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無人島生活60話 イ〇ディージョーンズ的な? 最後の冒険! 

 ぽたぽたぽたぽた、洞窟の壁面から湧き水が流れ出ていた。

 鍾乳石のように固まった鉱物もあった。

 中にはミッ○ーマウス的な形に見えるものも、プ○さん的なのも、マリ○のゲームに登場するド○スンのような鍾乳石もある。

 

 映える映える。

 いい観光名所になるっしょ。

 洞窟に入ったことある人ならわかると思うけど、洞窟の中は意外と寒いんだよね。


 だから観光に来るときは、例え夏でも上着を持っていた方がいいよ。 

 そのことを忘れていたエリーは、二の腕をこすりながら、ちじこまっていた。

 へっくちゅん!


 エリーがくしゃみをしたそのとき、隊長が『ジャケットポケット!』からパッパラッパラ~♪ 「ウールのセータ~」を取り出した。


「本当にそのジャケットの中どうなってるの? 四次元空間にでもなってんの?」


 エリーは受け取ったウールのセーターを羽織った。

 隊長はみんなの分のセーターも『ジャケットポケット!』から取り出し配る。

 セーターを着るとホッと温かくなった。

 

 どうやら、この洞窟の通路は、なだらかに下っているようだった。

 幅は結構広く、高さもあって歩きやすいのが唯一の救い。

 いったいどこに通じているというのだろう……?

