15.必ず強くなる
ランドビーは過去を思い返し、ポールトとともに中央本部に戻った。
お父さんは……パパは天国で俺の姿を見てくれているのかな。
俺は何回も同じことを繰り返す。そして、後悔し、落ち込んで、復活して、また後悔するんだ。
この繰り返しを止めることはできるのかな。
「ポールト、俺らは強くならないと同じ後悔を繰り返す。ルイを探すためにも、力がいる。全く、力が足りない。」
「力だけじゃなく、情報も集めていかないといけない。もう同じことは絶対に繰り返さない。」
「ああ。」
——必ず強くなる。
「チームとか組みたくねぇぞ」
中央本部に戻ると、B3隊に改めて所属することになり、チームを組む必要があった。
チームは最低3人、多ければ何人でも組めるが、相手がいないため、ランドビーは2人でチームを組んでやろうと思っていた。
「まあな。ランドビーの盾で精一杯だから、いらねえぞ。」
ポールトも同意した。
「盾はいらねーって」
その時、一人の男から声をかけられた。
「せっかくなら一緒に組もうよ、ランドビー、ポールト」
その男はゴーグルをつけたチンタマだった。
チンタマはこの中央本部に向かっている途中に1000ポイント貯めることができ、ちょうどB3に上がったところだった。
「お、チンタマか。いいぜ、一緒に組もうぜ」
ランドビーは嬉しそうにチンタマの肩を掴み、チンタマとチームを組むことになった。
「下ネタはほどほどに頼むぜ。」
ポールトはチンタマの目標である下ネタで世界を救うことを理解したうえで、下ネタの制限をしようとした。
「もちろんだぜ。玉兄弟」
無理だった
数日後、国王から命令文が届いた。
内容は単純で「A国に攻めに行くぞ」というものだった。
B国、ナンバー10のうち2名を隊長・副隊長とし、1万の兵で攻め上がり、そのうち5000の兵は徴兵令で、一般人から兵士を出し、もう5000はB隊から出せという命令だった。
ナンバー3のヘルビンさんが隊長、ナンバー7のカルロスさんが副隊長としてB隊を率いることになった。
B1から500、B2から2500 、B3から2000の兵を出すという。
しかし、B3隊員は国内で働きたい、国内の護衛の業務をしたい安定思考の隊員が多く、2000の兵が集まらない状況になった。
そこで立候補したのがランドビーたちであり、無事に承諾され、フルトム隊長の無念を晴らそうとA国に攻め入ることを決意した。
そして、外に出ることでルイの情報が集まると思った。
——必ず強くなる
この決意を抱いて。
今から隊長と副隊長の2つのチームにわけて、合同訓練が行われ、ランドビーたちはナンバー7のカルロスさんのもとで訓練させてもらうことになった。
「ナンバー7なら、世界脱獄集団について、何か知ってるだろ。」
ランドビーは中央本部にある訓練場に向かう途中、ルイを連れ去った世界脱獄集団について、聞き出そうと考えていた。
「いやいやいやいや、知ってるわけないだろそんな。」
ポールトは世界脱獄集団が極秘裏に動いているから、そんな情報が簡単に手に入るとは思っていない。
ナンバー10入りしている人が丁寧に教えてくれるわけがない。
フルトム隊長がどれだけ丁寧に教えてくれたか……言うまでもない。
「とにかく聞くしかない。ついでに巨乳探しもするしかない。」
「……」
チンタマは平常運転だ。
「今から訓練を始めるが、初めに言っておく。
結局死ぬんだから、訓練しても意味ないぞ。
才能ない奴は死んでいくんだ。
本当にどうせ死ぬんだから、好き勝手にしておけ。
でも最低限のことはしようか。
とりあえず平地をずっと走っておけ。
最後まで走り切ったトップ10には、精鋭のカルロス軍が直接、指導してやる。
それ以外は消えろ。とりあえずこの場所から、奥に見える森のところまで往復しろ。
それをだいたい100往復ぐらいでいい。」
カルロス副隊長はオールバックの髪型で30代ぐらいの筋肉ムキムキの怖い男だ。
白い制服を着たナンバー7のカルロスは黒制服を着た約2500人の隊員の前で、退屈そうに話した。
そして、カルロス副隊長はカルロス軍、直属の兵300人を率いて、別のトレーニングを始めた。
「お前ら走るぞ!とりあえず、1番とるしかないんだからさ!」
ランドビーは走る気満々である。
「ちょっと待って、俺そんなに走れないんだけど。体力全然なくて。下ネタ全振りなの。」
チンタマは手を丸めて、手を頬に当てて、ぶりっこを発動させた。
