは巨乳とまではいかないが、ほどよい乳を擁している。
「それは失礼。聞かなかったことにしてください。」
チンタマはスルーした。
「さっきはごめんなさい。お腹が減るとイライラしてしまってつい……暴力的になってしまうのです。」
ロールはランドビーとポールトに怪我をさせてしまったことを反省し、謝りに来た。
さっきの人格とは、正反対のおしとやかな女性になっている。
「全然大丈夫です!!愛のある指導をありがとうございました!!明日もよろしくお願いします!!」
ポールトは元気ハツラツと答え、明日もやる気満々である。
すると、ロールはポールトの肩をもって、頬にキスをした。
「俺も楽勝だぜ。明日は俺がボコボコにしてやるよ。」
ランドビーも腹の傷なんて関係ないと自身満々な様子である。
すると、またロールはランドビーの肩をもって、頬にキスをした。
「ふっ、俺も許してあげますよ。明日はロールさんも覚悟しておいてくださいね。」
チンタマはつけているゴーグルを外して、涼しい顔をして、自分の頬をロールの方に向けた。
「チンタマくんは明日も走りだと思うから、頑張ってね。」
ロールはそう言い残して、どこかに行ってしまった。
「お前らずるいぞ。あんな美女と一緒に訓練できるなんて……それに、俺だけキスしてくれなかったし。」
チンタマは羨ましそうに2人をみて、頭をドンドン打ち付けた。
ポールトはチンタマの肩をたたいて、お風呂に向かった。
「チンタマどんまい」
ランドビーは笑って、チンタマを引っ張って、ポールトの後を追った。
A国に攻め入るまで残り1か月……
ランドビーはこの穏やかな空気が幸せだと心の底から感じた
エピソード16.コート・ロールを最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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