11.辛い現実
「うぉ————————」
ランドビーは隠し階段を発見し、再び発狂した。
近くにいた隊員たちも思わず、声を上げ、遠くの隊員たちは何が起こったかわからず、何があったか確認しようと、隊員同士で押し合いになっている。
「ランドビーお前、そんな隠し階段だからって、宝物とかないから」
螺旋階段の上から見ていたポールトは内心びっくりしているが、冷静を装う。
「かっかっかっか!!そんなんあるに決まってるだろ!!」
ランドビーはテンションが上がって、変な笑い声をあげ、隠し階段を速攻で下りていく。
こういうときのランドビーは言う事を聞かないから、黙って付いていくが、ポールト自身もワクワクしていた。
真っ暗な階段を躊躇なく、下りていく2人は最下層にたどり着いた。
最下層も真っ暗だったが、ジメジメした空気が漂っている。
「お前ら、真っ暗で情報も何もないのに突っ込んでいくな」
少しキレている護衛兵トールは松明を作ってから、1人で階段を下りてきた。
トールは真っ暗な最下層に火を灯すと……
——キウイだ
そこには辺り一面、キウイフルーツが実っていた。
「キウイってなんだ?でも、食い物だろ?いっただっきまーす!!」
ランドビーは勢いよく、キウイを手に取り、頬張った。
「すっぱ!!」
「ランドビー、B4の隊員にも食べさせないといけないからそんないっぱい食べるなよ」
ポールトはランドビーに釘を刺す。
「分かってる。」
ポールトはランドビーが食事のことになると制御が効かないから、フルトム隊長に託されたB4隊の護衛という役目を忘れているかと思っていた。
少し成長したのだろうか。
「よくやったランドビー。上で待機しているB4隊を呼んでくる。」
そう言って、トールは階段を上がっていった。
B4隊員が最下層に全員下りてきて、みんなでお腹いっぱいになるまで食べ続けた。約一日ぶりの食事であり、隊員全員で初めて食べるキウイを食べ尽くした。
ランドビーはみんなから命の恩人扱いをされ、こんな大勢の人に命の恩人扱いをされたことがないから、挙動不審になった。
そして、少し休憩してから、中央支部もしくは本部を目指して、隊員たちは少し弱まった大雪のなかを歩き始めた。
「トールさん、さっき聞きそびれたのですが、キウイって何なのですか?」
ポールトは高く積もる雪の上をノソノソと歩きながら、尋ねた。
「キウイっていうのは、B2以上に所属していると、3か月に1回支給される高級フルーツだ。まさか地下で栽培されているとは……」
B3隊のトールには、食事がどこで栽培されているか知らされておらず、地下で栽培されていることが意外だった。
「高級フルーツを食べ尽くして、B国の人に怒られないのかな?」
女子のリーダーであるチナが疑問に思った。
「チナ姉さんが国の人に色仕掛けしたら許してくれると思うよ」
チンタマが解決策を提示した。
「は?なんで私がみんなの代わりになんで体売らなきゃならないの。」
チナが鬼の形相をして、キレている。
「さすが、リーダー。俺たちのためにありがとうございます。」
他の隊員も会話に参加する。
「体売るとは、一言も言ってないわ!」
チナがツッコミを入れて、隊員の頭をグーで殴る。
周囲が笑い、和やかな雰囲気が流れる。
未だ雪は降っているが、隊員たちはキウイフルーツを食べて、明らかに元気になっている。
歩くペースが上がり、途中で大きい村も見つけ、食料を少し分けてもらうことができた。
この村は敵襲の被害を受けていないので、敵はここまで進出していないと思われる。
そうして、歩き始めて3日、敵に遭遇することなく、B4隊員が誰1人欠けることなく、中央本部に到着した。
到着した時には、雪が止み、日差しが強くなってきた。
「……こんなの見たことない」
ランドビーは中央本部をみて、唖然とした。
中央本部は建物ではなく、都市だった。
平原が広がる土地に大きな門が横にどこまでも続いている。そして、大きな建物が数えられないくらい、建てられている。
ランドビーとポールトはB国北のオレンジ市から出たことがなく、無数の建物が新鮮だった。
「こんな世界あったんだ……」
ポールトは国の中央、B隊の中央本部が想像以上に大きく、驚いた。
他の隊員も想像以上の迫力で、驚いている。
「とりあえず、中央本部に現在の状況を確認してくるから、ここで待機しておきなさい。
ランドビーとポールトも付いてこい」
トールは100名を超えるB4隊を受け入れてもられるのか、現在の敵襲の状況はどうなっているのかなど、状況を確認しようと考え、ランドビーとポールトと共に中央本部の入り口に向かう。
無事、護衛兵に認められ、3人は中央本部の中に入った。
中央本部のなかは建物だらけで、まさしく都市である。さらには、B隊の制服を着た人が大量に歩いており、ランドビーとポールトには見たことのない光景だった。
「暑いし、人多すぎて、気持ちわりー」
ランドビーは大量の汗をかきながら、人の多さに倒れそうになりながら、歩く。
気温は42度を越えようとしている。
「どこに向かってるんですか?トールさん」
ポールトもヘロヘロになりながら、尋ねる。
「B3隊の本部だ。暑いけど、B3隊の本部内は涼しいはずだ。」
中央本部にはB1、B2、B3、B4の各隊の本部に加え、住居や食料を育てる施設など様々な建物が建てられている。
トールはB3隊の本部である3階建の巨大な建物を2人に紹介する。
「ここがB3の本部か……でかすぎる」
ポールトは汗を拭いながら、大きなB3隊本部を見上げ、そう呟いた。
現在の気温は45度に跳ね上がり、自分自身が溶けそうなくらい暑い。
さらに、都市部であるから、人が多すぎて余計に暑い。
B3隊本部の大きな扉を開けると、赤い絨毯に50を超える部屋が1階から3階まで広がっている。
「今、B3隊の隊長はいないだろうから、情報室に行こう」
そう言って、3人は情報室に向かった。
B3隊は今回の敵襲の対応に追われており、丁寧に今の状況を説明してくれる人などいない。
情報室には、古い情報から最新の情報まで様々な情報が残されている。
敵襲から4日ほど経過しているから、敵襲の情報も明らかになっているはずだ。
トールは今日の日付、5月18日の情報が載った冊子を手に取った。
その冊子をめくると、2日前に敵襲を完全に追い払ったと記されていた。
現在は、B隊の全隊で壊された建物の修復作業や国民の安全確保に努めていると記されている。
また、民家235軒の被害を確認したと記されている。
さらにめくると、辛い現実が目に飛び込んできた。
覚悟していた……しかし、それが現実になるとやはり辛い……
暗闇のフルトム、B4隊隊長のフルトム・ルーベルトがA隊のワンダー兄弟に敗れ、戦死したと記されていた。
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