「全然大丈夫だ。自分のペースで。」
ポールトはチンタマに優しい。
「ありがとう。疲れたら、チンタマダンスで応援するよ。」
「絶対腹が立つからやめろ、ふざけんな。」
ポールトはチンタマに厳しい。
スタートの合図がされ、2000人を超える人数の中でテンションを上げて、走り始めた。
ランドビー、ポールトは年上の隊員を軽々と置いていく。
「速すぎだろ。」
チンタマは2人に付いていこうとしたが、全く無理だった。
だから、自分なりのペースで一生懸命に走っていった。
「流石に飛ばしすぎた……」
約30往復した辺りで、ランドビーは手を膝について、息を荒くした。
「ペース落として、体力温存しよう」
ポールトも手を腰に当てて、息を切らした。
明らかに飛ばしすぎてしまい、その後ペースダウンし、100人ほどに追い抜かれてしまった。
しかし、あのペースを100往復なんて続くわけがない。
ペースを落として、最終的に1位を取ればいい。
60往復あたりになっても、上位100人はペースが落ちてこないな。
1往復の差ができてしまった。
というか、カルロス副隊長は何往復したかなんて、絶対数えてない。
「ポールト、俺らのペース上げていくぞ」
少し雨が降っているくせに暑い。
上位100人は足が止まってきている。
「反撃開始だ。」
ポールトは今から上位100人を追い抜くために、目の色を変えた。
少し前を走るトップ集団を追い抜くために、二人はペースを上げていく。
心臓の音が速くなっていく。
小さい足を、短い足を懸命に回して、徐々に追いついていった。
ペースを上げたことで軽々と先頭集団の一角まで追いつき、追い抜こうとした時……
——痛い
良いペースで走っていたのに、2人は足をかけられた。
「ふざけんじゃねえぞ!」
「舐めるな!」
パーマの大柄の男に足をかけられて、2人はすぐに立ち上がり、叫んだ。
「チビがうろちょろしてんじゃねえ。」
捨て台詞のように言い残して、パーマの男は走り去っていった。
確かに、俺らは周りと比べてはるかにチビだ。
ランドビーはやり返す気で、パーマの男を追いかけようとする。
「待て、ランドビー。あのクソガキパーマと俺らが1位取ることだとどっちの方が大切だ?
もちろん、俺らが1位取ることだ。
見返してやろうぜ。」
ポールトは一瞬怒ったが、俺らが1位を取って見返せばいいと思った。
「確かに。見返してやろうぜ。」
ランドビーは悪い笑顔を見せて、もう一度走り始めた。
怒りを力に変えて。
そうしてラスト10往復になったところで、二人は恐異的なペースで、怒りを力に変えて、進んだ。
ぜってえ負けねえ。
クソガキパーマ。
そして、クソガキパーマから距離を取って追い抜くと、クソガキパーマは悔しそうな顔をして、必死に追いかけてきた。
二人は周りと比べて背が低く、見慣れない雑魚そうなチビとして扱われることも増えるだろう。
それでも二人はくじけるわけにはいかない。
ルイのために、隊長に託された目標を果たすために。
二人は先頭集団を追い抜き、100往復を1位で終えた。
早速、稽古をつけているカルロス兵のところへ向かった。
「100往復走り終えました。カルロス副隊長、今から稽古をつけてください。」
ポールトはナンバー7、カルロス副隊長に稽古をつけてほしいと頼む。カルロス副隊長とその直属の兵は訓練中で、走っている方向を見ていなかった。
「おっさん、本当に俺らが何往復したか、見てたのかよ。」
ランドビーは疑問に思っていたことを口にする。
「お前たちが何往復したかなんて顔を見たら、分かる。
あと、俺はおっさんじゃない。
稽古はつけてやるが、俺じゃなくて、違うやつにつけてもらえ。
お前たちはその年齢で、その体力、素晴らしい。」
ポールトはカルロス副隊長直々に稽古をつけて欲しかったが、断られてしまった。
カルロス副隊長は怖い風貌をしているが、実際は素直で正直な人なのだろうか。
チンタマはまだ走っているが、思ったより真面目に走っているようだ。
「では早速、私の信頼する教育係のロールに稽古をつけてもらえ。」
二人は大きく返事をした。
エピソード15.必ず強くなるを最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
少し期間が空いてしまい、すみませんでした。
今後はペースを戻すので、よろしくお願いします。
感想、評価待ってます!!




