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始まりの朝ごはん  作者: 桃縫ヌヌ
第1章 ランドビーの後悔
12/31

12.話というのは

トールはフルトム隊長の訃報を知り、ランドビーとポールトに伝えるべきか非常に悩んだ。しかし、トールの表情からランドビーとポールトはなんとなく察することができた。


「2人には話しておきたいんだけども、フルトム隊長が戦死された……お亡くなりになられた。

フルトム隊長はA隊のワンダー兄弟という敵に命を奪われた。」


「……分かった」


ランドビーはただフルトム隊長の死を受け止めることしかできなかった。

ポールトは軽くうなずいた。


中央本部の外で待機している100名を超えるB4隊は、この敵襲の騒動が落ち着くまで中央本部で待機することになった。

一方でランドビーとポールトの2人はトールに住所を教えてもらって、中央本部から少し離れたある場所に向かった。

トールは「私が行く」と言ったが、2人は言うことを聞かなかった。


ランドビーは到着した家の扉の前でドアを叩くのをためらった。

正直、叩きたくなかった。

フルトム隊長が命を落とした現実を伝えなければいけないことが非常に辛かった。


「……叩くぞ」


ポールトはランドビーが扉を叩くことを躊躇していると気づき、後ろからそっと声をかけ、扉を叩こうとした。


「……俺が扉を叩くから任してろ」


そう言って、ランドビーは額に汗をかき、緊張した面持ちで扉を叩いた。


「はーい、どちら様ですか?」


フルトム隊長の奥さん、真っ白な肌に銀髪のロングヘアが美しい綺麗なおばさんが現れた。


「……話があって、きました」


ポールトは呼吸を荒くしながら目を伏せて伝えた。

奥さんは「何のことかしら」という顔を浮かべた。

しかし、2人はその次の言葉を一向に話そうとしない。


「B隊の子かしら?いつも夫がお世話になっております。せっかく、来てくれたのだから、ぜひ、家に上がっていってちょうだい」


そしてお茶を出してもらい、甘いパンをもらった。

すごく嬉しかったが、それどころではなかった。


「クッキーは美味しい??うちの夫はああ見えて、甘いパンが好きなのよ」


フルトム隊長の奥さんは微笑みながら、フルトム隊長の好物を教えてくれた。


「はい、美味しいです。」


ポールトは淡々と返事をした。

ポールトはいつ伝えようか、ずっと悩んでいた。

フルトム隊長の死を口にすると、フルトム隊長の死が確定してしまうような気がして、なかなか口にできない。

ランドビーは家に入れてもらってからずっと黙っている。


「娘さんはどこにいますか?」


ポールはフルトム隊長の娘さんがいないことに気づき、それでは遺言を伝えられないと思った。


「娘なら今仕事に行ってるわよ。

娘はね、夫に反対されたんだけど、「どうしてもB隊に入りたい」と言って、今B2隊に所属してるわ。

毎日一生懸命戦ってるの。

明日には帰ってくるって言ってたわ

せっかく来てくれたことだし、娘から何かいいアドバイスをもらえるかもしれないわよ。いつも非常に頼りない夫がお世話になっているから、今日は泊まっていてちょうだい。」


その後もよくしてもらい、お風呂にも入らせてもらった。

結局、その夜はフルトム隊長の奥さんに伝えることができなかった。

ポールトは夜もあまり眠れずに朝を迎えてしまった。

ランドビーはずっと黙っている。

今日はフルトム隊長の娘さんが帰ってくる。

娘さんが帰ってきてからでもいいのだろうか。

いや……


「おはよう。朝ごはん食べるかしら?」


フルトムの奥さんが豪華な朝食を出してくれる。朝ごはんを食べられることは本当に幸せだ。


「ありがとうございます。いただきます。」


ポールトは礼儀よくお礼を言って朝食をいただく。

ランドビーも「いただきます」と言って朝食をいただいた。


結局、朝もフルトム隊長の死と遺言を伝えられず、俺たち二人は外に出て動物を狩りに行くことにした。

食料を狩っている時もお互い無言で、話すことはなかった。動物を狩るという意欲がなく、あまり狩れなかった。

なんとか、卵3つと鶏2匹を捕獲できたので、昼に奥さんの元へ戻った。

その卵と鶏を手渡し、昼食を作ってもらった。

奥さんも非常に美味しそうに食べてくれた。

ポールトは悲しい気持ちと悔しい気持ちが改めて込み上げてきた。何度も伝えようとしたが、伝えられなかった。


その後1時間、フルトム隊長の過去の話を聞いた。昔はやんちゃだったこと、B隊に入るために毎日努力していたこと、家族想いなことなど、聞けば聞くほど、さらに伝えることが難しくなった。


しかし、いつかは伝えなければいけない。

伝えることが遅くなればなるほど、伝えられなくなっていく。


「話というのは……」


ポールトは決死の覚悟で唾を飲み込み、伝えようとした。


「——話というのは……」


突如、ランドビーが話し始めた。

ポールトはアイコンタクトを取り、少しうなずいた。そして二人で言うことにした。緊張で喉が詰まり、声が震える。それでも伝えなければならない。


「話というのは……フルトム隊長が……いのちを」


「——ありえない。ありえない。そんな訳がないでしょ。早く取り消しなさい。」


冷たい声。奥さんは静かに涙を流しながら、崩れ落ちながら、ランドビーとポールトの制服を強く掴んだ。

エピソード12.話というのはを最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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