 入り口から百メートル以上は進んで来たが、終わりが見えない。


「なあ……。あんまり、深入りすると出られなくなるぞ……」


 潤弥はお化け屋敷で怖がる子供のような声で警告した。


「潤弥っちもお化けが怖いんか? 怖かったらうちに抱きついてもええんやで」


「ちげえよ! お化けが怖いんじゃねえ、こういうわけのわからない、洞窟だから怖いんだよ! 落盤とか、トラップとかあったらどうする!」


「トラップ? そんなもんあるわけないや――」


 モーリアンが否定しかけたそのときだった。

 ゴゴゴゴゴと岩が動いたときに発生するみたいな音が洞窟内に響き渡った。


「何か踏んでしもうたわ。はははは……」


 モーリアンは足を上げて、地面を見た。

 地面は凹んでいた。

 まるでスイッチを押したあとのように……。


「破滅の旋律が聴こえないか……?」


 聞いている方が恥ずかしくなる物言い、本当に辞めて欲しい……。

 龍之介は耳をそばだてて、入り口側を振り向いた。

 間もなくゴロゴロゴロと擬音を雪だるまのように吸収しながら、巨大な岩が襲い掛かって来た。


「嘘だろぉぉぉぉぉぉ!」


 当然ながら全員一斉にかけ出した。

 隊長の握るランプの光が揺れ、洞窟の中は暗くなったり明るくなったりを繰り返した。


「だから言っただろう! こんなトラップ、テンプレじゃないか!」


 走りながら怒鳴る潤弥。

 編み籠の中から、たいまつようの枝が数本落ちて、間もなく転がって来た岩石に潰された。

 自分たちの未来の姿を暗示しているようだった。


「イ〇ディジョーンズやん! 面白なってきたで!」


「全然面白くねえよッ! どんだけ楽観的なんだよおまえは!」


 岩との距離が刻一刻と迫る。

 岩は壁面にぶつかって、パチンコ玉のように潤弥たちを襲いにかかった。


 岩は洞窟の広さとぴったりで、まるで岩を転がすためにあるような、なだらかな下り坂。

 潤弥は小石に足を滑らせ、その場に転んだ。


「おい待ってくれッ……!!! 行かないでくれ! 俺っちを置いて行かないでくれ! 百円あげるからッ!」


「潤弥ッちの犠牲は無駄にせえへん!」


「助けろよ!」


 巨大な岩が潤弥をぺっしゃんこにしようとしたそのとき、ゴリッチが方向転換して岩を受け止めた。


「うっぉおおおおぉぉぉぉおお!」


 ゴリッチは元気玉を受け止める悪役キャラのような声を上げた。

 地面を滑り、潤弥のつま先ギリギリで岩は止まった。


「隊長! 頼む!」


「任された!」


 隊長はゴリッチの呼びかけに応じ、全パワーを解放して巨大岩を受け止めた。

 まるでアトラスから天を支えるのを受け持ったヘラクレスのようだ。

 隊長に岩を預けると、ゴリッチはじゃんけんグーの構えで巨大岩を殴った。


「ゴリラの極み!」


 少年漫画的に必殺技名を叫び、しばらく遅れて亀裂が走った。

 バキバキバキバキ。

 岩は木っ端みじんに崩れ落ちた。

 潤弥は腰を抜かしてしまったのか、起き上がらなかった。


「大丈夫か潤弥」


 ゴリッチは手を差し伸べた。


「大丈夫なわけあるかぁぁぁぁぁぁぁああ! 三途の川が見えたわッ! まったく知らないおじいさんとおばあさんが、満面の笑みで手招きしてたわ!」


 ちょくちょく登場する、そのおじいさんとおばあさんは何者なの?

 ホラーなんですけど。


「それだけ~、叫べるんだったら~、心配いらないね~」


 この危機的状況でも紅は笑っていた。

 いや、本当にホラーなのはこの女だ(サイコホラー)。

 メンタルお化けは紅で間違いない。


「それでは、進もう」


 隊長は何事もなかったかのように、進みはじめた。


「おい! 待て待て待て待て! チョ待ーてーよ! これでわかっただろう。この洞窟の中にはトラップが仕掛けられてるんだって!」


「そうよ! 危険だわ! 引き返しましょう! こんなんじゃ、ド○ゴ○ボールを何回集めたって足りないわよ!」


 エリーと潤弥は身振り手振りを無駄に交えながら、必死に説得した。

 

「この先に大海賊キャプテンシルバーが残した大秘宝があるんやで! トレジャーハンターエリーの血は騒がんのか!」


「トレジャーハンターエリーって誰だよ! この先にも今みたいなトラップが仕掛けられているに決まってるじゃない!」


「これだけ厳重に護ってるってことは、宝があるってことやんか」


「ああああああああもう! どうしてあんたたちはいつもいつもそうなのよ! あたしは戻る!」


「ええで、はじめから来てくれとは言ってへんもん」


「ああああああああもう……!!!」


 そうは言っているものの、エリーと潤弥はみんなを置いて帰ることができなかった。

 ランプのオイルを節約するため、たいまつに火を移した。

 

 七人はそれからも洞窟をなだらかに下った。

 道が狭くなったり、広がったり、一本道だったり、何度もトラップに引っかかった。

  

 壁から槍が突き出して来たり、地面が抜けたり、落石があったり、何度死にかけたかわからない。

 そうこうしている内に、二叉に分れた一角に七人は出てきた。


「どっちに行く?」


 ゴリッチはたいまつの灯りで両方の穴を照らしてみたが、当然先が見えるはずもなかった。


「モーリアン君頼む」


「任された!」


 モーリアンはモーリワンに獣人化した。

 犬耳が現れ、尻尾がはえる。 

 モーリワンは右の道を選んで吠えた。


「バウワンワワンワン! バフッ!」


「よし、右だ」


 モーリワンが先陣を切って進んだ!

 誰もが予想していたと思うけど、トラップのスイッチを踏んでしまい地面が抜けた!

 モーリワンは穴に落ちた!

 断末魔の叫びが上がる。


「キャイ~ンィ~! ギャフンッ!」


「ギャフンって本当に言う人いるのね。だから言わんこっちゃないのよ。自業自得」


「まだ落ちてへんワン……」


 モーリワンは忍者のように壁と壁の間で突っ張っていた。


「生きてたの」


「生きとるわ! エリーッちはうちに死んでほしいんか!」


 それからもモーリワンは次々トラップを引き当てた。

 どうやらトラップ探知犬の素質があるらしい。

 構進んで来たが、何が目的で洞窟にもぐっているんだっけ?

 ああ、そうだった。財宝だ。


 そんなもの本当にあるのか疑わしかった。

 もうどうとでもなれ。

 赤信号みんなで渡れば怖くない、だ。

 やけくそになっていると、行き止まりに行き当たり、地面が抜けた――。

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