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始まりの朝ごはん  作者: 桃縫ヌヌ
第1章 ランドビーの後悔
14/30

14.最高のパパ

ランドビーは真っ暗な夜の中、冷たい雨を浴びながら、ずっと、何も考えずに走り続けた。

もうどれぐらい走ったか分からない。

幸いなことに敵にまだ追い付かれていない。

ママは3歳の妹のニーナを抱きながら、山を駆け上がり、急斜面を下ろうとした。

——その瞬間……


『——ママ!!』


『——ギャーーーーーーーー』


悲鳴が山に轟いた。


『っう……く……っう』


『うぁーーーーんママ!!ママ!!』


ママは斜面で足を滑らせて、悲鳴をあげた。

ニーナを庇ったため、左足に大怪我を負った。

ニーナはママが大変なことになってると分かり、泣き叫ぶ。


『ママ!!大丈夫?!』


ランドビーは駆け寄って、足の状態を確認したが、もう歩けない状態だとすぐに分かった。


『っう…ブレークファースト……私をおいてニーナと逃げなさい』


『そんなことできない』


『いいから逃げなさい』


『嫌だ……そこの岩のところまで行こうよ……』


近くに岩の窪みがあり、ちょうど隠れられそうなところを発見したランドビーはお母さんを少しずつ引っ張り始めた。


『ニーナも手伝って』


『うん……お……兄ちゃん』


ニーナは泣きじゃくりながら、小さな体でママを引っ張った。


『—— 2人ともやめなさい』


お母さんは山中に響く、大きな声で叱ったが、ランドビーは初めて、ママの言うことを聞かなかった。


ママはそれ以降何も言わなかった。


時間はかかったが、なんとかママを岩の窪みまで引っ張ることができた。


そこから、ランドビーは近くの木から枝をちぎって、ママと妹が見えなくなるまで覆い隠した。


ランドビーはママと妹とは別の場所に隠れて、敵が来ないか、見張っていたが、全く来なかった。


そうして、朝になり、また夜を迎えて、何も食べずに、2日が経った。


水はずっと雨が降っていたからなんとかなったが、食料に関しては、嵐が続いており、ランドビーが一生懸命探したが、見つけることはできなかった。


『ママ……お腹減った』


ニーナはお母さんのことを心配し、我慢していたが、つい本音を漏らしてしまった。


『ごめんね……ニーナ』


『うぁーーーーん』


ニーナはまた泣いてしまう。

謝られたくて言ったわけじゃなかったから。


ランドビーもお腹が減りすぎて、動けなくなってきた。さらに、雨で体が冷えて、意識を保つのもやっとである。

そろそろ、敵が侵略してきてもおかしくない。

そんな恐怖も抱えながら、6日目の夜を迎えた。


ママも妹もランドビーも限界を超えた限界を迎える。妹に至っては呼吸が浅くなり、呼吸困難になっていた。


『誰か……助けて……』


ランドビーは仰向けの状態で天を眺め、とても小さな声で助けを求めた。


——ガサガサガサガサ


落ち葉を踏む足音が徐々に近づいてくる。

敵かな。

もう動けないや。

ランドビーは死を覚悟した。


『——ブレークファースト』


意識が朦朧としているなか、意識を引き裂く図太い声が頭に飛び込んできた。


——パパの声だ。


『ブレークファースト……よく頑張ったな。もう大丈夫だからな。』


パパは仰向けの俺を抱きしめた。


『ママとニーナはどこにいるか、分かるか?』


『あそこにいる』


ランドビーは岩の窪みを指さして、そう言った。


『そうか、じゃあ一緒に行こうか。ママとニーナを守ってくれて、ありがとう。ブレークファースト』


パパは俺を抱っこしてくれた。


『パパ……そんなことより……その体……』


抱っこしてくれたパパの体は全身血だらけだった。


『ああ、気にするな。家族みんなで集まれば、何も怖くない。』


そう言って、パパは全身ボロボロの体で抱っこしながら、一歩ずつ、一歩ずつ、岩の窪みに向かった。


『ニーナ!!ジェシー!!』


パパは呼吸困難のニーナとニーナを抱きしめ、座り込んでいる左足に大怪我を負ったママ——ジェシーをみて、声を荒げた。


『パッパッ』


ニーナはパパがきた安心感から泣き喚く。


『ランチ……』


ママは全身血だらけのパパ——ランチをみて、言葉を失った。


『もう大丈夫だ。』


パパは痩せ細った3人、俺とニーナとママを抱きしめた。

そして、パパは深呼吸した。


『俺はこの家族が大好きだ。

ジェシー、ブレークファースト、ニーナ俺の家族になってくれて、ありがとう。

こんな未熟な俺をパパにさせてくれて、ありがとう。

もうパパは長く生きられない。

でも、それは悲しむことではない。

少し早く、天国に行くだけで、パパは家族のことをずっと見守っている。

そして、最期にやるべきことがある。

こんな未熟なパパの最期の仕事だ。

自分勝手だが、許してくれ』


『——パパを食べて欲しい』


『……』


俺は理解できず、涙が溢れ、過呼吸になった。

そんな俺を見て、ニーナもさらに呼吸を乱した。

ママは静かに涙を流した。


『パパはほんとに愛されてるな。でも、そんなに泣かれると天国で笑えないよ。』


パパはこんな状況でも微笑みながら、俺とニーナとママの頭を撫でる。


『ブレークファースト、ママとニーナのことを守って欲しい。こんな未熟なパパを許してくれ。』


そう言って、パパは俺に剣を預けた。


理解ができない。

意味がわからない。

パパを食べるなんてできるわけがない。

そんなの……そんなの……


『——俺を最高のパパにさせてくれ。』


パパは最高の笑顔で涙を目に浮かべて、息を引き取った。


嗚咽をもらして、俺は俺たち家族は最高のパパをいただいた。

エピソード14.最高のパパを最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

このエピソードで第1章は完結です。

また、第2章も投稿していくので、よろしくお願いします。

感想待ってます!!

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